観客100人から220万人へ!水溜りボンドが語るYouTuberの魅力

「ドッキリ」などのオモシロ動画や「メイクの方法」などのHow to系といった、さまざまな動画を日々投稿している“YouTuber”
 
広告や企業とのコラボ企画などで収入を得る人も登場し、今やYouTuberは“職業”としても人気! 
 
動画を観ながら「楽しそう!」「好きなことで生活していて羨ましい!」と思ったことがある人も多いのでは?
 
でも、たくさんの人に観てもらえるYouTuberになるには、いったいどうしたらいいんだろう?
 
そこで、実験検証系やドッキリ系の動画が人気を集め、わずか2年半でチャンネル登録者数220万人を突破した人気YouTuber「水溜りボンド」のカンタさん&トミーさんに、話を聞きに行くことに!

YouTubeを始めたきっかけ

お笑いライブに来てもらうより、動画のほうが気軽だと思った

 
大学2年のころにYouTubeを始めたという「水溜りボンド」。
 
やっぱり、高校生のころから人前に出たり、おもしろいことをするのが好きだったの?
 
観客100人から220万人へ!水溜りボンドが語るYouTuberの魅力

カンタさん(左)、トミーさん(右)

 
トミー:
「いや、お互いに目立ちたがりという感じではなかったと思います。
 
僕はふまじめというか、学校にちゃんと行かないタイプで(笑)。
 
その分、時間が余っていたので、DVDやYouTubeでずっとダウンタウンさんの動画を観ているような高校生でした」
 
カンタ:
「ぼくはよく『トミーと真逆』みたいに言われるんですけど、中学も高校もバスケ部の練習で忙しい学生でしたね。
 
部活が厳しいから放課後はあんまり教室にいれないし、前に出ていくタイプでもなかったです。
 
高校卒業後は大学へ進学しましたが、それは中学のころから漠然と“大学には行く”と考えていたからでした。当時は『YouTuberになりたい』とはもちろん考えていなかったですね」
 
トミー:
「ぼくは高校時代、まったく勉強していなかったんですけど、あるとき『このまま勉強しないで、将来何になるんだろう?』『とりあえず勉強して、大学を目指してみよう』と思って、1浪して大学に入りました」
 
そんな対照的な高校時代を過ごした二人は、同じ大学のお笑いサークルで出会うことに!
 
カンタ:
「二人とも、元々お笑いが好きだったんです。
 
大学2年の春くらいにコンビを組んで、サークル主催のお笑いライブや『キングオブコント』などの大会に出場していましたね。
 
コンビ名はトミーが“水溜り”、ぼくが“ボンド”と、それぞれがパッと思いついた単語を組み合わせて決めました」
 
『キングオブコント』に初出場した2014年には、準々決勝まで進出。プロの芸人も出場する大会で、そこまで勝ち上がるなんてすごい!
 
観客100人から220万人へ!水溜りボンドが語るYouTuberの魅力
 

トミー:
「でも、『キングオブコント』でプロの芸人さんと全力で闘っても、3000組の出場者のなかで300組まで生き残るので精いっぱいで。
 
『この人たちには勝てないな』『お笑いの道で生きていくのは難しいんじゃないか』と思うようになったんです。
 
それに当時、サークル主催のお笑いライブを定期的に開催していたんですけど、お客さんを全然集められなかったんですよ。
 
仲がいい友達に声をかけて会場に来てもらっても、100人集めるのが精いっぱいでした」
 
カンタ:
「そんなとき、ぼくがYouTubeを観ていてふと『YouTuberを目指すのもアリなんじゃないか』と思ったんです。動画配信ならライブ会場まで来てもらわなくても自分たちのネタを気軽に観てもらえるんじゃないかなって」
 
トミー:
「ライブ会場までわざわざ来てもらうとなると、お客さんにはスケジュールを調整してもらわないといけないですよね。
 
いざ会場に来ても、暑かったり狭かったりと、いろんなことを我慢してもらわないといけなくて。
 
でも、YouTubeならクーラーの効いた部屋で、好きな時間に精神的にいい状態でぼくらのことを観てもらえるし、自分たちができることも、劇場にいるより無限に増えるように思えたんです。
 
それでぼくも『YouTuberっていいな』と思い始めました」
 
観客100人から220万人へ!水溜りボンドが語るYouTuberの魅力

 
カンタ:
「それに、当時のYouTuberはHIKAKINさんやはじめしゃちょーさんなど、ひとりで活動している方がメインだったので、ぼくら2人でボケたりツッコんだりしながら何かに挑戦すれば、これまでにない新鮮な動画になるかもしれないと思ったんです。
 
ぼくが通っていたのは映像系の学部で、動画編集もある程度はできたので、そこからすぐに制作にとりかかりました」
 
たしかに、時間も場所も気にせずに観られるYouTubeは魅力的かも! 
 
でも、いきなり動画を投稿することに抵抗はなかったの?
 
トミー:
「ありましたよ!(笑)漫画や小説なら、教室の隅で誰にも言わずにこっそり描けるじゃないですか。
 
で、結果が出た時点で『あの人って実はすごかったんだ!』って発覚する、みたいな。
 
でも、YouTuberの場合は視聴者がゼロの時点で世の中に顔と名前が出ちゃうので、もしスベった動画を投稿したら、友達から『迷走してる』と思われるし…(笑)。
 
そういう怖さはもちろんありました」
 
カンタ:
「でも、将来YouTuberとしてやっていくなら、大学に通わせてくれている両親に“職業”として認めてもらわないといけないと思ったんです。
 
そのためにはできるだけ早く動画投稿を始めて、大学生のうちに結果を出さないといけないなって。
 
だから『就職活動が始まるまでに結果が出なかったらスパッとあきらめる』と、タイムリミットを決めて動画投稿を始めました
 

YouTuberとしての活動がスタート

毎日投稿することで、徐々に応援が増えていった

 

▼「トランプできゅうり切れるまで帰れない【初投稿動画】」▼

 
覚悟を決めて、ライブ会場からYouTubeへと舞台を移した「水溜りボンド」。2015年の元旦から動画投稿を始めた彼らは、ひとつのルールを設けたという。
 
カンタ:
『毎日20時に必ず投稿する』ということだけは、最初から決めていました。毎日決まった時間に投稿することで、定期的に観に来てくれる人が増えると思ったからです。それに、まだ誰にも知られていないぼくたちが、週に1度しか投稿しないようでは絶対に人気は出ないと思っていました」
 

 

トミー:
「初めてアップした動画は、友達が観てくれたこともあって100回ほどの再生回数だったんですよ。“YouTubeで100再生”っていうと少なく思えるけど、ライブ会場で100人を呼ぶことに苦労していた自分たちにとっては、嬉しい数字だったことを覚えています。
 
でも、毎日20時に投稿を続けていくうちに友達も飽きてきて、だんだん再生回数が落ちていって…。ものすごく不安でしたね」
 
カンタ:
「とはいえ、友達にも『YouTubeを始める』と宣言してしまっていたので、数字が伸びないからってあっさり辞めてしまうのは恥ずかしいじゃないですか(笑)。だから、意地になって続けていました」
 
そして2015年3月、彼らは「逆メントスコーラで大惨事」という動画を投稿。
 
「コーラにメントスを入れると爆発する」という現象を「実際にやってみた」という動画が多いなか、「メントスを水あめで固めて作ったコップにコーラを注ぐ」という逆転の発想で動画を制作し、見事大ヒット! これをきっかけに、「水溜りボンド」を知る人が増えたんだとか。
 

▼「逆メントスコーラで大惨事」▼

 
トミー:
「今でこそ、ぼくらのことを知ってくださっている方も増えてきていると思うんですけど、最初のころは、誰もぼくらのことを知らない状態。だから、当時は“自分たちらしさのある動画”ということはもちろん、『逆メントスコーラ』などの“引きがある企画”を入れることを意識していました」
 
その後、チャンネル登録者数3万人を突破した彼らは、2015年11月からYouTuber事務所のUUUMに所属!
 
カンタ:
「事務所に所属したことで、著作権などに詳しい事務所の専門家から、いろいろな専門知識を教えてもらえたり、守ってもらえるようになりました。心配ごとが減る分、動画制作に集中できています。
 
あと、フリーでやっているよりも、両親を安心させられた部分はあると思います」
 

動画撮影や編集の流れ

生活のなかでネタを考えて、3~4時間で編集する

 

 

こうして、人気YouTuberの仲間入りを果たした二人。
 
初投稿から2年半以上経った今も、一日も欠かさず動画を投稿し続けているというからすごい!そんな彼らの日常とは?
 
トミー:
「『撮影する日』『編集する日』といった分け方はしていないので、基本的にはその日に撮ったものを、その日のうちに編集して投稿していますね」
 
カンタ:
「ネタについては、日頃から『こんなことをやったらおもしろそうだな』と思ったことを“ネタ帳”に書いているので、そのなかからその日にやる企画を選んでいます。
 
『正月だから、年賀状を使ったネタにしよう』『新商品の◯◯が出たから、これを使いたいな』というように、時期や話題性の高いものを考慮してネタを決めることが多いですね」
 
たくさんの人に観てもらうには、旬な話題や季節を意識したネタを投稿することが大切なんだ!
 
カンタ:
「ネタが決まったら1時間程度の撮影をして、そのあとに3~4時間かけて編集していきます。ぼくらの場合は『みんな気になるけど、わざわざやらないこと』に挑戦する動画が多いので、できるだけ手軽に観てもらえるよう、5分前後にまとめることを心がけています」
 
ただ、ネタによってはかなり大掛かりな撮影もあるのだとか!
 
観客100人から220万人へ!水溜りボンドが語るYouTuberの魅力
 

トミー:
「この前、『四角かった石を2万回蹴ったらどうなるのか?』という動画を作ったんですけど、石を2万回蹴るのに24時間以上かかってしまって…。寝ないで一晩中、石を蹴り続けていましたね(笑)」
 

▼「四角かった石を2万回蹴るとどうなるのか?」▼

 
カンタ:
「撮影も大変だったんですけど、24時間以上ある動画を見直して編集するのにも時間がかかって、20時ギリギリまで編集が終わらなくて、正直焦りましたね(笑)。家だけでなく、新幹線やタクシーの中でもずっと編集作業をしていました。
 
動画は0.1秒削ったり、効果的なテロップや効果音を入れたりと、どんどん手を加えたくなるので、編集の終わらせどころも難しいです」
 
ネタを決めて、撮影して、編集して…と、すべて自分たちでやるなんて、YouTuberって想像以上に大変!
 
でも、毎日動画を投稿していると、ネタがなくなってしまうこともあるのでは?
 
カンタ:
「それは多分ないと思います。ぼくらは“無人島生活”とか“村を作ってみる”といった、『誰もが一度はやりたいと思うけどできないこと』を実際にやってみて、動画を観てくれる人たちに疑似体験してもらっているだけなので…。
 
規模が大きすぎて実践できないことはあっても、やりたいことは尽きないと思いますね。でも、生活しながら『これはネタとして使えるかな?』と常に考える癖はついているかもしれないです」
 

「YouTuber」という職業の魅力

自分たちがやりたいことができて、それを必ず発信できる

 
長時間の撮影や毎日の投稿など、大変なことも多いYouTuber。二人が“YouTuber”という職業を続けていきたいと思える魅力とは?
 
観客100人から220万人へ!水溜りボンドが語るYouTuberの魅力
 

トミー:
「ぼくは『自分たちがやりたいことをやって、それが必ず世の中に出ること』が一番の魅力だと思っています。
 
テレビに出る芸人さんだと、台本どおりに行動しなければいけないことがあったり、自分が言ったコメントが使われなかったりすることもあると思うんです。
 
でも、ぼくらは自分たちがやりたいことをやって、それを必ず発信できるんです。それって、表舞台に立つ人としては一番幸せなことだと思います」

 
観客100人から220万人へ!水溜りボンドが語るYouTuberの魅力
 

カンタ:
「ぼくは『普通だったら体験できないことが経験できること』に魅力を感じています。たとえば、ぼくらの友達が就職して働き始めているなか、ぼくらは無人島で“ゼロ円生活”に挑戦…なんてこともありましたね(笑)。
 
動画を観てもらうための撮影や編集は大変ですけど、やりたいことができるので本当に楽しいです。
 
でもそのかわり、指導してくれる上司がいるわけでもないし、自分が『今日で辞めたい』と思えばそこで終わってしまう世界なので、しっかり頑張りたいと思っていますね」
 
やりたいことが必ずできて、発信したいものを発信できる。YouTuberって、本当に可能性が詰まった職業なんだ!
 

高校生の今からできること

好きなジャンルを見つけて、ほかのYouTuberを研究する!

 
最後に、高校生がYouTuberになるために必要なことを聞いてみた。
 
トミー:
「ぼくらも別に、はじめからYouTuberを目指していたわけではなかったので…YouTuberよりは公務員みたいなしっかりした職業を目指した方がいいと思うんですけどね(笑)」
 
カンタ:
「そうだね(笑)。でも、もしYouTuberを目指すなら、早く動き始めた方がいい気がしますね。今は高校生YouTuberも多いし、“誰も手を付けていないジャンル”もこれからどんどん減っていくので、失敗覚悟でとにかく始めてみるのもいいと思います。
 
あと、いろんなYouTuberの動画を観て『どんな動画がバズるのか』を考えてみることも大切ですね。
 
ぼくは今でもほかのYouTuberの動画を観るんですけど、『どんなタイトルだとクリックしたくなるのか』『どうしたら目立つサムネイルになるのか』ということを意識して観るようにしています」
 
トミー:
「あとは、まずは自分が興味のあることを見つけることも大切だと思います。
 
YouTuberって、人気があるジャンルの動画を投稿すれば再生回数が伸びるというものではないんですよね。『大食いが人気だからやってみよう』と思っても、無理してやっていたり、食べてる本人が楽しそうじゃないと観る側も楽しめないと思うんです。
 
だから、『このジャンルは自分が一番楽しめる!』と思えるものを見つけることから始めるのもいいと思いますよ」

 
観客100人から220万人へ!水溜りボンドが語るYouTuberの魅力
 

自分が発信したものを、世界中の人々に楽しんでもらえるYouTuberという職業。
 
野望がある人は、目指してみるのもアリかも?