「犯罪」という複雑な現象について、犯罪心理学と認知脳科学を組み合わせ、基礎的な心理学の知見を基盤として研究に取り組んでいます。代表的なテーマは「ポリグラフ検査への脳機能計測技術の応用」。ポリグラフ検査とは犯罪捜査で用いられる検査の一つで、一般的には「うそ発見」として知られています。しかし、実際には嘘を見破るというよりは、「事件に関する記憶を持っているかどうか」を判断しているのです。例えば実際に使用された凶器を知っているかに関する質問をします。これまでは自律神経反応のみを用いていたところに、脳活動という新しい指標を加えることで「こころの動き」をより深く解釈し、犯人であることの検出はもちろん、「無実の人が、正しく無実である」ことも重視します。
新岡先生は、講義「テロリズムの心理学」「新しい心の計測学」をはじめ、実験や演習科目を担当。従来の犯罪心理学での知見を学ぶだけではなく、心理学や法律学、脳科学をはじめとする学問を現代社会の問題解決に役立てる手法についても考察を深めます。例えば、個人的な欲求を満たすための窃盗や性犯罪と、テロリズムは全く性質の違う犯罪です。これらを心理学的な観点で考えることで「争いとは何か」といった根源的な問いに迫るとともに、人間社会とこころについて学生が考え、討論し、自身の考えを発信できる学びを計画しています。
犯罪心理学とは、人間を研究する学問である心理学をベースに社会問題の解決をめざす分野です。激変する社会で進化し続ける犯罪や諸問題と向き合い、私たちにとって本質的な「安心・安全」を一緒に学びましょう!
専門分野/犯罪心理学、生理心理学、社会心理学、認知脳科学
略歴/東京大学文学部行動文化学科心理学専修課程および同大学院人文社会系研究科心理学専門分野(修士課程)を修了後、法政大学大学院人文科学研究科心理学専攻(博士後期課程)で学びを追究した。修了後、中央大学研究開発機構で専任研究員として入職。脳科学のための研究デザインの設計およびデータ解析に取り組む。講師。博士・修士(ともに心理学)。