\噂の勉強法をスタサプ編集部が検証/ 貼ると晴れる「ふせん」勉強法

タイムラプス勉強法、ポモドーロ勉強法…これまでたくさんの「噂の勉強法」を検証してきたスタサプ編集部。

今回は高校生向けアンケートで寄せられた「ふせんに書くとなぜか勉強がはかどる(気がする)」という噂をチェック。



ふせんを使うことで得られるメリットやおすすめ勉強法を『東大式ふせん勉強法』の著者・清水章弘先生に聞いてみたよ。

ふせん勉強法で東大に現役合格したという清水先生のアドバイス、ぜひ試してみて!

◆プロフィール
清水章弘先生


教育アドバイザー
東京大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科修士課程修了。
自身の時間の使い方や効率的な勉強法を体系化し、東大在学中の20歳で起業。「勉強のやり方」を教える塾プラスティーを経営。
教育委員会や学校、企業などからの教育改革の依頼も多く、全国で教育アドバイザーを務めている。
近年PTAで最も呼びたい講演講師とも言われ、講演内容は、生徒・保護者向けから教員・教育委員会向けまで、多岐にわたる。
『東大式ふせん勉強法』のほか、学習法に関する著書も多数あり、累計40万部以上発行されている。

ふせん勉強法で「D判定」から東大現役合格!

小学生の頃、保護者にもらった「ふせん」をシール感覚で使い始めたという清水章弘先生。

最初は、わからない問題のあるページの上部に目印として貼って、楽しく使っていたそう。

「ぼくが本当にふせんに感謝するようになったのは高校時代。

東京大学合格を目指していましたが、高校3年の12月に受けた東大の模試はD判定で、世界史が50点しか取れなかったのです。

とにかく必死に覚えたり書いたりしていた勉強法を見直して、思いついたのが、ふせんを使った『暗記ドア』という暗記法でした。

ふせんの表に問題、裏に答えを書いて、ドアに貼っておき、正解したらドアを開ける、という暗記法を始めたら、急カーブで成績が上がったのです。

その勉強法を2月の東大入試の2次試験まで続けて、見事に奇跡の逆転を成し遂げ、東大に現役合格しました」(清水先生)

ふせんを使った勉強法のメリットと落とし穴&注意点

先生自身も大学受験の際に大きな助けになったという「ふせん」を使った勉強法。

これはかなり参考になりそうです!

ではふせんを使って勉強すると具体的にどんなメリットがあるのか、また注意するべき点はないかを先生に聞いてみました。

メリット:ふせんのひと工夫で「勉強に前向きモード」になれる!

自分の勉強法に何かひと工夫加えるという姿勢が、ふせんによって引き出されることが大きなメリットです。

先生の話をただ聞いて、黒板の丸写しをするだけじゃなく、例えば重要なポイントに目立つような色のふせんを貼ったり、項目や内容によってサイズや色を変えたふせんにメモをとったり、工夫してノートを作っている人もいるでしょう。

またノートの右上にふせんを貼って、授業中に先生が言ったことを付け足したり、後で調べたいことを書いたり…。

ふせんを使って勉強するということは、みんなと同じ勉強法ではなく、何か自分でひと工夫を加えること

それによって勉強がはかどるようになったり、勉強が楽しくなったりする。

オリジナリティーがあって、主体性が引き出された勉強法になるということです。

先生に言われるまま、授業を聞き、黒板を写して、問題を解く、といった受け身の勉強ではなく、自分に合った方法で勉強を楽しく効果的にするのが、ふせん勉強法のメリットだと思います」(清水先生)

落とし穴&注意点1:ふせんに書いて貼っただけで満足しないよう注意!

「ふせんに限らず、お気に入りの文房具やアプリなどを使ったことで、勉強したつもりになってしまうことがあります。

ふせんに書いて、貼ったことで満足してしまって、覚えた気にならないように気をつけましょう。

自分に合っているか、成果に結びついているかを確認しないでただ新しい勉強法をやってみた、で終わってしまっては意味がありません。

自分に合った勉強法を自分で探し出すことが大切。

ふせんの場合も、いろいろな活用法を試して、こういう使い方は自分には合わなかった、とか、これだと成績が伸びなかった、という小さな失敗を繰り返しながら、自分に合った勉強法を見つけてほしいと思います」(清水先生)

落とし穴&注意点2:ふせんのサイズや色は自由だけど機能性を重視して

「ふせんには、さまざまな種類があります。

暗記したい内容、メモしたいことのボリュームなど、自分がふせんに書きたい量に合ったサイズを選びましょう。

大きめのふせんにまとめて書きたい人、小さめのふせんに箇条書きにして何枚もペタペタ貼りたい人、自分なりの使い方があると思うので、使いやすさを第一にしてください

「なかなか覚えられないことや重要ポイントは目立つ色のふせんを使う」という方法もあります。

ふせんの色もビビッドなタイプからパステルカラーまでカラフルなバリエーションがあるので、自分の好きな色、自分のテンションが上がる色を選べばいいと思います。

ただし、キャラクターやイラストが入っているタイプは、その分、書くスペースが限られてしまうので注意しましょう。

勉強に使うふせんは機能性重視

シンプルなデザインで、はがれ落ちにくい粘着力が強いものを選んでください」(清水先生)

受験の苦手対策におすすめ!ふせん勉強法3選

ふせん勉強法のメリット&注意点がわかったところで実践編!

高校生のみんなが苦労している受験三大落とし穴「1:暗記」「2:志望理由書・小論文などの文章作成」「3:ケアレスミス」に対して、ふせんを使ったおすすめの勉強法を聞いてみたよ。

暗記対策:覚えたいことをドアに貼る「暗記ドア」

暗記対策におすすめの勉強法は『暗記ドア』です。

ぼくは、この暗記法で東大に現役合格できたと本気で思っています。

※ふせん勉強法1 暗記対策:覚えたいことをドアに貼る「暗記ドア」


『暗記ドア』のやり方は簡単。

覚えたい内容を問題にして、ふせんに書き、ドアや冷蔵庫などに貼ります

そして問題に答えられるまでドアを開けられないというルールを決めるのです」(清水先生)

■用意するふせん&アイテム

ふせん:好きなもの。7.5cm×7.5cm、5.0cm×5.0cmの正方形型や7.5cm×5.0cm、7.5cm×2.5cmの長方形型など大きすぎないサイズがおすすめ

ペン:好きなもの。目立つ色だとなおよし

■HOW TO「暗記ドア」

① 覚えたいことを問題形式にして、ふせんの表面に書く

※ふせんの表面に問題を書く

② ふせんの裏に答えを書く

※ふせんの裏側に答えを書く


③ 自分の部屋、トイレ、冷蔵庫など、よく使うドアに貼る(これで準備完了!)

※よく使うドアに貼る

④ 問題に答えられたらドアを開ける。3回連続で正解できたら、ドアの内側に貼る

※3回連続で正解できたら、ドアの内側に貼る


⑤ 毎週日曜日に、もう1回テストをして、覚えられたらはがして捨てる

※覚えられたらはがしてOK!

⑥ 覚えられなかった問題は、ドアの外側に戻して再チャレンジするか、ノートの表紙の裏側に貼ってテスト勉強のときに復習する
「ドアに貼るふせんは多すぎるとなかなか開けられないので、3枚以内がちょうどいいでしょう。

答えられたからといって、すぐはがさないで、必ず復習をすることが大事

またふせんに書く問題文を自分で作って書くことで、覚えたいことを自分のなかで認識してアウトプットすることができるので、記憶の定着につながります。

暗記科目全般に使えますが、問題が長くなりすぎないよう、ふせんのサイズは大きすぎないものがおすすめです。

自分の使いやすい大きさを選ぶといいですね」(清水先生)

志望理由書・小論文対策:アイデア書き出し「構成整理ワーク」

「総合型選抜と学校推薦型選抜の志望理由書や小論文対策にも、ふせんを活用することができます。

例えば志望理由書では、今までやってきたこと、将来やりたいこと、大学で学びたいことなど、構成要素がたくさんあります。

そこで、アイデアを出して整理するために、ふせんを使いましょう。

※アイデア書き出し「構成整理ワーク」

志望理由書や小論文など、長めの文章を書くのが苦手な人も大丈夫。

要素ごとに分けて考えたうえで組み合わせることで、気づけば必要な文字数もカバーできるようになるはずです」(清水先生)

■用意するふせん&アイテム

ふせん:7.5cm×7.5cm、5.0cm×5.0cmの正方形型だと書きやすい

ペン:好きな色のペン

大きめの紙かノート:ふせんを貼りつけて整理するための紙。できれば大きいもの(模造紙サイズなど)がおすすめ

■HOW TO「構成整理ワーク」(志望理由書の場合)

① 用意した大きめの紙をテーブルや床などスペースが取れる場所に置く

② 自分の長所、今までやってきたこと(経験)、将来やりたいこと(目標)、大学で学びたいこと(志望理由)を思いつく分、全部ふせんに書く

③書き出したふせんを①の紙に重ならないようババッと貼る

※ふせんに思いつく限りたくさん書き出してみる


④ 「長所」「経験」「目標」「志望理由」がひも付くよう、ふせんを並べ替える

⑤ 構成がスムーズにいくよう、書きたいことを整理していく
「アイデアに優劣をつけず、まずは思いつくまま、どんどん書いて貼っていって、自分の考えを広げていくことがポイントです。

ある程度のアイデアが出たところで、どれを使うか、どの順番で書いていくのか、ふせんを入れ替えることで整理していきましょう。

小論文の場合は、自分の意見や主張をいくつか書き出して貼り、それに対する根拠もできるだけ多めに書いておきます。

そしてどのルートで文章を組み立てていくと一番説得力があるか、オリジナリティーのある文章になるか、ふせんを入れ替えながら構成を考えます

それを膨らませていきながら、最後に結論をまとめていくのです。

ふせんのサイズによって、箇条書きでもいいし、短めの文章を書いてもいいでしょう。

ふせんは貼る、はがす、ことで位置を入れ替えて考えられるのがメリット

アイデアをたくさん出して、自分の考えを整理するには、ふせんが便利だと思います」(清水先生)

ケアレスミス対策:失敗の傾向と対策を書き出す「ミスらんノート」

「ケアレスミスをなくすには、『どんなミスをしているのか』という傾向を分析し、『では、どこに気をつけるか』という対策を考えることが大切です。

ふせんにケアレスミスの傾向と対策を書いて、ノートの表紙の裏側に貼っておき、テストの前に見直すようにしましょう」(清水先生)

※失敗の傾向と対策を書き出す「ミスらんノート」

■用意するふせん&アイテム

ふせん:好きなサイズ・縦横比のもの

模試やテストの問題&解答用紙:復習に使いたいもの。なるべく直近のもの

ノート:復習用ノートなど普段使っているもの

■HOW TO「ミスらんノート」

① 模試やテストの結果を見て、もう一度やってしまいそうなケアレスミス(※)を探す

※ここでいうケアレスミスとは「注意不足」から起こるミスということ。惜しいミス全部ではなく、「確実にわかっていた(いつもは解けていたのに…!)」と思えるものがケアレスミスです。

② ミスがなかったら何点取れていたかを計算する

③ ミスの特徴(傾向※)をできるだけ具体的に分析する


④ 何に気をつければミスが防げるか、対策を考える

※「計算ミス」ではなく、「移項する際にプラスとマイナスを間違えた」などどんなミスをしたかの詳細まで書くこと。

※ケアレスミスの傾向と対策を1枚のふせんにまとめる

⑤ ケアレスミスの傾向と対策を1枚のふせんにまとめる

⑥ ノートの表紙の裏側に貼って、テストの前に必ず見直す


※ノートの表紙の裏側に貼って見直す

「高校生は定期テスト以外にも数多くの模試を受けますが、受けっぱなしはNG

テストの結果が出たら、できるだけ早くケアレスミスをチェックしましょう。

そして、ケアレスミスの傾向と対策を書いたふせんを貼った『ミスらん(ミスらない+ミスの欄)ノート』を作って、次回のテストに活用してください。

テストの結果を見て、まず『もしケアレスミスをしていなければ何点取れたか』を計算すると、『ミスがなかったらA判定だったのに』『大学受験本番ではミスをしたくない』とモチベーションが上がると思いますよ。

またミスらんノートを作ったら、できれば学校や塾の先生にチェックしてもらうといいですね。

『これをもっと足したほうがいいよ』とか『普段の小テストではこんなミスもしているぞ』、『これは注意力や気持ちの問題のミスではなく、単純な勉強不足だ』といったアドバイスがもらえるかもしれません」(清水先生)

おまけ:ふせんを貼って復習を予約「スケジュール管理」

■HOW TO「スケジュール管理」

「重要ポイントにふせんを貼るのは、よく使われる方法ですが、さらに『後で見直そう』と思った部分を、ふせんでスケジュール予約しましょう。

小さめサイズのふせんに「○月○日に復習する」と具体的な日付を入れて、ノートに貼っておき、見直しのリマインドにするのです。

※ふせんで未来のスケジュールを予約する


大学受験生は勉強することが膨大だから、復習するつもりだったのに忘れて時間が経ってしまった、どこを復習したかったのかわからなくなった、ということがあると思います。

自分のスケジュールに合わせて、復習ができそうな日を予約して、復習したらはがすことで達成感も得られますよ。

ノートにふせんを貼ることで、シンプルに勉強のスケジュールを管理しましょう」(清水先生)

手軽なのに達成感アリ!自分に合ったふせんで勉強効率をUPさせよう

ふせんを使った勉強法は、誰でも気軽にできるし、「覚えられたらはがす」「できたらはがす」という単純作業なのに達成感が得られて、勉強のモチベーションを上げることになる。

自分に合ったふせんを選んで、オリジナリティーのある勉強法を見つけよう!

書籍紹介:清水 章弘『東大式ふせん勉強法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2020年)


「ケアレスミスがなくなる!」「ゲーム感覚で覚えられる!」「親子でやると楽しい!」
子どもが自分から勉強するようになる、「ふせん」を使った勉強法を紹介。
なんと、「やってみた子どもたちの96.5%が効果を実感!」というエビデンスもあり。
※259人の小中高生のうち250人が「今後も勉強に取り入れたい」と回答(プラスティー教育研究所調べ)。

「暗記ドア」「書き込み読書メモ」「ミスらんノート」「時間管理マトリクス」「おうち英語図鑑」「記述分解」などなど9種類の勉強のやり方を、カラー写真入りでわかりやすく解説しています。

詳細:https://d21.co.jp/column/fusen
FROMスタサプ編集部
高校生にとっても身近な文房具「ふせん」がこんなに勉強に活用できるとは…。

こんなアイデアがあったんだ~と取材でも新しい発見がたくさんあったので、みんなもぜひやってみてね。

ちなみにスタサプ編集部SENも8月末に資格試験を受ける予定があったので、「暗記ドア」にトライ。

覚えないといけない公式をトイレのドアに貼ってみたよ。

一日に何回も行く場所だから、予想以上に覚えられる…!

※ふせんを台紙からはがすときは「糊がある面に垂直に」はがすのがおすすめ!
糊がある部分と並行にはがしたら右側が浮き上がってはがれやすくなっちゃった例

この1枚を覚えたら次のふせんをまた1枚、と繰り返したおかげで無事試験に合格することができました。やったー!

From 「これのおかげで試験に合格できました!」という怪しい広告みたいになったけど、効果は抜群なのでぜひやってほしいスタサプ編集部SENより