雪の結晶、腸の内壁、株価変動…に共通する「数学」とは?

全国的に雪の当たり年となった今シーズン。例年はあまり降らない地域でも今年は雪が積もり、雪路で滑って転ぶなどのハプニングが多いのではないだろうか。

 

また、珍しい雪に童心に戻ってウキウキし、顕微鏡で雪の結晶を見てみた、という人もいるかもしれない。

 

ところで、この雪の結晶には、「数学」がひそんでいることをご存知だろうか。自然に生成される雪の結晶が、実は「フラクタル」という幾何学で説明できるというのだ。

 

フラクタル図形とは、部分と全体が相似となっているもののこと。雪の結晶では枝分かれした先端の形と、全体の形が似ている。

 

雪の結晶

 

このほかに、樹木、葉脈の模様、海岸線、積乱雲、川の全体図形、人体でも血管の分岐構造、腸の内壁など、自然界にはフラクタル図形がたくさん見られる。カリフラワーの一種、ロマネスコは“フラクタルな野菜”として有名だ。でこぼこの房の一つひとつが、その房とよく似た小さな房の集合になっている。

 

ロマネスコ

 

社会現象にもまたフラクタルな性質が見られる。例えば株価や為替の値動きのグラフは、1分毎、1時間毎、1日毎、1ヵ月毎など期間を換えてみても、同じようなグラフの形になるという。フラクタル幾何を発見した1960年代の数学者マンデルブローが、その着想を得たのも株価チャートの形を見ていてのことといわれている。

 

株価変動

 

最近では、フラクタル図形を屋根につけた、「フラクタル日よけ」なるものも登場。表面が樹木の葉っぱのように小片になっているため、周辺への熱放射も小さく、風通しも良いという。自然に息づく数学は、地球温暖化対策にも役に立つようだ。

 

フラクタルの概念そのものは少し難しく感じられるかもしれないが、実は高校の授業にも関連しているという。千葉県立東葛飾高校の福島毅先生はこう説明する。

 

「高校の必修教科『情報』では、アルゴリズムやプログラミングという用語が出てきます。フラクタルは、『自己の構造の中に自己の構造を含む』という本質があるのですが、この性質をうまく利用して、再帰プログラムという手法でフラクタル図形を描くことができます。
再帰プログラムは、呼び出された関数の中で再び『自分自身』の関数を呼び出す手法です。そのこと自体がフラクタルの性質に似ており、面白いですね。インターネットで検索すると、雪の結晶や海岸線のような図形を描くプログラムが紹介されていたりするので、試してみてはいかがでしょうか」

 
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