あま~い幸せを届ける、パティシエになるには?必要な資格や働き方を解説

一口食べれば幸せな気持ちになれるスイーツ。

スイーツが好きで、小さい頃に「将来はケーキ屋さんになりたい」と思っていた人もいるのでは?

そこで、自分が作ったお菓子で人を幸せにするパティシエについて、どんな仕事なのか、どこで働いているのか、どうやったらなれるのかなどを調べてみた。

実際に自分のお店を持つパティシエにも話を聞いたので、パティシエという仕事が気になる人はぜひ参考にしてほしい。
<今回お話を聞いたのは>

L’ATELIER HIRO WAKISAKA(ラトリエ ヒロ ワキサカ) オーナーパティシエ 脇坂紘行さん 大学卒業後、パティシエを目指して専門学校に進学。卒業後は老舗パティスリーなどで経験を積み、2009年にパティスリー「モンサンクレール」のスーシェフに就任する。国内コンクールでの受賞や企業とのコラボレーションなど、幅広く活躍。2018年に自身のパティスリーを神奈川県にオープンさせ、人々を笑顔にするお菓子を作り続けている。

パティシエとは?

パティシエとは、「お菓子を作る人」を意味するフランス語で、ケーキなどの洋菓子を作る職人のこと
 
ケーキ、パイ、ムース、タルト、チョコレート、クッキー、マカロン、アイスクリーム、シャーベットなど、さまざまな洋菓子を作るプロフェッショナル。
 
パティスリー(洋菓子店)のほか、レストラン、ホテル、結婚式場、お菓子メーカーや工場などで、洋菓子を作ったり、新しい商品を考えたりもする。

パティシエとパティシエールの違いって?

 「パティシエ」のほか、「パティシエール」という言葉を聞いたことがある人もいるのでは?
 
パティシエとパティシエールの違いは性別にある。
 
パティシエの語源であるフランス語には男性名詞と女性名詞があり、パティシエは男性、パティシエールは女性を指す。
 
言語的な違いであり、性別によってパティシエの仕事内容が変わることはないので、性別にかかわらずパティシエと呼ばれることが一般的だ。

パティシエの仕事内容は?何をする? 

パティシエの仕事は、
 
・洋菓子を作る
 
・新商品を開発する
 
・店舗経営やプロモーションをする
 
・洋菓子を販売する
 
と、大きく4つに分けることができる。
 
仕事の内容を一つずつ見ていこう。

洋菓子を作る

作る洋菓子の種類によって工程は異なるものの、材料を量ったり、生地を焼いたり、ムースを仕込んだり、デコレーションをしたりと、洋菓子を作るためには多くの工程がある。
 
そのため、店舗によっては工程ごとに担当が分かれていることもある。
 
新人のうちは、道具の準備や材料の計量をまかされることが多く、先輩たちの作業を見て自ら工程を理解し、作り方を学んでいく。
 
脇坂さんにもお聞きした。
 
「例えば、2~3人で1チームとなって道具の準備や材料を量る担当と仕込む担当に分かれたり、デコレーションなどの仕上げは全員で行ったりと、働く先によって担当のしかたは異なります。
 
店舗の規模が大きいと作るお菓子の数も多いので、工程ごとに担当が分かれることが多く、扱う材料の温度帯にあわせて『生地を仕込む』『オーブンで焼く』『仕上げる』という3つに分けられることがあります。
 
『生地を仕込む』工程では、パイやタルト、クッキーなどの生地をつくってのばす、型に流し込むといった焼く前までの作業を担当します。
 
『オーブンで焼く』工程では、型に流し込んだり、形を整えたりした生地をオーブンで焼く作業を行います。
 
『仕上げる』工程では、ムースを仕込むほか、クリームを使ってケーキを仕上げるデコレーションを行います。
 
『生地を仕込む』『仕上げる』工程はバターやクリームが溶けない室温で作業する必要があるので、『オーブンで焼く』と作業する場所が分かれることが多いですね」
※オーブンの熱でバターなどが溶けないよう、工程に合わせて作業を分担する店舗もある
※オーブンの熱でバターなどが溶けないよう、工程に合わせて作業を分担する店舗もある

新商品を開発する

パティシエとしてキャリアを積んでいくと、新しい商品の開発に携わることも。
 
季節のフルーツを使ったり、自分がおいしいと感じたメニューにヒントを得たりと、さまざまなアンテナを張ってアイデアを出し、試行錯誤を繰り返して商品化していく。
 
おいしさはもちろんのこと、作る工程の大変さ、コスト、日持ちするかなどもふまえて開発する必要がある。

店舗経営やプロモーションをする

店舗内のパティシエのトップとして全体を統括する最高責任者「シェフパティシエ」になったり、シェフパティシエを補佐する「スーシェフ」になったりすると、店舗の経営やプロモーションにも携わるようになる。
 
一般的にはさまざまな店舗で働いて経験を積み、パティシエとしての腕を認められたうえで、売り上げの管理など経営にかかわることを少しずつまかされるようになっていく。
 
また、独立して自分の店舗をもつ場合、売り上げの管理やプロモーションのほか、スタッフを雇ったり、マネジメントをしたりと、店舗を維持するために経営が重要な仕事になる。

洋菓子を販売する

パティシエが販売に携わるパティスリー(洋菓子店)もある。
 
また、販売専門スタッフがいる店舗でもお客さまが多いときはパティシエが販売を手伝うことがあるほか、1年めの新人のうちは主に販売を担当するというケースもある。
 
お客さまとコミュニケーションをとり、反応をダイレクトに感じられることで、ニーズを知ることができたり、笑顔に触れてやりがいを実感できたりするほか、ケーキの箱の入れ方、ギフトの包装のしかたも身につけられる。
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パティシエにはどんな名称がある?
 
パティシエの中でもさまざまな役割があり、それに合わせた呼び方がある。
 
マメ知識として知っておくとパティシエの世界が広がるかも!?
 
<役職名>
・シェフパティシエ
店舗内のパティシエ全体をとりまとめる最高責任者。
 
パティシエとして高い技術や幅広い知識を持ち、売り上げの管理に携わったり、材料の発注をしたり、新しい商品を開発したり、スタッフを育成したりと、全体の管理を行う。
 
・スーシェフ
フランス語で「副料理長」を意味するスーシェフは、シェフパティシエをサポートする役割をもつ。
 
<作る工程ごとの呼び方>
・トゥリエ
スポンジ、パイ、クッキーといった焼き菓子などの生地を作る担当。
 
・フルニエ
形成された生地をオーブンで焼く担当。
 
・アントルメンティエ
クリームやフルーツを使ってデコレーションを行い、仕上げをする担当。
 
<お菓子別の呼び方>
・グラシエ
アイスクリームやシャーベットなど、冷たいデザートを専門に作るパティシエ。
 
・ショコラティエ
チョコレート菓子を作ったり、チョコレートでデコレーションを行ったりする、チョコレートの専門家。
 
・コンフィズール
キャラメルやマシュマロ、マジパン、飴細工など、砂糖が主原料となるお菓子“糖菓”を担当するパティシエ。
 

パティシエはどこで働くの?

パティシエが働く場所には、パティスリー(洋菓子店)、レストラン、ホテル、結婚式場、お菓子メーカー・工場がある。
 
働く先によって、作るお菓子が異なるだけでなく、求められる技術も少しずつ異なる。

パティスリー(洋菓子店)

パティシエが働く場所の一つが、洋菓子専門店であるパティスリー。
 
誕生日ケーキを買うなど、「街のケーキ屋さん」としてみんなの生活にも身近なので、パティシエが働く先として思い浮かべる人が多いだろう。
 
2~3人で1チームとなって作業を分担したり、生地作りから仕上げまで全工程を担当したりと、店舗によって携わる工程が異なる。
 
場合によっては、作ったお菓子の販売に携わるケースもあるほか、ホテルと提携してお菓子を販売するパティスリーもある。

レストラン

レストランで働く場合、コース料理のデザートを作るのがパティシエの主な仕事。
 
お皿への盛り付けも含めてデザインしたり、コース料理とのバランスをふまえたメニューを考えたりすることも大切。
 
バースデープレートなど、誕生日や記念日のためのオリジナルのデザートを作ることもある。
 
持ち帰り用ではなく、その場でお客さまに提供できる分、繊細な表現や華やかな演出なども含めてデザートを作ることが求められる。

ホテル

 ホテルでは、主に宴会などで提供するコース料理のデザートを手がける。
 
ホテルで販売するギフト用などの持ち帰りのお菓子を作ることもあれば、結婚式を行うホテルでは結婚披露宴用のお菓子作りを担当することも。
 
国内や世界で行われるコンクールやコンテストに強く、チョコレートや飴細工などの技術が高いホテルもある。

結婚式場

結婚式場では、ウエディングケーキやデザートビュッフェ用のスイーツ、コース料理のデザート、引出物用の焼き菓子など、結婚式のためのお菓子を作る。
 
決まったデザインのケーキを作るだけでなく、新郎新婦の希望に合わせて一からオリジナルでデザインをするオーダーケーキに対応する結婚式場もある。

お菓子メーカー・工場

お菓子メーカーでもパティシエが働いている。
 
新商品を開発したり、お菓子を作るための工場をもつメーカーであれば工場でお菓子作りに携わったりと、パティシエが活躍している。

働く場所はどう決める?

パティシエが働く場所はさまざまにあり、作るお菓子の種類の違いだけでなく、給料や働き方にも違いがある。
 
働く場所を考えるときのアドバイスを脇坂さんにお聞きした。
 
「まず、将来パティシエとして何をしたいのか、目標は何かを考えてみてください。
 
自分の表現でお菓子を作りたいなど、将来的に独立を視野に入れているならパティスリーやレストランで働くのがおすすめです。
 
ホテルや結婚式場、お菓子メーカーは、給料や労働時間が安定している傾向にあるので、安定した環境でお菓子作りをしたい人に向いていると思います。
 
また、最近では店舗を持たずにオンラインショップで自分が作ったお菓子を販売するパティシエも出てきています。
 
自分のお店を開くためには店舗を借りたり、機材をそろえたりとお金が必要になるので、まずは開業資金を貯め、自分の名前を広めるためにオンライン販売を活用している人もいます」

パティシエになるには?

※さまざまな洋菓子を作る職人になるには、どんなルートがあるか見ていこう
※さまざまな洋菓子を作る職人になるには、どんなルートがあるか見ていこう
 

パティシエになるには、調理・製菓系の専門学校に進学する、もしくはパティスリーなどの店舗に就職して修業をするルートがある。
 
専門学校でパティシエの基礎を学んでから現場に出るか、いち早く就職して現場に触れ、自ら学んで技術を身につけるか、どちらが自分の状況に合っているか、また、自分が将来どんなパティシエになりたいかに合わせて選ぼう。

専門学校などで学ぶ 

パティシエになるために進学するなら、調理・製菓系の専門学校が候補になる。
 
調理・製菓系の専門学校の多くは2年制だ。
 
実際にパティシエとして活躍する人が直接教えてくれる学校、お菓子作りの本場である海外への研修旅行や留学プログラムがある学校など、実践的なカリキュラムが充実している学校も多い。
 
専門学校を卒業してパティシエとして就職しても、最初のうちは準備や片付けを担当するほか、先輩の作業を見て学ぶところからのスタートになるが、学校で学んだ知識が土台にあるので、理解がスムーズになるはず。
 
学校ごとに特色があるので、気になる学校を調べてみよう。 パティシエを目指せる学校を探す

店舗で修業をする

進学をせずに、パティスリーやレストランなどに就職をしてパティシエとしての修業をするという方法もある。
 
未経験での採用となるので、最初のうちはお菓子作りに携わるよりも準備や片付けなどの見習いとしての仕事になる。
 
材料や型を用意したり、計量をしたり、器具を洗って片付けたりといった作業を通して、先輩パティシエの仕事を見て学び、仕込みに必要な材料や器具、効率的な進め方など、お菓子作りの土台となる基礎的なスキルを身につけていく。
 
勤務時間や給料など働く環境は店舗によって異なるので、自分がどう働きたいか、どんなパティシエになりたいかを考えたうえで、修業を積む店舗を探そう。

パティシエに必要な資格は?

パティシエになるために必須となる資格はない。
 
ただ、パティシエに関係する資格として、製菓衛生師と菓子製造技能士がある。
 
どちらも国家資格なので、取得をすることでパティシエとしての高い技術や知識があるという証明になる。
 
専門学校に進学するなら、これらの受験資格を取得できたり、実務経験が短縮されたりする学校もあるので、興味がある人は調べてみるのがおすすめだ。 パティシエを目指せる学校を探す

製菓衛生師

製菓衛生師は国家資格であり、さまざまな製菓の技術や知識を身につけているという証になる資格。
 
また、安心で安全なお菓子を作るための衛生管理に関する知識も求められるのが特長だ。
 
専門学校に進学する場合、学校によっては1年生のカリキュラムを修了した時点で受験資格を取得できることもある。
 
自分でお店を開く場合、食品衛生責任者の資格取得が必要となるが、製菓衛生師の資格をもつている場合は講座の受講が不要となり、申請をすれば食品衛生責任者になれるため、将来開業したいと考えている人は視野に入れておくといい資格と言える。

菓子製造技能士

国家資格である菓子製造技能士は、洋菓子と和菓子のジャンルに資格が分かれていて、それぞれ1級・2級がある。
 
製菓衛生師の試験とは異なり、学科試験に加えて、実際にお菓子作りを行う実技試験も行われる。
 
1級を受験するためには7年以上の実務経験が必要となり、お菓子作りの実技試験のほか、製品検査やデザイン、見積りなどの作業も行われ、管理者としての知識も必要となる。
 
専門学校によっては、卒業時に2級の受験資格が得られたり、短い実務経験で1級を受験できたりもするので、調べてみよう。 パティシエを目指せる学校を探す  

パティシエに向いている人は?

※パティシエに向いているのはどんな人?
※パティシエに向いているのはどんな人?
 

お菓子を作る仕事なので、何よりも「お菓子が好き」「お菓子で人を幸せにしたい」という人、「どうしたらもっとおいしいお菓子を作れるのか?」という探究心をもち続けられる人が向いていると言える。
 
また、パティシエは一人で黙々とお菓子を作るイメージがあるかもしれないが、実際は複数人で協力してお菓子を作り上げるため、全体の動きを見ながら「今自分がどう動いたら効率的か」と考えることができるチームワーク力も必要となる。
 
脇坂さんにパティシエに向いている人について聞いたところ、
 
「器用さや豊かな感性が必要では?と考える人もいるかもしれませんが、必須ではありません。
 
器用さがなくてもまわりでカバーできますし、ケーキのデザインなどはあとから学び、感性を磨くことができるので、『不器用だ』『感性に自信がない』という人も心配はいりません。
 
それよりも、一緒に働いていて気持ちのいい元気なあいさつができること、先輩が作業をしている時にサッとサポートに入る気配りができることのほうが大切だと思います」
 
脇坂さんのお話もふまえて、改めてパティシエに向いている人について具体的にみていこう。

お菓子が好きな人

常にお菓子に触れている仕事なので、お菓子が好きということが大事な要素になる。
 
お菓子が好きであれば、お菓子への興味や関心が自然とわき、パティシエとしての知識や技術を意欲的に高められるだろう。

人をよろこばせるのが好きな人 

自分が作ったお菓子を人に食べてもらうことが好きな人、おいしいお菓子を通じて人を笑顔にすることが好きな人も向いている。
 
自分が「おいしい」と思っても、お客さまがそう感じて買ってくれなければパティシエとしての仕事は成り立たない。
 
どうやったらお客さまがお菓子でよろこんでくれるのかを考えながらお菓子作りをしていくことが大切だ。

探究心・向上心がある人

同じ材料の配合で同じお菓子を毎日作ったとしても、その日の気温や室温などによってお菓子のできあがりに違いが出るもの。
 
完成したお菓子の状態を見たり、味見をしたりして違いを感じ取り、「どうやったらもっとおいしくできるかな」「もっとこうしたらいいかも」と試行錯誤していく。
 
そうした積み重ねを続け、おいしさを追求し続ける“ゴールのない仕事”だからこそ、向上心をもつて取り組める人なら、一生パティシエの仕事を楽しむことができるはず。

チームワークでもの作りができる人

現場では2~3人で1チームとなって作業をしたり、全体で連携をとって大量のお菓子を作ったりと、チームワークが大切となる。
 
自分の作業に集中しつつも、まわりの状況を見て自分がどう動くと全体がスムーズに進むのかなど、まわりに気を配り、判断をする力が求められる。 パティシエを目指せる学校を探す

パティシエにインタビュー!


※質問に一つずつていねいに答えてくれた脇坂さん
 

現在、自分のお店を開き、パティシエとして活躍されている脇坂さんにやりがいや目指すきっかけなど、パティシエの仕事についてさまざまな話をお聞きした。

パティシエの仕事について、どう思っている?

 「パティシエが作るスイーツは、誕生日や記念日などのお祝いの場や喜びの行事と一緒にあることが多いので、やりがいが大きく、一生かけてやる仕事に向いていると思います。
 
でも、例えば『おいしくなかった』『異物が混入していた』など、スイーツが原因で大切な日を台無しにしてしまう可能性もあります。
 
人々の大切な日にかかわるからこそ、そうした失敗は許されず、常に最高のお菓子を目指して作らなければなりません。
 
また、赤ちゃんから高齢の方までさまざまな人が口にするため、人の命に接する仕事でもあります。
 
パティシエは、人々の大切な日や命にもかかわる大きな責任を担う仕事なのです

1 日の仕事の流れに密着!


・7時30分 出勤
一から生地を作ってオーブンで焼いたり、前日に仕込んで冷凍しておいたものを解凍してクリームやフルーツを使って仕上げたりと、開店時間までにその日に販売するお菓子を完成させてショーケースに並べる。



※定番から季節に合わせたフルーツを使ったケーキなど、さまざまな種類を作り上げ、並べていく
 
・11時 開店
翌日以降に販売するお菓子の仕込みを行う。
 
その日によって、何をいくつ作るかを脇坂さんが決め、スタッフと分担して作っていく。
 
お店が混んできたら販売のサポートに入ることも。スタッフと順番に休憩もとる。


※お客さまがワクワクするようなお店の雰囲気づくりも重要
 


※誕生日ケーキの予約があれば、受け取り時間までにケーキを仕上げる
 


※季節ごとにフレーバーが変わる焼き菓子も販売
 


※焼き菓子やジュレなどの包装も行う。自分の店舗をもつなら包装紙のデザインを決めるのも大切な仕事だ
 
・17時 片付け
材料や器具の片付け、掃除などを行う。
 
・19時 閉店

※お店の戸締りをして、一日の仕事がようやく終わる
 
・19時30分 退勤

パティシエになろうと思ったきっかけは?

「大学時代に飲食店でアルバイトをしていた経験から、年功序列の世界ではなく、努力や実力が結果につながる実力勝負の世界で働きたいと思うようになりました。
 
もともと料理が好きで、自分が作ったケーキで人がよろこんでくれた経験から、パティシエの道に進むと覚悟を決めて、大学卒業後は就職せずに製菓専門学校に進学をしました。
 
大学と専門学校に通っていた分、就職のタイミングは少し遅くなりましたが、『いつか実力をつけてまわりを見返してやる!』と思っていましたね

パティシエの仕事のやりがいは?

 「自分が作ったお菓子をお客さまがよろこんでくれることが大きなやりがいです。
 
お菓子作りに完璧なゴールはなく、『どうしたらもっとおいしくなるか』と常によりおいしいお菓子を追求し、工夫を重ねています。
 
今日より明日、明日より明後日と、もっとおいしいお菓子を作ることができるよう、積み重ねを一生続けていく仕事だからこそ、そこにやりがいや楽しさを感じています
 

※働き始めた1~2年めから愛用している回転台とパレット。「物を大切にすることでお菓子作りも変わってきます」

パティシエは忙しいの?いつが忙しい?

12月のクリスマス、2月のバレンタインデー、3月のホワイトデーの期間が一年で一番忙しい時期です。
 
一方で、夏は暑くてケーキを持ち歩く人が少ないこともあり、忙しさが落ち着きます。
 
ただ、百貨店で行われるクリスマス、バレンタインデー、ホワイトデー企画で販売するためのケーキの準備は半年前に始まるので、イベントごとのテーマに合わせてケーキを考えたり、ケーキの撮影を行ったりという準備を夏の間に進めています」

パティシエにとって海外経験は大切?

海外に行き、いろいろな考え方に触れて視野を広げる経験は大切だと思います。
 
例えば、日本ではお菓子に使わない食材を取り入れてみるなど、海外での経験を通じて固定観念にとらわれない発想をもてるはずです。
 

世界大会で日本人が優勝するなど、日本のパティシエの技術レベルは高く、海外でそのレベルを求められる機会も多くあります。
 
フリーランスのパティシエとして海外にレシピを提供するなど、個人で活躍するパティシエも増えてきましたが、まだ海外で活躍するパティシエは少ないので、今後、海外のフィールドを開拓して活躍できる可能性は大いにあると思います

高校生へのメッセージ

 「パティシエを目指しているなら、お菓子だけにとらわれることなく、行ったことのない土地に行って食べたことのない食材や料理を食べる経験をたくさん重ねてください。
 
その経験によって、意外な味の組み合せを発見したり、新たなアイデアが浮かんだりと、パティシエとしての幅が広がるはずです。
 
将来やりたいことが決まっていたら、どんな経験も無駄になることはなく、何でもやりたいことに生かせると思います。
 
『自分の向き・不向き』を知るためにも、遊びも含めていろいろなことに挑戦できる今こそ、さまざまな経験をしてください」
 
 
パティシエにはスイーツで人を笑顔にする、華やかなイメージがあるけれど、それだけではなく、責任が大きくて、常に「おいしさ」を追求し続けるやりがいのある仕事だということがわかった。
 
パティシエへの興味が深まった人は、目指せる学校を探すことから始めてみては? パティシエを目指せる学校を探す