十八史略『先従隗始/先づ隗より始めよ』をスタディサプリ講師がわかりやすく解説!現代語訳あり

中国の歴史読本『十八史略』には、日常的にも使われるようなさまざまな格言がある。

そこで今回は『先従隗始/先づ隗より始めよ』について、スタディサプリの古文・漢文講師 岡本梨奈先生に解説してもらった。
【今回教えてくれたのは…】
枕草子『中納言参り給ひて(ちゅうなごんまいりたまひて)』を スタディサプリ講師がわかりやすく解説&現代語訳!
岡本梨奈先生
古文・漢文講師
スタディサプリの古文・漢文すべての講座を担当。
自身が受験時代に、それまで苦手だった古文を克服して一番の得点源の科目に変えられたからこそ伝えられる「わかりやすい解説」で、全国から感動・感謝の声が続出。
著書に『岡本梨奈の1冊読むだけで古文の読み方&解き方が面白いほど身につく本』『岡本梨奈の1冊読むだけで漢文の読み方&解き方が面白いほど身につく本』『古文ポラリス[1基礎レベル][2標準レベル]』(以上、KADOKAWA)、『古文単語キャラ図鑑』(新星出版社)などがある。

1分でわかる! 『先従隗始/先づ隗より始めよ』ってどんな話?

1分でマンガでわかる! 『先従隗始/先づ隗より始めよ』ってどんな話?
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十八史略『先従隗始/先づ隗より始めよ(まずかいよりはじめよ)』をスタディサプリ講師がわかりやすく解説&現代語訳!
【解説】

賢者を招きたいと昭王(しょうおう)から相談された郭隗(かくかい)が「死んだ馬を五百金も出して買ったら、生きた馬ならもっと高く売れると考えた人がおり、それで本当に千里を走る名馬を3頭も手に入れた」という昔の話をして、賢者を招きたいならまず自分を優遇するように言った。

その意図は「自分がこんなに優遇されているのなら私、郭隗(かくかい)より優れていると思う者はこぞってやってくるでしょう。」というもの。

その結果、優れた賢者たちが、自分ならもっと優遇されると考えて、争うように集まってきた。

『先従隗始/先づ隗より始めよ』の登場人物は?

十八史略『先従隗始/先づ隗より始めよ(まずかいよりはじめよ)』をスタディサプリ講師がわかりやすく解説&現代語訳!

※先づ隗より始めよの登場人物は?


●昭王(戦国時代の国、燕の君主)
●隗(燕の賢者、郭隗)

『先従隗始/先づ隗より始めよ』の格言

『先従隗始』から生まれた格言は『隗より始めよ』。

その意味は「言い出した者から実行せよ」で、物事を行うときは、まず身近なことから始めるべき、という教えになっている。

『先従隗始/先づ隗より始めよ』の白文&現代語訳を見てみよう。

部分は下記にPoint記載
昭王招賢者。
昭王が、優れた人物を招こうとした。
隗曰、「古之君、有以千金使涓人求千里馬者。
郭隗が言うには、「昔の君主に、千金で君主の側で雑用をする人に、1日に千里を走ることができる名馬を買いに行かせた者がいました。
買死馬骨五百金而返。
(その雑用係は)死んだ名馬の骨を五百金で買って帰ってきました。
君怒。
君主は怒りました。
涓人曰、『死馬且買之、況生者乎。馬今至矣。』
雑用係が言うには、『死んだ名馬(の骨で)さえ買うのです、まして生きている名馬ならなおさら(高いお金で買うと思う)でしょう。名馬はまもなく来るでしょう』と。
不期年、千里馬至者三。
(そして)まる1年経たない間に、千里の名馬が三頭も来ました。
今王必欲致士、先隗始。
今、王さまが必ず賢者を招きたいと思うのならば、まず隗[=私]から始めてください。
況賢於隗者、豈遠千里哉。」
まして隗[=私]より優れた者が、どうして千里の道を遠いと思うでしょうか、いや、思わないでしょう」と。
於是昭王為隗改築宮、師事之。
そこで昭王は隗のために新しく邸宅を築いて、隗を先生として隗に師事した。
於是士争趨燕。
そこで賢者が(我さきにと)争って燕の国にやって来た。
/『十八史略』より

『先従隗始/先づ隗より始めよ』のポイントをチェック!

Point1:【使役形】 使涓人求~=雑用係に~をさせた

「使」を見たら、使役の助動詞「しむ」ではないかと考えましょう。

まず、その後から動詞を探します。ここでは「求」が動詞です。

その場合、使役の助動詞「使」と動詞「求」の間にある「涓人」が使役の対象(〇〇さんに××をさせる、という文の〇〇さんにあたる部分)になります。

使役の対象[=涓人]の送り仮名は「ヲシテ」です。


Point2: 【抑揚形】 死馬且買之、況生者乎。=死んだ馬さえ買うのです、まして生きている馬ならなおさらでしょう。

「死馬」に「スラ」、「且」には「ツ」と送り仮名がつき、「死馬スラ且ツ之ヲ買フ」。

「況」には「ンヤ」の送り仮名がつき、「いはんや」と読みます。

「況んや~をや」の読みで、「まして~はなおさらだ」の意味です。

よって、「者」には「ヲ」の送り仮名がつき、「況ンヤ生ケル者ヲや」

「Aスラ且ツB、況ンヤCヲや」という抑揚形になり、「AさえBだ、ましてCならなおさら(B)だ」と訳します。

Point3:「従」の読み

この「従」は返読文字で「リ」の送り仮名がつき、「より」と読みます。

意味は「から」です。 参考までに「自」「由」も返読文字で「よリ」の場合があります。

Point4:【反語】 豈遠千里哉=どうして千里の道を遠いと思うでしょうか、いや、思わないでしょう

「豈」の送り仮名は「ニ」で、「豈ニ」が「ン」や「ンや」と一緒に用いられていると反語になります。

ここでは「遠」の送り仮名が「シトセン」で、「ン」があり、その後ろが「哉(や)」なので、反語だと考えられます。

「どうして~だろうか、いや~ではない」と、ひっくり返して訳します。

Point5: 「於是」の読み

「於是」は「ここにおいて」と読み、「そこで」の意味です。

大学入試の頻出問題なので覚えておきましょう。

『先従隗始/先づ隗より始めよ』の意味

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※十八史略『先従隗始/先づ隗より始めよ』の意味とは?

郭隗は「優れた賢者を招きたいのならば、まずは自分の待遇を良くしてください」と昭王に伝え、そのとおりにしたところ、賢者が集まったという。

この話から「先づ隗より始めよ」という言葉が生まれ、ここからさらに「言い出した者から実行せよ」という格言ができました。


取材・文/やまだ みちこ 監修/岡本 梨奈 イラスト/カワモト トモカ 構成/黒川 安弥


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