【人気の理科教師に学ぶ!】アイソン彗星を上手に見る&撮る方法

巨大になると予測されている、アイソン彗星観測のチャンスが近付いている。

 

流星や日食と違い、何日にもわたって長時間見える彗星だからこそ、観測への期待は大きいだろう。

 

そこで、立命館宇治中学校・高等学校のなべ先生に、アイソン彗星にまつわるさまざまな知識とアドバイスをもらい、3回シリーズでお伝えする。

 

前回は、彗星の基礎知識と地球への影響について。今回は、アイソン彗星の観測と撮影の方法を教えてもらった。

 

 

Q.アイソン彗星はいつ、どのように観測したらいいでしょうか。

A.11~12月、日の出前の東の空に見えます。

 

アイソン彗星は11月29日に太陽に最接近すると予測されています(近日点)。彗星は太陽に最も近づく時に最も輝き尾も長くなるので、近日点の前後1カ月ぐらいが観測のチャンスです。

 

11月後半には双眼鏡でも見える程度の明るさになると考えられています。日の出前の東の空に見えますが、11月29日に向けて日に日に低くなるため、東の空が広く見える場所で観察しましょう。ただし、近日点を通過する11月29日と前後数日間は、見かけの位置も太陽に近くなるため観察は難しいかもしれません。

 

観測のねらい目は、近日点を過ぎた直後、再び日の出前の東の空に見えるようになる12月前半でしょう。日に日に高度が高くなるので観察しやすくなり、尾も長く伸びて見やすくなると予想されています。

 

 

Q.滅多にないチャンスなので、ぜひ記録に残したいのですが…。

A.デジカメでの撮影に挑戦してみては?

 

1997年のヘール・ボップ彗星の接近時は、私も含め理科の先生たちはそれぞれカメラを工夫してベストショットを狙ったものです。最近では、デジタルカメラのズーム機能を使って星を撮影することができるようになりました。みなさんも挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

おもちゃ屋さんで売っている3000円程度の望遠鏡の接眼レンズに、自分のデジタルカメラのレンズ部分をぎゅっとおしつけ、次の手順で撮影することができます。デジタルカメラもぶれないように三脚で固定したほうがいいでしょう。携帯電話やスマホのカメラは暗い環境での撮影には適さないので、デジタルカメラの使用をおすすめします。

 

(1)オート機能をはずし、マニュアルモードへ変更する
(2)シャッタースピードを「バルブ」へ ※これが一番重要
(3)ISOは400、ピントは無限大、F値(しぼり)は最小へ
(4)シャッターボタンを20秒程度押す

 

20秒以上押すと、弧状の星の日周運動が写ってしまうので、あまりおすすめできません。一緒に下界の風景を写すと大きさを比較することができ、おもしろいですよ。

 

物理教師のなべ先生だが、実は高校生への進路指導の経験も豊富。次回は、宇宙に興味のある高校生への進路のアドバイスをもらう予定だ。

 
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【なべ先生】
立命館宇治中学校・高等学校 物理教諭 渡辺儀輝
今春、北海道の市立函館高等学校から京都府の立命館宇治中学校・高等学校へ転任。FM番組の科学ニュース、ケーブルテレビの実験ショー、新聞の科学解説記事などで幅広く活躍。「すべての子どもたち、大人たちが理科好きになってほしい」と願っている。