学問

【対談】堀江貴文×又吉直樹が語る「好きなことをするための“カイゼン”とは」

【対談】堀江貴文×又吉直樹が語る「好きなことをするための“カイゼン”とは」

毎回、各分野のトップランナーをゲストに迎え、堀江氏独自の視点で様々なテーマを深掘りするイノベーション×クリエイティブコース。
 
第5回のゲストは、お笑い芸人として初めて芥川賞を受賞した又吉直樹氏。
 

今まで知らなかった、考えたことがなかったような独特の講義は、「自分でも何かやってみたい!」とモチベーションを高めます。
 

【好きなことをするために“カイゼン”】
意外とみんなアウェイに行っちゃう

 

堀江:高校の時、芸人になりたかったとかあるんですか?
 
又吉:そうですね。
 
中学くらいの時には、芸人やりたいなと思っていました。
 

堀江:それは住んでる場所がそうさせるのか、「俺、おもしろいから絶対なれるな」みたいな感じなのか?
 
又吉:どっちかと言えば、住んでる場所という環境よりは、なんとなく大人になって、どの仕事をするかみたいなことがイメージしにくかったんですよ。
 
【対談】堀江貴文×又吉直樹が語る「好きなことをするための“カイゼン”とは」
 
堀江:そんなのイメージするんですか?
 
又吉:「大人になったら何々になりたい」みたいなことをみんな言うじゃないですか。
 

堀江:僕、そんなのくだらねぇーとか思ってました。
 

又吉:仮面ライダーになって世界を平和にしたい、とか言ってたんですけどね。
 

堀江:
 
又吉:サッカーやってたんですけど、サッカー選手になるのはないなぁとか。
 

堀江:そんなの考えてました? すごくないですか。
 
俺なんか、大学生になっても、何になろうとかまったく思ってなかったですよ。
 

又吉:なるようになるわ、という感覚ですか?
 
堀江:いや。
 
サラリーマンだけは嫌だっていう感覚はあったんですけど。
 

又吉:はいはい。
 

堀江:親がサラリーマンで、あんまり幸せなイメージがなくて。
 
と言うと、全国のサラリーマンを敵に回すぞみたいなことをすごく言われるんですけど。
 
でも、まぁ嘘ついてもしょうがないんで。
 
やりたくなかった。
 
といっても、サラリーマンにならずに、なんか方法はないかとか考えてたわけでもないんですが。
 

又吉:ぼくは考えたんですけど、どの仕事も無理だなって思ったんです。
 
無理そうだから、今、自分がどういう人間かとか、できることはなんやろう?とか、いろいろ考えて。
 

堀江:すげー真面目っすね。
 
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又吉:そうですか(笑)
堀江:俺、ほんと中学とか高校の頃って、ヘラヘラ遊んでました。
 

又吉:へー。
 

堀江:今でいうパソコンにハマったり、麻雀にハマったり。
 
いろんなものにハマっていたんですが、特に将来を考えて、これやっておこうとかは一切なくて。
 
今やりたいことを集中してやる、みたいな。
 

又吉:僕は受験とかどうやったらやらんでええんかなとか、どうやったら働かなくていいんかなとか考えてました。
 
で、深夜番組で若い芸人さんが出てんの観てたら、すっごい楽しそうやなと思って。
 
なんか遊んでいるように見えたというか。
 
大人なのにすっごいふざけてるし、なんやろと思って。
 
なんとなく、ここやったら、大人になったらこんな風に働かなあかんというイメージと全然違うかもなって。
 

堀江:どうですか。
 
今、遊んでる感あります?
 
又吉:ないんすよ。
 

堀江:ないんだ。
 
それ不幸ですね。
 
不幸でもないのかな。
 
どうなんですか?
 
又吉:遊んでる感のある時と、ない時があって。
 
やっぱり自分で何かこういうことやりたいなって始めた時は、まだ遊んでる感はあるんですけど。
 
それ以外の時は、割と朝早く起きたりとかすることもあるんで。
 
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堀江:あー嫌なやつですね。
 
僕も朝はゴルフ以外では早く起きないですもん。
 

又吉:ゴルフだと起きられるんですね。
 

堀江:ゴルフだとまあまあ起きられますね。
 

又吉:へー(笑 好きなことやったら、僕も割と元気なんですけどね。
 

堀江:ゴルフもいろいろ圧力かけて昼くらいに起きたいんですけどね。
 
北海道とかのゴルフ場だと昼前くらいに起きていけるんで。
 
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又吉:へー、昼から回れるんですか?
 
堀江:はい。
 
だから、できるだけそういうところでゴルフするようにはしています。
 
朝はとにかく起きないし、仕事なんか絶対に入れないし。
 

又吉:サッカーとかやと、ホームとアウェイがあって、アウェイのほうが勝ちにくい。
 
自分のコンディションがいいのが、ホームじゃないですか。
 
そう考えると、自分の仕事も常にホームで、自分が一番の状態でできる時にやったほうがいいですよね。
 

堀江:売れてる人はいいんですよ。
 
でも、売れてない奴って、なんか違うことしないと売れないじゃないですか。
 

又吉:そうですね。
 

堀江:もちろんずーっと同じことを続けていって売れる人もいますけど。
 
ベンチャー企業とかだったら、1年やってダメだったら次行こう、次行こうって、どんどんプランB、プランCって変えていくんですよ。
 

又吉:はいはい。
 

堀江:いま自分の生活をそういう風にどんどんカイゼンしていっていますね。
 

又吉:カイゼンって言うんですね。
 

堀江:トヨタ流に言うと、カイゼンですね。
 
自分の中のカイゼン。
 

又吉:へー。
 
自分のコンディションが一番よくなるように。
 

堀江:朝早く起きるとか、嫌なことをできるだけなくす。
 

又吉:僕もそのほうがいいと思うんですけど、好きなことやるまでの途中に、なんかたまに頑張らなきゃいけないこととかありますよね。
 

堀江:それもカイゼン。
 

又吉:へー。
 

堀江:会社作った時、僕はプログラマーっていう仕事だったんです。
 
プログラマーって自分のペースで仕事できるんで、朝まで起きてたら、昼まで寝るみたいなことができるんですよ。
 
午前中は絶対に打ち合わせを入れないみたいな。
 

又吉:ほー。
 

堀江:そうしとけば午前中に入りそうになったら、「あ、その日無理なんですよね」って。
 
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又吉:わざわざ眠い時にね。
 

堀江:意外とみんなアウェイに行っちゃうんですよ。
 
ここしかチャンスないんじゃないかと思って。
 
だからどんどん辛くなっていく。
 
あ、この人は、午前中でもいつでもどんな仕事でも受けてくれる便利な人だなって思われちゃう。
 

又吉:なるほど、そうですね。
 

【空いてるポジション狙おうぜ戦略】
需要が多いところには、みんながいる

 

堀江:昔のアイドルの人って、「アイドルになったら、こうやって売れなきゃいけない」みたいな王道のことしかやんないんですよね。
 

又吉:そうですね。
 

堀江:いっぱい空いてるとこあんのになーって思って。
 

又吉:あーはいはい。
 

堀江:例えば、経済に詳しいアイドルとか。
 
テレビの経済番組とかすぐ決まりそうじゃないですか。
 

又吉:確かにそこ狙っている人はいませんでしたよね。
 

堀江:僕、昔グラビアアイドルとかにそういう話をずっとしてたんですよ。
 
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又吉:はいはい。
 

堀江:これって何がいいかって言うと、経済雑誌の「誰々社長に聞く」みたいな企画の聞き手とかができる。
 
ギャラも多いし、めっちゃ美味しい仕事なんですけど、そういうのって昔からずっと経済番組やってましたみたいな年配の人たちが独占してたんですよ。
 
「お前、経済のことを少し勉強して詳しくなったら、がら空きだよ、ここのポジション」って話してました。
 

又吉:確かに。
 

堀江:麻雀とかも言ってたんですよね。
 
今でこそ美人プロ雀士みたいな麻雀アイドルっていっぱいいますけど。
 

又吉:いらっしゃいますよね。
 

堀江:この間ゴルフコンペの大会みたいなのをつくったんですよ。
 
そこに、よくCS放送で観ていたゴルフ芸人がきたんです。
 
黒田カントリークラブさん。
 
知ってます?
 
又吉:あーはいはい。
 

堀江:めちゃくちゃ引っ張りだこなんですよ、黒田カントリークラブさん。
 

又吉:へー。
 

堀江:何でかっていうと、大手の事務所に所属してないのでマージンがない。
 
まあまあいいギャラで来てくれるんですよ。
 
要は呼ぶコストが安い。
 
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又吉:はい。
 

堀江:で、この人、別にゴルフうまくないんです。
 

又吉:うまくないんですね(笑)
堀江:うまくない。
 
うまくある必要もまったくないんです。
 
昔、芹沢名人って芸人がいて、この人もあまりうまくなかったんですよ。
 

※芹沢名人:元たけし軍団所属のお笑いタレント。
 
俳優業のほかにPGAティーチングプロA級のライセンスを取得しておりゴルフ界でも活躍

又吉:はいはい。
 

堀江:黒田カントリークラブが今コンペとかに一番呼ばれる芸人なんですよ。
 
1回の営業でたぶん20万とか。
 

又吉:へー、大きいですね。
 

堀江:ゴルフコンペって、平日もやっているじゃないですか。
 
もちろん土日もやってるし。
 
月20件、20万円の仕事をこなしたら、400万。
 
年間通してやったら、すげー額じゃないですか。
 

又吉:そうですね。
 

堀江:ゴルフやらないからギャグもわからないだろうけど、「恋もゴルフもアプローチが苦手。
 
黒田カントリークラブです」っていうね。
 
わかんないっすか?
 
又吉:わからんなりにも、なんかわかります(笑)
 
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堀江:それだけで、みんなが笑ってくれるっていうね。
 

又吉:ゴルフやからよかったと思うんですよね、それが。
 

堀江:そうでしょうね。
 

又吉:堀江さんがおっしゃっていたようなことを今みんなも考え始めてるんです。
 
でも後輩としゃべっていて、何か一要素必要やって話になるんですけど、あんま考えてないから半日で取れる資格とか取ってきて。
 

堀江:あーダメなやつですね。
 

又吉:それをプロフィールに書くんですけど、いや、その仕事は4年に1回くらいしかないぞみたいな。
 

堀江:(笑)
 
又吉:そこがまた難しいというか。
 
需要が多いところで自分の個性出そうと思っても、やっぱりみんなそこにいますもんね。
 
だからゴルフなら、ゴルフの技術のほうじゃなくて、そこでみんなを楽しますっていうのは確かにありですね。
 

堀江:以前には芹沢名人がいたんですけど、だんだんフェイドアウトしていって空いていた。
 
そこに気づいたんでしょうね。
 

又吉:あーなるほど。
 

堀江:この間、コンペの時に黒田カントリークラブさんといろいろ話したんですけど、まあ面白くないんですよ、全然。
 

又吉:そうなんすか(笑)
 
堀江:ぶっちゃけ吉本の売れてない芸人と大差ない。
 

又吉:あー(笑)
 
堀江:ポジションさえ取れれば、別にそこまで面白い必要はないのかなって。
 

又吉:でも、多分、みなさんを楽しませているってことですよね。
 

堀江:ちょい自分落として、みんなを優越感に浸らせるっていうね。
 
ゴルフうまくないのも重要だったりする。
 
ゴルフがうまくなると仕事なくなるんじゃないかな。
 

又吉:なるほど。
 
でも隠しているだけで、ホントはむちゃくちゃうまいかもしれないですよね。
 

堀江:そうかもしんないですね(笑) そうとう仕事埋まっているって言ってましたね。
 

又吉:堀江さんはどこが空いているかを自然にセンサーで感じるんですか? 
 
芸人とかグラビアアイドルの方を見て思うんじゃなくて。
 
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堀江:そういうのを考えるのが好きなんですよ。
 
実際、そういう相談に乗ってくれってよく言われるし。
 

又吉:そうでしょうね。
 

堀江:メールマガジンとオンラインサロンをやっているんですけど、そこで相談コーナーみたいなのがあって結構無理な相談もいっぱいくるんですよ。
 
地方の国道沿いの土地を親から相続しましたが、何に活用すればいいでしょうか、みたいな。
 

又吉:難しいですね(笑) 
 

堀江:難しいでしょ。
 
売れって言ったら、売る以外の選択肢でお願いしますって言うんですよ。
 

又吉:あー。
 

堀江:そこまでしてお前らは損したいのかっていうね。
 
だいたいみんなドライブインとかに投資して大失敗して、さらに借金を重ねる、みたいな人が多いんです。
 

又吉:そうですよね。
 

堀江:なので僕はちょっと自分がやりたいことと違うかもしれないけど、空いてるポジション狙おうぜって。
 
空いてるポジション狙おうぜ戦略は、まだまだ全然イケるんですよ。
 
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又吉:どんな業界でも。
 

堀江:そうですね、どんな業界でも。
 
自分が何を求めているか、目指しているかにもよりますけど。
 

又吉:そういう意味でいうと、僕はそんな作戦を立ててとか、戦略家ではないんですけど、10代で芸人になって趣味がお寺とか神社を回ったり、本読んだり、植物や散歩が好きだったりしたんで、若いのにじじいみたいな趣味してるなっていうすごく変な奴として扱ってもらっていたんです。
 
けど、今30代後半で寺社巡りと散歩と読書ってむちゃくちゃど真ん中の趣味なんですよ。
 

堀江:(笑)
 
又吉:個性がだんだんなくなっていってるんですよね。
 

堀江:逆に(笑) でも、まだ30代ならそうでもないんじゃないですか。
 

又吉:いや、今もう、みんなすごい好きですよ、その辺。
 
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堀江:でも、そこで成功してるからいいじゃないですか。
 

又吉:本とかですか。
 

堀江:そう。
 

又吉:趣味がたまたま高じたというか。
 
ラッキーでしたけどね。
 

堀江:ラッキーなんすか(笑) でも、好きだから書けるんですよね。
 

又吉:そうですね、嫌いだったら、もう、やれないですね。
 

堀江:しかも文章書くって、元手の資金はかかんないじゃないですか。
 
時間は取られますけど。
 

又吉:はい。
 
当時は時間なんて、あまりまくってましたから。
 

堀江:そうそう。
 
売るほどあったっていうね(笑)
 

【芥川賞の取り方をHack!】
未熟な期間を見せないで、いきなりすごい奴現れたは難しい

 

堀江:どうやったら芥川賞を取れるのか、知りたいんですよね。
 

又吉:え、どうやったら?
 
堀江:僕は、どっちかというとノーベル賞とかをHackしてみたいんです。
 

又吉:どういう段階を踏んだらってことですか?
 
堀江:段階というか、たぶん取り方のポイントがいくつかあるはずなんです。
 
ちょっとノーベル賞の話していいですか。
 

又吉:はい。
 

堀江:その気になったら、みんなも取れると思うんです、ノーベル賞って。
 
結構変な人が取ってるんですよ。
 

又吉:変わった人が。
 

堀江:例えばノーベル生理学・医学賞ってのがあるんですけど、お医者さんしか取れなさそうな気がしません?
 
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又吉:なんとなくそうですね。
 

堀江:でも、お医者さん以外の人も結構取ってるんですよ。
 
例えばCTスキャンってあるじゃないですか。
 
あれは体をちょっとずつずらして、レントゲン写真を輪切りにして撮っていって、あとでコンピュータグラフィックスで合成しますっていうものがCTなんですけど、工学系の技術者の人が2人で受賞しているんですよ。
 
※ノーベル生理学・医学賞:1979年にイギリスの電子技術者ゴッドフリー・ハウンズフィールドとアメリカの物理学者アラン・コーマックが受賞。
 

又吉:なるほど。
 
発想で取ってるってことですよね。
 

堀江:発想ともちろん技術力もありますけど。
 
レントゲン写真を輪切りにして撮ったら立体映像つくれるなって思いついて、実験したらできそうじゃないですか。
 
なんとなくですけど。
 

又吉:はー。
 

堀江:それを何十年も前にやったっていうのはすごいですよ。
 
すごいですけど、発想と実行力かなって思うと、ノーベル賞って取れそうだなって。
 

又吉:そういう風に考えていくと面白いですね。
 

堀江:そうなんですよ。
 
ノーベル賞の取り方はなんとなくわかるんですけど、芥川賞ってどうやって取ったらいいのかってのが、さっぱり見当つかないんですよね。
 
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又吉:いや、僕もわからないですよ。
 

堀江:わからないんですか。
 

又吉:はい。
 
わからないですけど、なんとなく仕組みみたいなのは、あるじゃないですか。
 
選考委員の方がいて、ノミネートされて、みなさんで読んで、話し合って決めるらしいんですけど。
 

堀江:まず、そのノミネートはどうやって決まっているんですか?
 
又吉:期間内に文芸誌とかの雑誌で発表された短編から中編の作品ですかね。
 

 
過去の受賞者とか作家とかが読んで、これがいいっていろいろ推薦するみたいです。
 

堀江:文芸誌に書かなきゃだめなんだ。
 

又吉:新潮、文學界、群像、すばる、文藝と5誌あるんですけど、必ずこの5つという決まりはなくて。
 
他の雑誌の「ここで発表されてたあれ」ってのもありますし。
 
ご自身で文芸誌をつくって、そこで書いてたら可能性としては一応ありますよ。
 

堀江:そうなんだ。
 

又吉:いっぱい推薦が上がってきた中で、たぶん作家さんや編集者さんたちが読んで、候補にふさわしい作品が何作か選ばれて。
 
最後は選考委員のみなさんが読んで、話し合って決める仕組みらしいんですけどね。
 

堀江:まず入口としては、その5誌に載るのが有力なわけですよね。
 
文芸誌にはなんで載ったんですか?
 
又吉:さっきの5誌は、敷居がたぶん高かったんです。
 
タレントとか芸能関係の人っていうのは、ほとんど書いてない。
 
エッセイとかでさえも1人も書いていないくらい。
 
そこで好きな作家に関するエッセイを書いて。
 
「作家とか文筆じゃない人の文章が載るっていうのはよっぽどすごいことなんですよ」って言われて。
 
「そうなんですか、うれしいです」みたいなのがあって。
 
そっから、まったく世の中に知られてないんですけど、いろんな文芸誌でちょいちょいエッセイを載せてもらったりしてて。
 
【対談】堀江貴文×又吉直樹が語る「好きなことをするための“カイゼン”とは」
 
堀江:してたんだ。
 

又吉:連載もやったりして。
 

堀江:ちょっと待って。
 
一番最初の、好きな作家に関するエッセイはなんで書けたんですか?
 
又吉:年配の方にファンが多い作家さんやったらしくて、20代の読者っていうのが珍しかったんですかね。
 
当時、僕、20代やったんで。
 

堀江:なんて作家さんなんですか?
 
又吉:古井由吉さんって方です。
 
すごく好きやから神保町とか行って、その人の昔の本を買い漁ってたんですよ。
 
で、いっぱい読んでて、それを知り合いの作家さんが「すごい好きなんだね」みたいな感じで面白がってくれて。
 
そういうのがたぶん伝わったんでしょうね。
 

※古井由吉(ふるいよしきち):日本の小説家。
 
ドイツ文学者でもあり黒井千次や小川国夫など内向の世代の一人。
 
『杳子(ようこ)」で芥川賞受賞。
 
『仮往生伝試文(かりおうじょうでんしぶん)」、『中山坂」などが代表作。

堀江:あーなるほど。
 

又吉:で、文芸誌の編集の方から連絡をいただいて、書いてくれませんかってなって。
 
そん時にはたぶん、僕が他所で書いてる文章とかを読んでくれてたとは思うんですけど。
 

堀江:へー。
 

又吉:で、最初断ったんですよ。
 
いや、僕、好きで読んでるだけなんでやめときます、みたいな感じで。
 

堀江:また断りますね、そういうのを(笑)
 
又吉:でも、その編集者の方から「断る方やから頼んだんです」みたいな、すごくうれしい、核心つかれたみたいなこと言われて。
 
で、そのエッセイを読んでくれた人が、またこっちでどうですかとか。
 
なんとなくむちゃくちゃ水面下で、そういうお仕事がちょこちょこですけどあって。
 
【対談】堀江貴文×又吉直樹が語る「好きなことをするための“カイゼン”とは」
 
堀江:あったんですね。
 

又吉:で、2008年以降は、いろんな人に書きましょう、みたいな感じで。
 
編集者の方は、言葉をすごい持ってて。
 
僕、テレビも出てなかったですし、「好きな作家みたいな、こんな文章書けないですし、僕が書かんでも、おもろい作家いますから、いつかもっと書けるようになったら」みたいなことばっかり言ってた時に、編集者さんが、「又吉さんが好きな作家さんみたいな文章は、又吉さんが好きな作家さんも最初からは書いてなかったですよ」って。
 

堀江:うんうん。
 

又吉:書いていく中で、そうなるからって。
 
最初の未熟な期間を見せないで、いきなりすごい奴現れたっていうのは難しいから、だから書いていかないと、と。
 
サッカーでも、プロになってからサッカーはじめるってありえないじゃないですか。
 

堀江:そうですね。
 
創作はしてなかったんですか? フィクションは?
 
又吉:コント書くんで。
 

堀江:そうか、コントがもうフィクションですよね。
 

又吉:あと演劇の脚本も書いてたんで。
 

堀江:あーそうなんですね。
 
【対談】堀江貴文×又吉直樹が語る「好きなことをするための“カイゼン”とは」
 
又吉:はい。
 
架空の人物を動かして、セリフを言わすっていうのは、18歳からずーっとやってきてたんで。
 

堀江:そっか、そっか。
 

又吉:そんなに違いはないんですね、頭の中で考えることは。
 
文章にする時に、小説の文章って、また演劇やコントとは違うんで。
 
そこは一個ハードルやとは思うんですけど。
 

堀江:そしたら、火花がきました。
 
狙ってた編集者さんはよっしゃーですよね。
 
【対談】堀江貴文×又吉直樹が語る「好きなことをするための“カイゼン”とは」
 

又吉:小説書いた時には、話題になるって、そんなに思ってなかったんですよ。
 
短編を書いたこともありましたし。
 
そんなんはまったく。
 

堀江:話題にもならず。
 

又吉:はい。
 
もともと文学オタクみたいなとこがあるんで、今までもほんと狭い世界で、文芸誌に文章載った、本屋行って、本を開いて、「わぁうれしいな」っていうことをずっとやってたんで。
 
まったく話題にならへんし。
 
テレビに出はじめても、そこがフィーチャーされることもなかったですし。
 

堀江:へー。
 

又吉:又吉は着物を着て歩くとか、散歩が好きとか、サッカーやってたとかはあるんですけどね。
 

堀江:たぶん同じ時期に僕の中で一番売れた本を出してたんですよ。
 
でも、もう数秒で抜かれましたね(笑)
又吉:いや、あれはもう、いろんなタイミングでしょうね。
 

堀江貴文
1972年、福岡県生まれ。SNS media&consulting株式会社ファウンダー。
現在は宇宙ロケット開発や、スマホアプリ「TERIYAKI」「755」「マンガ新聞」のプロデュース、また予防医療普及協会としても活動するなど幅広い活躍をみせる。
 

又吉直樹
1980年6月2日生。お笑い芸人。
小説家としても小説『火花」にて芥川龍之介賞受賞。
最新作に『劇場」がある。
 

スタディサプリ進路 編集部

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