夕方に眠くなる原因は?すぐできる対策5選!眠気を撃退して勉強効率アップ!

夕方に眠くなる原因は、睡眠時間が足りていない、睡眠の質がよくない、昼間のストレスがたまっているなど、さまざま。

今回は、「勉強に集中したいのに、夕方になるとなぜか眠くなる」という人のために、眠りの専門家に話を聞いてみた。

夕方に眠くなる理由から、夕方の眠気を抑える方法、夕方眠くなった時にやってはいけないことまで、詳しく解説するよ。

 

【今回教えてくれたのは】
眠りとお風呂の専門家 小林麻利子さん
眠りとお風呂の専門家 小林麻利子さん

公認心理師。睡眠改善インストラクター、SleepLIVE(株)代表。
JCSP日本睡眠改善カウンセリング主宰。
科学的根拠のある最新研究を基に睡眠個人指導を行う。
第32回日本睡眠環境学会奨励賞受賞。また、企業の睡眠事業のコンサルティングや、マンションやホテルの睡眠空間提案を行う。
近著に『小林式 マインドフルネス入浴法』(MdN)がある。

夕方になるとすごく眠くなるのはなぜ?

夕方になるとすごく眠くなる理由の一つが、睡眠時間の不足。

年齢に応じて推奨される睡眠時間があるが、その理想の睡眠時間に足りていない場合は睡眠時間を増やすことが大切だ。

また、睡眠の質がよくないと脳・体・心の疲れが取り切れず、夕方に眠くなることもある。

そのほか、昼間に緊張が続いたり、ストレスを感じがちだったりする場合、脳への疲れがたまって夕方に眠くなることも

詳しい話を小林さんにうかがったので、次にまとめたよ。

睡眠時間が足りていない

夕方に眠くなる場合、まずは睡眠時間が足りているかを確認してみよう。

個人差はあるものの、小林さんによると高校生の理想的な睡眠時間は8時間ほどだという。

「アメリカで発表された研究では、14~17歳の望ましい睡眠時間は8~10時間とされています(※)。

さらに、限界最短睡眠時間(最低限必要な睡眠時間)というものがあり、14~17歳の限界最短睡眠時間は7時間

つまり、高校生にとってはどんなに短くても7時間は睡眠が必要で、推奨する睡眠時間は8~10時間ということです。

勉強や部活などで忙しい高校生が9~10時間の睡眠を確保するのは難しいと思いますが、最短でも7時間の睡眠、できるなら8時間の睡眠は心がけられるといいですね。」(小林さん)

※参照:米国国立睡眠財団による理想的な睡眠時間に関するガイドライン(2015年)

睡眠の質がよくない

睡眠の質がよくない
※夜の睡眠の質が夕方の眠気の原因!?
夕方に眠くなるなら、睡眠の質も見直してみよう。

睡眠はその時間の長さも大切だけど、質もとても大切。

睡眠の質がよくないと、朝スッキリ目覚められなかったり、寝ても疲れが取れなかったりして、夕方の眠気につながることも。

睡眠の質がよくないかも…と感じる人は、まずはお風呂の習慣を見直してみては?

人間は体温が一気に下がると眠気を感じるので、湯船に浸かって体を温め、一時的に体温を上げておくと、その後体温が下がる時に自然と眠くなるんだ。

小林さんによると、「睡眠とお風呂はワンセット。お風呂の入り方を変えることで睡眠の質がよくなります」とのこと。
40度のお湯に15分、肩まで浸かる全身浴をしましょう。

体温を上げることで眠りにつきやすくなるほか、リラックス効果もあり、ぐっすり眠ることができるはずです。

さらに、寝る1時間前にはお風呂を済ませておくと、眠りにつきやすくなります。」(小林さん)
そのほか、電気を消して寝る、リラックスするために寝る前に深呼吸をしたり、ラベンダーのアロマの香りをかいだりすることも、睡眠の質をよくするために効果的だそう。
\睡眠についてもっと知りたいならこの記事をCHECK/

睡眠とは?役割や意味をわかりやすく解説!

ストレスで夕方眠くなることもある?

ストレスが理由で、夕方眠くなる場合もある。

例えば、昼間に緊張状態が続くことでストレスがたまり、それが脳疲労として蓄積されて夕方に眠気を感じることがある

夕方は体温が高くなるので本来は眠くなりにくい時間帯。

そんな夕方にすごく眠いと感じる場合は、体や脳が「疲れがたまっている」とアラートを上げている可能性がある
「『授業中、先生に指されないかな…』とドキドキが続いたり、試験で緊張したりすることも脳への疲れにつながり、夕方の眠気の原因になります。

夕方に眠くなるのは、勉強や進路、人間関係などいろいろなことを頑張っている高校生だからこその悩みかもしれませんね。」(小林さん)

夕方の眠気を抑える方法5選

夕方の眠気を抑える方法5選
※夕方の眠気に打ち勝って、成績アップにつなげよう
どうしても夕方に眠くなった場合、体と頭を一緒に動かすことで刺激を与えて眠気を覚まそう

また、体温が上がると眠気が起こりやすくなるので、体温を上げないように体を冷やすことも眠気解消に効果がある

夕方眠くなる日が続くなら、計画的な仮眠を取り入れてみるほか、そもそも夜の眠りの質や量が足りずに脳の疲れがたまりやすい可能性もあるので、睡眠を見直すことも大事。

小林さんから教えてもらった夕方の眠気を抑える方法をまとめて紹介するよ。

【1】ジャンプしながら暗記するなど体と頭を同時に使う

眠くなるのは、暇な時など自分にとって必要がないと思っている時間であることが多い。

そのため、体と頭を同時に使って刺激を与えることが効果的。

自宅など、体を動かしたり、声を出したりしても大丈夫な環境なら、覚えなければならない単語や数式を言いながら大の字ジャンプをするのがおすすめ。

頭を活動させながら、体も一緒に動かそう。

【2】冷たい水で手を洗う

眠気を覚ますなら、体を冷やして刺激を与えることもいい方法。

手軽にでき、効果的なのが手のひらを冷やす方法だ。

そこで、夕方眠くなったら冷たい水で手を洗ってみてほしい。

手を洗うことで気持ちもリフレッシュして眠気が解消されるはず。

手を洗いに行けない環境なら、冷たい水筒やペットボトルを手のひらに当てたり、手で持ったりするだけでも刺激になるので、冷たい飲み物を机の上やバッグの中に用意しておこう。

【3】計画的に仮眠する

緊張やストレスが続きがちな時期なら、計画的な仮眠を取り入れよう。

昼寝をしておくことで、夕方に眠くなるのを防ぐ方法だ。

適切に仮眠をとることでパフォーマンスがアップすることも研究によってわかっているので、夕方以降も集中でき、勉強がはかどるはず。

テーブルの上にうつ伏せになったり、ソファなどに座った状態で寝たりと、エスカレーターの角度である30度よりも横にならない姿勢で仮眠をとることがポイントだ。

ただ、夜の睡眠に影響がでてしまうので、15時以降の仮眠はNG

お昼ごはんを済ませてから15時までの時間のなかで仮眠をとろう。
\効果的な仮眠を知りたいならこの記事をCHECK

仮眠は何分がベスト?勉強の効率が上がる!理想的な仮眠の取り方

【4】柑橘系の匂いをかぐ

柑橘系の匂いをかぐ
※さわやか&フルーティな香りでリフレッシュ
神経を刺激して眠気を覚ます方法として、グレープフルーツなど柑橘系の香りが効果的。

柑橘系のアロマをたくほか、グレープフルーツやレモンが手に入るなら直接匂いをかいでもいい。

柑橘系のさわやかな香りに気分もスッキリして、また勉強に集中できるだろう。

【5】眠そうな人を観察する

 夕方に図書館や自習室など、まわりに人がいる環境で眠くなった時は、ほかに眠そうな人がいないか観察するのもおすすめ。

まわりを見渡して探すことで体や脳が刺激されるほか、眠そうな人を客観的に見ることで自分の眠さも客観的にとらえることができ、自然と眠さが解消される。
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すぐに解消!眠気を覚ます方法【6選】専門家に聞きました

夕方の眠気を防ぐ!脳の疲れをリフレッシュさせる方法3選

夕方の眠気を防ぐ!脳の疲れをリフレッシュさせる方法3選
※昼間の疲れをため込まない工夫を!
夕方に眠くなる理由の一つが、脳に疲れがたまること。

気づかないうちに脳の疲れがたまっていることもあるので、できるだけ脳に疲れをためないようにすることが大切。

そのため、脳疲労につながる緊張やストレスを定期的にほぐすことが、夕方眠くなるのを防ぐポイントになる。

緊張やストレスをやわらげ、体や心もほぐす具体的な方法を小林さんが教えてくれた。

【1】耳をマッサージする

神経に関するツボが集中している耳をマッサージして、血流をよくしよう

耳の血流をよくすると体の血のめぐりもよくなり、さらにリラックス効果も生まれる。
<耳のマッサージ法>

耳の付け根を親指と人差し指でつかむ

大きく上の方向に引っ張りながら、ゆっくり息を吸って、ゆっくり吐く

大きく下の方向に引っ張りながら、ゆっくり息を吸って、ゆっくり吐く

大きく前に一周まわしながら、ゆっくり息を吸って、ゆっくり吐く

反対の向きに一周まわしながら、ゆっくり息を吸って、ゆっくり吐く
ポイントは深い呼吸と一緒にマッサージを行うこと。

休み時間にやってみよう。

【2】「リラックス」と言いながら深呼吸

深呼吸をすることで体と心の緊張をやわらげる方法もある。

呼吸再調整法と呼ばれるこの呼吸法は、強いストレスを感じている人への治療にも取り入れられているもので、体も心もリラックスした状態になれるという。
<呼吸再調整法>

一度、口から息を深く吐く

鼻から3秒ほどかけてゆったり息を吸う

「リラーーーークスーーーー」と静かにつぶやきながら息を吐く

4秒息を止める
ゆっくり呼吸をすることがポイントで、1回深く行うだけでも気持ちが落ち着きやすくなる。

緊張が続いた後に試してみよう。

【3】温かいタオルを目に置く

お湯や電子レンジで温めたホットタオルを目の上に置いて、目を温める方法。

じんわりとした温かさでリラックスできるほか、目を閉じることで視覚情報をシャットアウトでき、脳を休めることにもつながる。

夕方に眠くなった時にやってはいけないことは?

夕方に眠くなった時にやってはいけないことは?
※注意点も確認しておこう
夕方眠くなった時にしてはいけないことは、遅い時間に仮眠をとる、我慢して無理に勉強を続ける、その場に居続けること。

15時以降の仮眠は、夜の睡眠時間や睡眠の質に影響が出てしまうので、夕方眠くなっても仮眠をとることは避けよう。

眠気と戦いながらそのまま勉強を続けたり、その場に居続けたりすることも眠気が解消されず、勉強がはかどらないのでやらないほうがいい。

小林さんのアドバイスを次にまとめたよ。

NG:15時以降に仮眠する

眠くなった時に仮眠をするのは、眠気を解消するだけでなくパフォーマンスもアップさせるので、とてもいい方法。

ただ、仮眠をとる時間によっては逆効果になるので注意が必要だ。

特に、15時以降の仮眠は避けること。

15時以降に仮眠をとると夜の睡眠に影響が出て、寝つきが悪くなったり、睡眠の質が悪くなったりすることも。

夕方眠くなったら「ちょっとだけ寝よう」と仮眠したくなるけど、そこはぐっとこらえて仮眠ではなく、ほかの方法で眠気を解消させよう

NG:眠いのに無理に勉強する

夕方眠気と戦いながら勉強をすることもあるかもしれないが、眠い時は記憶力が低下していて勉強がはかどらないので、効率も下がってしまう。

眠くなったら無理に勉強をしないというのも選択肢の一つ。

いったん勉強の手を止めて、気分転換をしてみて。

NG:その場に居続ける

夕方眠くなる場合、「部屋が暖かい」「自分の興味がないことをしている」など、環境がより眠気を強めていることも。

そのため、そのままその場に居続けると、なかなか眠気から抜け出せない。

外に出てみたり、家なら別の部屋に行ってみたりと、環境を変えることが大切だ。
その場に居続ける
※外の空気を吸ってうまく気持ちを切り替えて

夕方の眠気をうまく解消して成績アップにつなげよう 

夕方に眠くなる場合、頑張っている脳・体・心からの「少し休もう」というサインかも。

小林さんが教えてくれたように夜の睡眠の習慣を見直したり、夕方の眠気を抑える方法を試したりして、上手に夕方の眠気を解消しながら勉強効率を高めよう。

「睡眠」について理解を深めよう!

知っていそうで知らないことも多い睡眠。

「夕方すごく眠くなるのは私だけ!?」「なんで夕方眠くなるの?」。

そんなギモンをもったら、これを機会に睡眠について詳しく知ってみよう。

睡眠は私たちの脳や体、心にも大きく関係している。

睡眠を見直すことによって、夕方の過ごし方はもちろん、高校生活もガラッと変わるかも! \関連する学問をCHECK/

睡眠について深く知るには「睡眠学」を体系的に学ぶ必要がある。

「睡眠学」は主に3つの領域の学問から構成されている。

まずは治療に直結する「睡眠医学」、さらに社会経済問題からみた「睡眠社会学」、また睡眠の役割やメカニズムを研究する「睡眠科学」だ。

※出典:日本睡眠学会

興味のある人はそれぞれどんな学問なのか見てみよう!

医学について知る科学について知る社会学について知る

取材・文/ミューズ・コミュニティー 監修/小林麻利子 構成/寺崎彩乃(本誌)
※2024年4月取材時の情報になります。

【監修者著書】

▼「わたし」と向き合う1日10分のお風呂習慣 小林式 マインドフルネス入浴法〈こころが軽くなる!眠りが変わる!人生が変わる!〉

「わたし」と向き合う1日10分のお風呂習慣 小林式 マインドフルネス入浴法〈こころが軽くなる!眠りが変わる!人生が変わる!〉