現代社会の変化の中で、人と人との関わりの難しさや複雑さがあらためて注目されています。目に見えない、かたちをもたない心について、私たちはどのように自分の心を他者に伝え、どのように他者の心を理解するのでしょうか。そのようなコミュニケーションの繰り返しによって対人関係はどのようにしてはじまり、深まり、維持され、ときに終わるのでしょうか。この人と人の関わりの中で、心の揺れ動き、すなわち感情が重要な役割を果たします。私の研究室では、コミュニケーションや対人関係、感情といった現象に心理学の観点からアプローチします。近年では、応用的な研究テーマとして、異文化コミュニケーション、緊急事態のコミュニケーションである119番通報、人と人との関わりの中での感情のコントロールである対人感情制御にも取り組んでいます。
コミュニケーションや対人関係、感情は非常に身近なテーマで、ゼミでは自らの経験や関心を研究の出発点として大切にしています。研究プロセスでは、実験や調査、観察など心理学の研究手法を学び、使います。私たちはどのように人を説得するのか。どのように親しみを伝えあうのか。どのようなときに他者に魅力を感じるのか。どのように人は対立し、仲直りするのか。ソーシャルメディアの心理的特徴は何か。どのように幸福を感じるのか。学生は自らの関心に沿った研究テーマを見つけ、仲間と議論しながら助け合い、一緒に追究していきます。
心理学の面白さを知り、そして心理学の学びを起点にして、たくさんの人と関わってください。心理学の学びと、その過程で生まれる新たな関わりが、皆さんのこれからの人生をより豊かなものに変えてくれると思います。
大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了。日本学術振興会特別研究員、大阪大学大学院人間科学研究科行動学系共通助教、神戸学院大学人文学部専任講師などを経て現職に至る。近年は、グローバル化が進む現代社会におけるコミュニケーションの文化比較や異文化コミュニケーションの研究、緊急事態のコミュニケーションとして、災害や病気、怪我の際に消防機関に助けを求める119番通報の研究・教育活動にも取り組んでいる。