「伯父」「叔父」の違いは?使い分けと由来をスタディサプリ講師がわかりやすく解説!

「おじさん」を漢字で書こうとするたびに迷ってしまう「伯父」と「叔父」。

どっちでもいいと思いながらなんとなく使ってしまうことも多いのでは?

実は明確な使い分けがされている「伯父」と「叔父」。

「伯母」「叔母」の使い分けもできるポイントを学ぼう。

解説してくれるのは
スタディサプリ高校講座の現代文講師 小柴大輔先生

※解説は、スタディサプリ高校講座の現代文講師、小柴大輔先生

Z会東大進学教室で講師を務めるほか、ロースクール(法科大学院)や司法試験受験の予備校においても一般教養小論文を指導している。

感覚ではなく論理的に答えを導く指導に定評があり、「現代文に対するイメージが変わった」と受験生から圧倒的な支持を集めている。

スタディサプリでは、現代文のほか、小論文や総合型選抜・学校推薦型選抜対策講座を担当。

「伯父」「叔父」の意味と違いは?

図解でわかる!「伯父」「叔父」と配偶者の呼び方

※図解でわかる!「伯父」「叔父」と配偶者の呼び方
多くの人が、「伯父」と「叔父」または「伯母」「叔母」の違いは、母方か父方かで使い分けると誤解しがちだ。

しかし、これは正しくない。

「伯父」と「叔父」または「伯母」「叔母」は、自分の親より年長か年少で使い分けるのが正しい。


「伯父」は両親の兄

※「伯父」は両親の兄図を見てみよう。

「伯父」は自分の両親の兄にあたる人の呼称だ。

母方父方に関係なく、親より年上の兄は一律に「伯父」となる。


「叔父」は両親の弟

※「叔父」は両親の弟同じように、両親の弟は、父方母方関係なく「叔父」だ。

次男も三男も、年下の兄弟であれば「叔父」となる。


伯父の配偶者は「伯母」、叔父の配偶者は「叔母」

では、叔母と伯母はどうなのだろうか。

こちらは、「伯父」の配偶者を「伯母」、「叔父」の配偶者を「叔母」という。両親の姉妹でも同じだ。

自分の両親の姉であれば「伯母」、両親の妹であれば「叔母」となる。

それぞれの配偶者も、「伯母」の夫は「伯父」であり、「叔母」の夫を「叔父」とする。


「伯父」「叔父」の語源と由来は?

「伯」「叔」は「字」(あざな)に使われていた

「伯」は首長を意味する漢字だ。

「伯」の「白」は白骨化した頭部の象形文字を表している。

古代中国では、偉人や敵の首長の頭部を保存した習慣があったという。

人を表すにんべんを付けることで、傑出していた人物を表しており、「上に立つ人」を意味する漢字となっている。

一方、「叔」は若い、年少を意味する。

「叔」の左にある部首は、「歩」に近い形をしており、若さによる光の放射を表しているという。

したがって、親よりも年少の弟、妹には「叔」を付けて、親よりも若い親戚を表現するというわけだ。


儒教の教えに由来する

ではなぜ、年少と年長を区別する必要があるのだろう。それは、儒教の教えに由来している。

儒教では、年長者や尊敬する人を呼ぶときに決まりがある。

年少か年長かの区別は重要であり、兄弟・姉妹の上下関係を明確にしなければならない。

そこで、名前のほかに「字」として「伯」「叔」を付けて呼んでいた。

これが日本に入ってきて、現在の形になったといわれている。


「伯父」「叔父」の英語表現は?

英語には年長か否かの区別がなく、どちらも「uncle」だ。
【例文】

He is my uncle and my mother’s older brother.
(彼は私の伯父です)

He is my uncle and my mother’s younger brother.
(彼は私の叔父です)

I’m going to visit my uncle on my mother’s side next week.
(私は来週、母方のおじを訪ねるつもりです)

※3列目の場合、「おじ」とは「伯父」か「叔父」のどちらかはわからないが、英語の場合はどちらに理解されても構わないとされる。

「伯父」「叔父」の他にもある「小父」とは?

※「小父」とは?
家族以外の人を「おじさん」「おばさん」と呼ぶときは「小父」「小母」を使う。

不特定多数の中年以降の男性女性であれば、一律「小父」「小母」だ。

練習問題をやってみよう

【問題】以下の文章に適切な「おじ」「おば」を入れてみよう。

1:父より五歳年上のおじの家を訪ねる。

2:母は長女で、次女にあたるおばに手紙を書く。

3:母方のおばはもう故人で、母より10歳上である。

4:父には弟と妹がおり、私からみておじおばである。

────────────────────────────────────

【解答】1:伯父 2:叔母 3:伯母 4:叔父・叔母

小柴先生からのメッセージ

【from小柴先生】

父方か母方かの区別と誤解されることがある「伯父」「叔父」ですが、年齢の上下を表現していることに注意しましょう。

儒教では、上下関係を重要視します。

年長者を敬う教えがあるからです。

この教えは中国のみならずアジア圏に多く、日本も例外ではありません。

「伯父」「叔父」だけではなく、家族の呼び方は一番下の者からどう見えるかによって変わります。

「お兄ちゃん」「お姉ちゃん」と呼びますが、兄や姉が「弟ちゃん」「妹ちゃん」と呼ぶことは一般的にありません。

さらに、お父さん、お母さん、お祖父さん、お祖母さんなど、お互いの呼称まで変化します。

年長か否かに敏感な言語文化だといえるでしょう。
「伯父」「叔父」の使い分けを知っておくと、例えば小説の中に「伯父」「叔父」が出てきたとき、登場人物の関係性を理解することができる。

言葉の意味を理解することで、作品をより深く読み解くことができそうだ。

すでに読んだことのある作品でも、そのような視点で再読してみると新たな発見があるかもしれない。


参考文献:『新訂 字統』(2007/6/1・白川 静著・平凡社)
取材・文/櫻庭由紀子 監修/小柴大輔 デザイン/ロンディーネ 構成/寺崎彩乃(本誌)


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