最近は、森鴎外や夏目漱石、三島由紀夫などのいわゆる文豪もゲームに登場する時代です。つまりゲームやマンガ、アニメも文学を勉強する一つの切り口になるのです。例えば、近代の文豪たちがキャラクターとして登場するゲームをプレイしたことをきっかけに、太宰など“推し”のキャラクターの作品を読んだり調べたりして、文学に触れることができます。
私の授業では、文学は決して敷居の高いものではありません。教科書に載っている文学には苦手意識があったけれど、ライトノベルやネット小説、ストーリー性のあるRPGゲームが好物という学生にこそ、私の授業に参加してほしいです。その中で、文学は、学校や教科書の中だけで出合うものではなく、スマホやゲームなど全ての遊びや日々の営みと繋がっていることをぜひ実感してほしいと思います。
モットーは「学生を置いてけぼりにしないこと」と伊藤先生。1年生が対象の<創作文芸入門>の授業では、「物語の構想」から人の手に渡る前に必要な「校正」まで学習します。学生たちは伊藤先生のチェックが済んだ作品を真剣な表情で読み返して校正。最初に設定したコンセプトや世界観に乱れはないかといった点も、丁寧に確認していきます。先生は他に<日本文学演習(現代文学)>の授業も担当。アニメ・マンガやライトノベルといったジャンルを題材に、「文学」を身近に感じられる授業を展開します。
面接の際、教科書に載っている作家や作品が好きといったアピールは必要ありません。ライトノベルやネット小説、マンガ、アニメのどんな世界にハマっているのか。その気持ちこそ、今後の学びに活かせるはずです。
埼玉県生まれ。日本文学研究者。國學院大學大学院博士課程後期、埼玉大学にて博士(学術)取得。現在は國學院大學栃木短期大学日本文化学科准教授。研究範囲は、お伽草子や室町戦国期の学芸から現代文化における古典受容、キャラクター文化、妖怪まで幅広い領域に及んでいる。著書に『南方熊楠と日本文学』『擬人化と異類合戦の文芸史』『中世物語資料と近世社会』、編著に『お伽草子超入門』など多数。