小論文で出題されるかも!? 高校生のためのマイナンバー制度入門 【リクナビ進学ジャーナル】
高校生にもマイナンバー制度は無関係じゃない!
2016年1月の施行から、丸1年がたったマイナンバー制度。
ニュースでもたびたび話題になったように、社会的にも注目度の高いトピックだ。
ただ、その名前は聞いたことがあっても、「自分にはあまり関係なさそう」と思っている高校生も、まだ多いかもしれない。
しかし、実は高校生もマイナンバーの提出を求められることがある。
アルバイトだ。
使う機会がある以上、やはり基本的なことはしっかり理解しておきたい。
しかも、マイナンバー制度には個人情報漏洩などのリスクもあると言われている…!
ちなみに、このように賛否両論ある問題は、大学入試などの小論文のテーマとしても取り上げられやすい。
ここまで読んで気になってきた人も多いのでは?そんなキミに、マイナンバー制度について簡単に解説しよう。
一言で言えば、マイナンバー制度とは日本の国民一人ひとりに一生変わらない番号を付ける制度のこと。
高校生のキミにもしっかり番号は与えられている。
この番号は、年金、健康保険、税金、災害対策などさまざまな分野で活用されることになる。
では、どうしてこのような番号が必要なのだろうか?
役所ごとに管理している個人情報の照合が便利に
住民票、年金、健康保険、税金などの情報は、それぞれ担当の役所が個別に管理している。
今までは、それぞれの情報が同一人物のものであることを確認するには、氏名・住所・生年月日・性別などを利用していた。
しかし、引っ越しをすれば住所は変わるし、結婚して名字が変わることもある。
それもどこかが統一して管理しているわけではないので、役所をまたいだ情報の照合には手間がかかっていたし、ミスの原因にもなっていた。マイナンバーの導入で、この照合作業はグンとスムーズで正確になる。
個人の所得もマイナンバーで管理するので、情報の照合がスムーズになれば脱税や生活保護の不正受給の防止にもつながる。このほか、大災害などの際に、被災者情報を正確に把握するのにも役立てる予定。
このように、行政にとっては国民の個人情報の管理が便利になるというのがマイナンバー導入のメリットの一つ。
国民の側にとっても、役所に申請や届出をする際に、マイナンバーがあれば、今まで必要だった添付書類を省略できるというメリットがある。
今後は、インターネットで自分が受けられる行政サービスなどが簡単にチェックできるマイナポータルという個人向けサイトもできる予定だ。
知られたくない個人情報が漏れてしまうリスクも!?
一方で、デメリットも指摘されている。
その一つが冒頭で触れた個人情報漏洩リスク。
もちろんそれぞれの役所や企業も情報セキュリティにはできる限りの体制を取っている。
しかし、現実には大企業などの情報流出がたびたびニュースになっているように、ハッキングなどによる情報漏洩を完全に防げるのかとなると…。
マイナンバーが知られてしまった場合、不正に集めた複数のデータベースから特定の個人の情報を照合しやすくなる。
悪意をもった業者や個人にとってもマイナンバーが便利なツールになりかねないのだ。
なお、現時点ではマイナンバーの利用範囲は限定的だが、将来的には銀行や病院での利用も検討されている。
そうなると、マイナンバーの流出で預金残高や病歴・通院歴などが知られてしまうリスクもゼロとは言い切れない。
また、すでにマイナンバーと同じような制度を導入しているアメリカや韓国では、他人の番号を悪用した「なりすまし」犯罪が問題になっている。
例えば、勝手に知らない人と結婚したことにされていたり、勝手に自分名義の銀行口座を開設されて犯罪に使われたりといった被害が実際に起きているのだ。
日本では、他国の例を踏まえて、本人確認の方法をより念入りにするなど対策は取っているが、情報セキュリティに100%がありえないことはすでに触れたとおり。
目的も確認せずにマイナンバーを教えるのはNG
このような懸念もあることから、他人のマイナンバーを漏らすことはマイナンバー法で禁じられており、罰則も設けられている。
それくらいマイナンバーは慎重に管理しなければならないものだということだ。
さて、そうなると高校生がまず気をつけるべきことは、自分のマイナンバーを簡単に人に教えないこと。
SNSにアップするなどもってのほか!
高校生が自分で行政手続きを行うことはあまりないだろうから、現時点で人に教える機会があるとしたら、現実的にはアルバイトのときか、大災害が起きたときの本人確認くらい。
なお、今後は日本学生支援機構の奨学金を申し込む際に提出が求められるようになる。それ以外のケースで、特に単なる個人やよくわからない業者から「マイナンバーを教えてほしい」と言われたら、疑ってかかる必要あり。
マイナンバー制度の施行で、「自分の個人情報は自分で守る」ことがますます大切な時代になった。そのことを改めて肝に銘じておこう。