すぐに解消!眠気を覚ます方法【6選】専門家に聞きました
授業中や家での勉強中に、突然襲ってくるのが眠気。
高校生へのアンケートで「授業中に眠くなった経験はある?」と聞いたところ、眠くなったことがあると答えた人は96.8%という結果に。
※2022年6月スタディサプリ進路調べ 全国の高校生男女310人にアンケートを実施
でも、授業中やテスト中、眠ってはいけないときもあるよね。そんな場合はどうしたら眠気が覚めるんだろう。
今回は睡眠医療の専門家・遠藤拓郎先生に、眠くなる理由や効果的な眠気を覚ます方法を教えてもらった。
遠藤拓郎先生
慶應義塾大学 医学部 特任教授
スリープクリニック調布 院長
目次
眠くなるのはなぜ?原因とは?
そもそも、なぜ眠くなるの?その理由を遠藤先生に聞いてみた。高校生は一番眠たくなる年頃
「勉強や部活、遊びなど、やらなければならないことややりたいことがたくさんある時期なので、自然と睡眠時間が短くなる傾向もあるでしょう。
『ヒトが眠れる時間と布団に入っている時間』を年代別に調べたところ、高校生の年代では、『眠れる時間』が約11時間であるのに対して『布団に入っている時間』は約7時間であり、その差が一番大きい年代であることがわかっています。
体としてはもっと眠れるにもかかわらず、睡眠時間が短いために、『いつも睡眠不足』という状態になっているのです」(遠藤拓郎先生)
寝だめも眠くなる原因
※休日の寝だめは眠気覚ましにならない!?
「平日の睡眠不足を解消しようと、休日にたくさん寝て寝だめをする人もいるのではないでしょうか?実は、それも眠くなる理由の一つです。
中学3年生を対象にした眠気に関する調査では、『日曜日、朝9時前に起きる』という人より『日曜日、朝9時以降に起きる』と答えた人の方が、『平日の朝起きるのがつらい』と回答した人が多いという結果が出ています。
日曜日に遅く起きた方が、睡眠時間がたっぷりと取れて眠気解消になると思いがちですが、実際は日曜日も朝きちんと起きる人の方が、平日に眠気を感じにくくなるのです。
例えば、日曜日の午後まで眠ってしまうと、日曜日の夜は0時になっても眠気が高まらず、深夜に眠ることとなり睡眠不足で月曜日の朝を迎えることになるからです。
寝だめをせず、平日休日問わず、同じ睡眠時間をキープすることが大切なのです」(遠藤拓郎先生)
すぐ効く眠気を覚ます方法とは?
授業中やテスト中にどうしても眠くなったとき、みんなはどうやって眠気を覚ましているんだろう。
眠気を覚ますにはどんな方法が効果的か、遠藤先生による解説と共に、みんなが実践しているリアルな対処法をまとめて紹介するよ。
【1】体を冷やして体温を下げる
「人間は、上がった体温が一気に下がるタイミングで眠くなります。
そのため、体温を上げない、体を冷やすという点で、常に冷たい飲み物を用意して、それを飲みながら勉強をしてみてください。
また、眠いときは、勉強する教室や部屋の環境にも目を向けてみては?
窓側の席は陽があたって暖かくなりがちなので、廊下側の席に座ったり、カーテンで日差しを遮ったり、エアコンで室内を適度に冷やしたりして、体温が上がりにくい環境を整えてみましょう。
靴や靴下、上着を脱ぐ・袖をまくるなど薄着になる、手のひらを机などの冷たい部分に当てて冷やすという方法もすぐできて即効性もあるので、試してみてください」(遠藤拓郎先生)
「上靴を脱ぐ」(17歳女子・福岡)
「水筒に冷たい水を入れているのでそれを飲んだ」(17歳女子・滋賀)
「トイレに行って顔を洗ったり手を洗う」(15歳女子・福島)
【2】動いて体に刺激を与える
「ずっと座っていて動けないということも眠くなる原因です。
そのため、何かしら体を動かすのは眠気を覚ます方法の一つです。
五感への刺激として、特に強力な方法が『立つ』こと。
立つことで全身の筋肉が緊張し、座っている状態よりも体に多くの刺激が入ってくるので、眠気を覚ましてくれます。
そのため、自宅学習では単語を覚えたり、長文を読んだりする時など、机に向かって書く以外の勉強をする時は立って行う、または部屋の中を歩きながら行うといい眠気覚ましになります。
授業中やテスト中は立って動くことができないので、その分、ノートに文字を書くなど手を動かすことで刺激を与えて眠気を覚ましましょう」(遠藤拓郎先生)
「わざとペンを落として体を動かす」(17歳男子・大阪)
「足を浮かして床につかないようにする」(17歳女子・高知)
「少し体を伸ばす」(17歳女子・長崎)
「姿勢を正した」(17歳男子・福岡)
「限界まで息を止めた」(15歳男子・茨城)
「大きく息を吸った」(15歳男子・宮崎)
【3】食べたり、飲んだりして五感を刺激する
※五感を刺激すると眠気覚ましになる
「食べたり、飲んだりすることが五感への刺激に繋がり、眠気覚ましになります。
勉強をしていると血糖値が下がるので、血糖値を上げるという意味でもいいですね。
お茶やコーヒー飲料などでカフェインを摂る方法は、即効性のある眠気覚ましの一つです。
ただ、普段カフェインを摂り過ぎていると効き目が薄れてくるので、テストの時などここぞという時にこそ飲むのがおすすめ。
また、カフェインを一度に摂り過ぎると体から抜けるのに数時間かかるので、夜は飲む量に注意してください」(遠藤拓郎先生)
「休み時間に甘いものを食べる」(15歳男子・北海道)
「ガムを食べていた」(16歳男子・千葉)
「ミントの強いキャンディを食べた」(17歳女子・山口)
「お茶やコーヒー飲料を飲む」(16歳女子・茨城)
【4】触る、つねるで意識を覚醒させる
「体のどこかを触ったり、つねったりしてちょっとした痛みや刺激を与えたりするのは、椅子に座った状態でもやりやすい方法ですね。
眠気覚ましのツボは人によって効果に違いがあるので、自分に効くツボがあるか探してみましょう」(遠藤拓郎先生)
「顔のマッサージをする」(15歳女子・広島)
「手のツボを押した」(17歳男子・千葉)
「手の甲をつねった」(17歳女子・大阪)
「腕をつねる」(17歳女子・新潟)
「太ももをつねった」(17歳男子・大阪)
「目薬をさした」(15歳男子・青森)
【5】他のことに集中して気をそらせる、我慢する
「例えば、好きな人のことを考えてドキドキするのは刺激になりますね。
気をそらせる方法など、自分なりに気持ちを切り替えられるスイッチがあると眠気覚ましになるでしょう」(遠藤拓郎先生)
「とにかく好きな人のことを考えて、頭の中を幸せにする」(17歳女子・大阪)
「ご飯のことを考える」(17歳男子・広島)
「頭の中で1人でしりとりをした」(17歳女子・岡山)
「ひたすらに因数分解を解く」(15歳女子・千葉)
「ひたすら我慢する」(15歳男子・神奈川)
「気合いで乗り越えた」(18歳男子・大阪)
【6】こまめに眠って、眠気を軽減させる
※眠気覚ましには5~10分ほどの睡眠でも効果的!
「眠気を覚ますには『眠ること』が効果的です。
ただ、15分以上眠ってしまうと脳が睡眠モードになって起きにくくなるので、机で5~10分ほど寝るのがいいですね。
実際、5~10分ほど仮眠をとることで眠気が軽減し、作業効率がアップすることが分かっているので、とても有効な眠気覚ましの方法です。
特に、お昼ごはんを食べた後の昼休みは代謝が上がると共に体温も上がるので、眠気を感じやすくなります。そのタイミングで仮眠をとるのがおすすめです。
5~10分ほどの睡眠でも体温が下がるので、起きた後は低い体温を保ちやすくなり、眠気がすっきりするはずです。
また、眠ることによって、寝る前に学んだことが記憶として定着しやすくなるので、学力アップの面でも有効です。
1科目勉強したら仮眠をとるという方法は、眠気の解消にも学力向上にもいいでしょう。
休み時間のほか、帰宅後すぐなど『ちょっと暇な時間ができたな』と思ったら、5~10分の仮眠をこまめにとってみてください」(遠藤拓郎先生)
「休み時間に5分だけ机に伏せて寝た」(17歳女子・群馬)
「仮眠をとった」(16歳男子・兵庫)
「諦めて寝た」(16歳男子・愛知)
遠藤先生からのおすすめアドバイスのまとめ
先生に教えてもらった中で特におすすめの眠気を覚ます方法は「冷やす」「立つ・動く」「こまめに眠る」。
これらの方法をシチュエーションに合わせて使い分けることで、効率よく集中できるはず!
【休み時間や自宅学習時など、時間のある時にできる眠気を覚ます方法】
・冷たいものを飲む
・立って勉強をする
・こまめに眠る
【授業中やテスト中にできる眠気を覚ます方法】
・薄着になる
・手のひらを冷たい部分に当てて冷やす
・ひたすら板書したり、問題を解いたりして手を動かす
眠くならないようにみんなが普段気をつけていることは?
※2022年6月スタディサプリ進路調べ 全国の高校生男女310人にアンケートを実施
「授業中やテスト中に眠くならないように日ごろ気をつけていることはある?」という質問には、4割以上の人が“ある”と回答!
みんなは眠くならないようにどんなことに気を付けているのかな!?
早く寝る
「夜更かししすぎない」(17歳女子・滋賀)
「寝るのを早くする」(16歳男子・群馬)
「徹夜しない」(16歳女子・熊本)
慢性的に平日の寝る時間が遅いことも睡眠不足の原因の一つなので、平日に寝る時間を早めるよう心掛けるのは大切ですね」(遠藤拓郎先生)
ゆっくりお風呂に入ってリラックス
「風呂にはいる」(15歳男子・青森)
「寝る前に白湯をのむ」(15歳女子・大阪)
「身体を温めていったん体温を上げると、体温が下がるタイミングで眠くなるのでスムーズに眠ることができるはずです」(遠藤拓郎先生)
寝る前のブルーライトは避ける
「眠る前にブルーライトを浴びないように対策する」(17歳男子・佐賀)
「スマホやタブレットのブルーライトによって脳が活性化し、睡眠ホルモンの一種・メラトニンが抑制される可能性もあるので、ブルーライトを浴びないようにするのはいいですね」(遠藤拓郎先生)
ストレッチで全身をほぐす
「ストレッチをしてから寝る」(16歳女子・神奈川)
規則正しい生活
「しっかり3食取って運動を30分以上してる」(16歳女子・佐賀)
「自分のベストな睡眠時間を見つける」(17歳女子・愛知)
「脳を活性化させるために、朝ごはんをしっかり食べる」(17歳男子・奈良)
「生活リズムを固定する」(16歳男子・沖縄)
「朝早く起きることで、夜早く眠ることができるので、こうした生活のリズムを整えることが大切ですね。
休日遅起きになりがちの人は、休日の午前中に塾の講義や友達との予定を入れるなど、朝早く起きる用事をつくってみるのがおすすめです」(遠藤拓郎先生)
「睡眠」について理解を深めよう
先生からのアドバイスはどうだった?すぐに試せるものばかりだったので、眠気を感じたらさっそくやってみよう。時間帯や環境、個人差によっても眠気の感じ方・覚まし方が違うから、いろいろな方法を試しながら自分に合った最適な眠気解消法をぜひ見つけてみて!
また、この記事を読んで睡眠についてもっと知りたい!と興味がわいた人は、この機会に詳しく知ってみよう。
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緊張して眠れないときも大丈夫! 眠くなる方法
睡眠について深く知るには「睡眠学」を体系的に学ぶ必要がある。
「睡眠学」は主に3つの領域の学問から構成されている。
まずは治療に直結する「睡眠医学」、さらに社会経済問題からみた「睡眠社会学」、また睡眠の役割やメカニズムを研究する「睡眠科学」だ。
※出典:日本睡眠学会
興味のある人はそれぞれどんな学問なのか見てみよう!
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監修者/遠藤拓郎 取材・文/ミューズ・コミュニティー(2023年5月一部追記) 構成/黒川安弥(本誌)