医療・福祉系資格に強いのはどの大学?

大学を選ぶ際に、ひとつのポイントとなるのが資格だろう。特に医療・福祉分野を目指す人にとって、国家資格など、仕事をするうえでなくてはならない資格が多い。

 

そこで今回は、この分野の主要な資格試験に強い大学を厚生労働省の発表した資料をもとに紹介しよう。

 

まず医師、歯科医師の国家資格の合格率が高い大学をみてみよう。

 

【医師合格率(合格者数)】

1位 自治医科大学(私)…99.1%(106人)
2位 名古屋市立大学医学部(公)…98.7%(76人)
3位 日本大学医学部(私)…98.3%(115人)
4位 埼玉医科大学(私)…98.0%(99人)
4位 産業医科大学(私)…98.0%(98人)
4位 順天堂大学医学部(私)…98.0%(97人)

 

合格率で一番高い実績をあげた自治医科大学は「ヒューマニズムに徹した医師を育てること」を教育理念のひとつに掲げ、自主的な学習意欲を促すような授業の充実を目指しているという。ほかにも私立大学では日本大学、埼玉医科大学などが合格率の高い大学となった。

 

【歯科医師合格率(合格者数)】

1位 東京歯科大学(私)…98.3%(130人)
2位 大阪大学歯学部(国)…88.9%(56人)
3位 東北大学歯学部(国)…87.1%(54人)
4位 東京医科歯科大学歯学部(国)…84.9%(62人)
5位 広島大学歯学部(国)…84.7%(50人)

 

歯科医師資格の合格率トップは、東京歯科大学。創立120年あまりの伝統をもつ歯科医学教育の専門大学で、「歯科医師たる前に人間たれ」という人本主義を掲げ、人間力を育てる教育を目指しているという。2位以下は、10位まで国立大学が占め、この分野における国立大学の強さがうかがえた。

 
次にリハビリ・福祉系の3資格に強い大学を紹介しよう。(合格者数別)

【理学療法士合格者数(合格率)】

1位 国際医療福祉大学保健医療学部(私)…99人(98.0%)
2位 北海道文教大学人間科学部(私)…98人(93.3%)
3位 国際医療福祉大学福岡リハビリテーション学部(私)※…95人(99.0%)
※2013年4月から、国際医療福祉大学福岡保健医療学部に改称

 

【作業療法士合格者数(合格率)】

1位 国際医療福祉大学保健医療学部(私)…65人(73.9%)
2位 帝京平成大学健康メディカル学部(私)…58人(61.7%)
3位 東北文化学園大学医療福祉学部(私)…52人(75.4%)

 

【言語聴覚士合格者数(合格率)】

1位 国際医療福祉大学保健医療学部(私)…91人(85.0%)
2位 川崎医療福祉大学医療技術学部(私)…43人(81.1%)
3位 大阪保健医療大学言語聴覚専攻科(私)…42人(100.0%)

 

この分野で強いのは栃木県にある国際医療福祉大学。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の3資格で、いずれも多くの合格者を出している。そこで強さの秘訣について、同大学の保健医療学部長で医療福祉学部長でもある丸山仁司副学長に話を聞いた。

 

「この3つの資格はどれも、試験に不合格になれば、就職先が内定していても取り消されてしまいます。ですから全員合格が目標。模擬試験で良くない結果が出た場合、実力がつくまで教員がマンツーマンで個別指導を行うなど、徹底した試験対策をしています」。

 

この分野を目指す高校生へのメッセージとしては、「高齢の人や障害のある人にも温かい心で接し、前向きに励まし支える力が必要」とのこと。また「リハビリ系の専門職は、医師、看護師、社会福祉士など他職種の人とのチームワークが大切です。学生時代から現場実習などの機会を利用して、他職種の人とかかわりながら学ぶことを意識するとよいでしょう。」というアドバイスもあった。ちなみに、国際医療福祉大学では、『関連職種連携教育』を行い、現場で重視される「チーム医療・チームケア」を実践できる人材を養成することにも力を入れているそうだ。

 

資格取得で実績をあげている学校は、それぞれ対策に力を入れている。「どうしても資格を取りたい」という人は学校選びの際に参考にしてみるとよいだろう。今回紹介したなかでも気になる学校があれば、オープンキャンパスに行くなどして、さっそく調べてみよう。

 

※紹介したのはそれぞれ、第107回医師国家試験、第106回歯科医師国家試験、第48回理学療法士国家試験、第48回作業療法士国家試験、第15回言語聴覚士国家試験の試験結果です。

 

●リクナビ進学「オープンキャンパスに行こう!」コーナー