勉強・入試

小論文完全マニュアル④ 合格レベルの模範答案&減点やむなしのダメ答案サンプル集

小論文完全マニュアル④ 合格レベルの模範答案&減点やむなしのダメ答案サンプル集

実例を読んでみると重要ポイントが実感できる!

 
書き方のコツはなんとなく理解できても、実際どう書けばいいのかとなると、壁があるのが小論文。
 
そんなときは合格レベルの模範答案や典型的なミスをしているダメ答案をいくつか実際に読んでみるのがいちばん。
 
というわけで、小論文完全マニュアル④は小論文の答案サンプル集。
 
スタディサプリの小論文講師、小柴大輔先生の解説と併せて紹介しよう。
 

反論を乗り越える「根拠」や「具体例」はこう書く!

【問題サンプルA:テーマ型小論文】
問い:給与の仕組みについて、年功制に代わり能力給(成果主義)を導入することについて、あなたの意見を自由に論じなさい。

 

★☆★☆点数が稼げる!模範答案サンプル★☆★☆

私は①国際化が進み、国内的には少子化・人口減が進む現代社会という視点から、多彩な人材をワールドワイドに集めるためにも、②年功制から能力給への移行は重要だと考える。
 
以下詳しく論じる。
 
③年功制は、新卒一括採用・終身制・定年制などとセットで「日本的経営」と呼ばれてきた。なるほど集団や組織を重視する「日本人のメンタリティ」に適しているともいわれる。
 
④しかし、年功制は戦後日本の人口増加という状況で生まれたものだ。
 
100年200年続いた「不動の伝統」ではなく、ある歴史的・社会的な条件下で形成されたものだ。
 
すなわち、「国内の人口増加=労働力人口増・消費人口増」の中で生まれ定着したものだ。したがって、歴史的社会的状況が変化すれば(国際化・少子化・人口減少)、給与の仕組みや働き方も変化することは必然である。
 
商品やサービスを売る消費市場は海外に広がっている。
 
そうした視野の拡大のためにも、人材・労働力の市場を得るためにも「日本的経営」で国内人材を囲い込むのではなく、国際社会から多彩な人材を獲得することが重要であろう。
 
統計によれば、⑤日本のGDPの総額は世界第3位であるが、人口で割った「一人当たりGDP」も働く人の数で割った「労働生産性」でも先進国(OECD)中、平均以下の下位グループである。
 
この点でも国内人口増とは相性のよかった「日本的経営」には限界がきている。ゆえに能力給への移行がこれからの日本には必要であろう。
【解説】

① 大切なのはやっぱり序論。最初に明確に視点を提示することで小論文全体の切り口が絞られ、読みやすい構成になる。これだけで加点対象。
 
② 序論でこの小論文の結論(=自分の意見)を書いている。この構成は非常に読みやすい。
 
③ 自分とは異なる意見(反論)にも触れている。ここでのポイントは自分の意見とは違う立場だとわかるように書くこと。「一般的には~と言われているが」「~という面では評価されているが」といった書き方をすると立場の違いは明確になる。なお、反論はあくまで脇役なのでボリュームが増えすぎないように注意。
 
④ ここから反論を乗り越えて、自分の意見の強調(再反論)に入っている。再反論は大事なところなので分厚く。続く文章では言い換えや根拠の説明、具体例を重ねて意見に説得力が加えられている。
 
⑤ このように統計を出すと説得力アップ。加点要素になる。OECDの統計など、使えるデータはしっかり頭に入れておきたい。なお、ハッキリ覚えていない場合は無理して使わなくてもOK。

序論になっていない序論は大きな減点対象!

×××減点もやむなし!ダメ答案サンプル×××

①給与の仕組みについて、年功制に代わり能力給(成果主義)を導入することについて、私の意見を述べる。
 
②そもそも給与の仕組みなど、人間が働く動機としては二次的で重要ではない。
 
むしろ、自らの適性にあった仕事かどうかが重要であると私は思う。
 
そのために学校教育を通じて自己の適性を知ること③が重要であるとは私は思う。
 
能力給(成果主義)は④日本人の性格に合っていないため導入しても長く続かないだろう。
 
④能力給の長所もあるので、それを十分に踏まえる必要がある。

 

【解説】

① この序論は、設問の内容を繰り返しているだけで自分なりの視点や切り口がまったく示されていない。序論としての役割を果たしていない「あってもなくてもいい文章」になってしまっている。これは減点対象。とりあえず導入っぽいことを何か書けばいいというものではないのだ。
 
② 設問は給与の仕組みについて尋ねているのに、この内容はまったく設問に応えていない。これは大きな減点対象。0点でも文句は言えない。
 
③ 「~が重要であると私は思う」という表現は直前にも使っている。同じ表現の繰り返しは避けたい。日本語にはさまざまな表現があるのだから言い換えよう。
 
④ 理由や根拠がない横暴な断定になっている。この場合なら、「日本人の性格」とはどのようなもので、なぜ合わないのか、言葉を尽くすべき。ここをしっかり書かないと意見に説得力が生まれない。
 
⑤ この締めは、何が言いたいのか不明。能力給の問題点を重視して書くのか、可能性を重視して書くのか、序論で明記していないから、自分でも最後に来て混乱してしまっている(実はよくあるケース)。
 
また、この一文が自分の意見なのか他者の意見なのかもよくわからない。これも小論文における表現としては大きなマイナス材料。
 
そのうえ「長所である」ことの根拠も示されていない。

図表分析は「点」ではなく「線」を読み取ろう!

 
続いては苦手な人も多い図表分析の模範答案とダメ答案。
 
こちらはポイントとなる部分を抜き出した答案サンプル紹介しよう。
 

【問題サンプルB:図表分析】
問い:図表1・2から読み取れることを記し、あなたの考えを論述しなさい。

 
小論文完全マニュアル④ 合格レベルの模範答案&減点やむなしのダメ答案サンプル集

★☆★☆点数が稼げる!模範答案サンプル★☆★☆

①年少人口比も生産年齢人口比も下降傾向である。
 
一方、老人人口比は上昇傾向で、②90年代後半以降、年少人口比を上回っている。
 
いわゆる③少子高齢化を示している。
 
図表2によれば、④社会保障費はほぼ一貫して増加傾向であり、人口に占める高齢者比率が高まるにつれて、上昇していると言える。
 
また、図表1の将来予測から、今後も社会保障費が増加していくと推測される。
 
したがって、⑤働く世代の税負担などが増すことが考えられる。
【解説】

① グラフなどの数字は、「点」でとらえるのではなく「線」でとらえるのがポイント。この文章は「下降傾向」という「線」を説明しているのでグッド。
 
② 流れの中の転換点、難しい言い方をすると「線の中の特異点」を指摘できている。「線」が読み取れたら次のステップはこれ。どの点を境に傾向が変化しているのかなどを説明できると分析に厚みが生まれる。
 
③ 図表にも設問にも「少子高齢化」という言葉は出てきていない。図表が示していることを自分の知識と関連付けて表現できている。これも図表分析では大事なポイント。
 
④ このように複数の図表が示された場合、その関連性が問われていることがほとんど。図1と図2を関連付けた分析はグッド。
 
⑤ 単に数字が示されただけのグラフから、その意味することを概念化し、まとまった言葉を与えている。この場合は将来どんな問題が起こりうるかと言うことをしっかり記述できている。ここまでできれば図表分析問題の回答としてはハイレベル。

 

図表分析でありがちなミスはこれだ!

×××減点もやむなし!ダメ答案サンプル×××

図表1によれば、2015年の年少人口比率はおよそ13%とわかる。
 
図表2によれば、2015年の社会保障費はおよし120兆円だとわかる。
【解説】

見たままを書いただけ。数字の棒読みで分析になっていない。
 
しかも、数字の推移がグラフで示されているのに、「点」の指摘しかしていない。これでは得点は期待できない。

 

×××減点もやむなし!ダメ答案サンプル×××

図表1によれば、老人人口は増加傾向である。

 

【解説】

こちらは一見「線」を読み取れているように思えるが、実は図表を読み間違えている。
 
図表1は「人口構成比」、つまり割合を示しているだけ。高齢者人口そのものが増えていることを示しているわけではない。
 
実際には日本の総人口はすでに減少が始まっている。
 
割合と実数を取り違えて解釈してしまうのも実はよくあるミス。

要約は「対立構造」をしっかり抜き出そう

続いては、小論文につきものの要約問題の模範答案&ダメ答案も見ておこう。
 

【問題サンプルC:課題文の要約】
問い:以下の文章を読み、200字以内で要約しなさい。

 

【課題文】

心と体が二つの異なる実体とみなす心身二元論には、長い伝統がある。
 
古代ギリシャのプラトンの哲学や近代のデカルトの哲学が代表である。
 
もっと素朴な感覚からも、たとえば、生きて活動していた人間が死んでしまうと体だけ残して活動を停止するところから、魂・心と身体が別物で分離可能なものと見えることも、心身二元論をもっともらしいものとしてきた。
 
こうした心身二元論は、ちょうどアニメにあるような乗り込み型のロボットのようなものとして、人間というものを捉えている。
 
乗り込む人間が魂や心に相当する部分で、一方それに操られるロボットが身体に相当する。
 
『マジンガーZ』でも『ガンダム』でも『マクロス』でも『エヴァンゲリオン』でも、お望みのロボットアニメを思い浮かべていただきたい。
 
この意味でも、ロボット的心身二元論モデルは、私たちになじみ深い。
 
これまで実に多くのロボットアニメが作られ、またこれらを違和感なく見てこられたのも、心身二元的な自分自身と乗り込み型ロボットとの間にアナロジー=類比を見ているからだろう。
 
だが、このような心身二元論的モデル、乗り込み型ロボットモデルは、身体というものを、なにかしら「外部」的なものとして捉えていることが分かる。
 
つまり、自分という人間の核は心・魂・精神と呼ばれるところにあり、身体はそれから区別された周辺的なものと見なされている。
 
しかしながら、よく考えてみれば、身体が「自分」というものから「外」にあるという感覚、身体がよそよそしく感じられる時というのは、骨折などして体の自由が効かない場合や緊張のあまり体がぎくしゃくしている場合など、むしろ特殊な場合である。つまり、通常の日常活動しているとき、私たちは身体の「外部性」など感じたりはしない。
 
あるいは、身体というものの存在をとりわけて意識したりはしないのだ。ことさらに身体を意識しているようでは、日常の行動はうまくいかない。例えば、体重を前方に傾けながら右足を一歩前に出し、そのとき左足は軽く地面をけってそのまま前方に送る、などと意識していては、走ることも歩くこともろくにできはしない。
 
むしろ、身体がほんとうに身体として機能しているときには、身体はその「外部性」を消失している。
 
心と身体との一体感こそ私たちにとって常態なのである。そしてこの心身の一元的な感覚を幸福な一体感と私は呼びたい。
 
だが、先にも触れたように、通常の日常生活が行われているとき、身体はその「外部性」「存在感」を消失しているために、人々はこの幸福な一体感に気付かない。
 
ところが、柱の角に足の指をしたたかぶつけたとき、自分が身体なのだと、ありありと感じる。
 
骨折治療用のギプスをはずされ、リハビリテーションで苦痛のうめき声をたてながら、自分の身体性を取り戻す。歯科医の椅子で呻吟(しんぎん)しているとき、これ以上に、自分が他ならない身体であり、自分の外に身体はなく、身体の外に自分はないということを切実に感じることはない。私たちが苦痛を被(こうむ)ったとき以上には心身の幸福な一体感を感じられないとは、いかにも皮肉だ。
 
(小柴 大輔 『心と体の哲学』)
★☆★☆点数が稼げる!模範答案サンプル★☆★☆

プラトンやデカルトの哲学を代表に、①心身二元論 には長い伝統がある。
 
②また一般的にも心体は別とされがちだ。
 
ここではアニメの乗り込み型ロボットのように身体は心に対して「外部」とみなされる。
 
②だが、 身体を外部と感じるのは体がうまく機能しない特殊な場合である。
 
②むしろ 身体が真に機能するとき心身は一体である。
 
②ただし、 この状態が常態であるために、苦痛を感じた時にしか心身の幸福な一体感を感じられないことは、皮肉だ。
【解説】

① 文章の主役は「心身一元論」だが、敵役(=乗り越えるべき反論)である「心身二元論」について触れている。要約ではこの対立構造を抜き出すことがポイント。
 
② 要約の文章はとにかく短文で切って、適切な接続詞でつないでいくこと。こうすると簡明で論理的な文章になる。

ダラダラと一文が長い要約は減点される!

×××減点もやむなし!ダメ答案サンプル×××

プラトンやデカルトの哲学を代表に、心身二元論には長い伝統があり、一般的にも心体は別とされがちで、アニメの乗り込み型ロボットのように身体は心に対して「外部」とみなされ、身体を外部と感じるのは体がうまく機能しない特殊な場合で、身体が真に機能するとき心身は一体であり、この状態が常態で、苦痛を感じた時にしか心身の幸福な一体感を感じられないことは、皮肉だ。
【解説】

これは要約問題でありがちなミス。「要約=まとめ」だから一文で書くものと勘違いして、約200字を句点なしで書き切ってしまっている。取り上げている重要語句は模範答案と同じでも、非常に読みにくく減点される答案。
×××減点もやむなし!ダメ答案サンプル×××

身体が真に機能するとき①心身は一体である。この状態が常態で、通常の日常生活が行われているとき、身体はその「外部性」「存在感」を消失している。
これを幸福な一体感というが人々はこれに気付かない。
 
ところが、②柱の角に足をぶつけたときや骨折治療用のリハビリテーションで苦痛のうめき声をたてるとき歯科で呻吟(しんぎん)しているとき、身体の外に自分はないということを切実に感じる。

【解説】

① 課題文の主役である「心身一元論」にはもちろん言及すべきだが、この要約では敵役の「心身二元論」が抜けている。
 
② 具体例を書きすぎ。要約では具体例はカットするのがセオリー。

さて、参考になっただろうか。
 
他人が書いた文章を読んでみると客観的にポイントが見えてきたりするもの。これも効果的な小論文対策なのだ!

***
関連記事
小論文完全マニュアル① 意外とみんなわかってない!?目からウロコの「小論文とは?」
 
小論文完全マニュアル② 小論文は序論が命!点が取れる小論文の書き方ガイド
 
小論文完全マニュアル③ 小論文の書き出し 使える文例集
 
推薦・AO入試を受験するなら必見!面接のNG&OK回答例
 
英語で自己紹介する人必見!「部活で頑張ったこと」を英訳&解説
 
小論文で出題されるかも!? 高校生のためのマイナンバー制度入門
 
AO・推薦で受かる「小論文」の書き方まとめ
***

伊藤敬太郎 ライター

伊藤敬太郎

Webサイト、情報誌、メルマガなどで、教育、資格、キャリア、ビジネスといった分野を中心に活動。これまでに執筆した主な媒体は『キャリアガイダンス』『社会人・学生のための大学&大学院選び』『リクナビNEXT』『仕事の教室ビーカム』など。

ページのトップへ