憧れのあの学校に絶対入りたい人へ!同一校・複数学部出願のメリット&落とし穴
高3一般受験組のみんな、勉強お疲れ~!スタサプ編集部です。
気づけば10月、そろそろ併願校も固めておきたいころだけど、みんなは「同じ学校に複数回出願する予定」ってある?
というのも、過去に取材した高校生エディターにも「前から絶対この大学に入りたいと思っていたから受けられる学部は全部受けた」「同じ学校の試験を別日程で何度も受験した」という人がけっこういたんです。
同一校複数学部出願…例えば「憧れのA大学に行きたいから、文学部・法学部・経済学部・外国語学部を全部受ける」っていうイメージかな。
高校生エディターや卒業生サポーターの先輩に話を聞いた感じだと、特に「認知度が高い大学群や自分が入りたい特定の大学」への出願でこの傾向がみられる様子。
文系学部を受けられるだけ全部受験するなんて極端じゃなくても、「何となく似てそうな経済学部と経営学部を受けた」「受験科目が自分の第一志望学部と同じだから別学部も併願した」みたいな先輩もけっこういたよ。
目次
学校への強い憧れがあれば勉強のモチベーションにブーストをかけて頑張れる気もする一方、その出願で入学して本当に後悔しない?という懸念もありそうなこの問題。
ということで今回はスタサプ編集部が「同じ学校で複数の学部を出願するリアル」を大調査!
実際に同一校の複数学部を出願したことのある卒業生サポーターの先輩たちに、良かったことや後悔・落とし穴になったポイントを聞いてみたよ。
合わせて、受験のプロでスタサプ講師の神﨑先生にも、同一校複数学部を出願するうえで意識したほうがいいことをインタビュー。
同じ大学に出願予定を検討中の人はぜひ参考にしてみてね。
複数学部に出願した理由は?先輩たちのREAL VOICE
先輩たちの複数学部出願経験を大調査!
その理由はやっぱり「この学校に行きたい!」という強い思いが多いみたいです。
「志望校は中学生のころにハマったドラマのロケ地で、歴史ある校舎がとにかくすてき!『こんなキャンパスライフがいい!』とそのころからずっと思っていて、経済学部・経営学部・観光学部を受験した」(omiso先輩/大学1年女子/経済学部・経営学部・観光学部に出願/東京都)
「第一志望校は父・母・兄の母校で自分もなんとしても受かりたかったから」(たろう先輩/大学2年生/理工学部・環境情報学部に出願/神奈川県)
「志望校は家のすぐ近くで、ここだったら通学も楽だし就職も強そうだと思っていたから。文系で興味のありそうな学部をいくつか受験した」(由良先輩/大学1年女子/文学部・グローバル・コミュニケーション学部・グローバル地域文化学部に出願/京都府)
実は私も同一校の複数学部に出願した経験者!
「この学校に行きたい!」っていう強い憧れをもってたなあ。
周りの友達も同じような出願の人が多かった。
一方で学部に深いこだわりはなかったから、出願先は経済・政治系の学部を複数受験。
何となく将来就活や仕事に役に立ちそうな分野で絞り込んで、偏差値や倍率を掛け合わせて決めたなあ。
でも別の志望校ではフランス文学部を受けたり、振り返ると結構カオスな出願…笑
将来の夢がはっきり決まっていなかったけど、「まあ大学入ってから決めればいいかな」ぐらいに思ってたのかも。
この企画を提案した企画会議でスタサプ編集部YUKKYさんに「私もそう!」って言われて「ここにもいたーっ!」ってなったんですよね。笑
そのくらい、同一校の複数学部を出願ってよくあることなのかも。
そして出願先の分野がカオスになりがちエピソードもちらほら先輩インタビューで聞いたのと同じだー!
先輩たち(&スタサプ編集部)の実態が明らかになったところで、続いては複数学部を出願した先輩たちが考えるメリット・デメリットをまとめてみたよ!
神﨑先生の解説と合わせてチェックしてみよう。
神﨑史彦先生
株式会社カンザキメソッド代表取締役。
スタディサプリ講師。私立学校研究家。高大接続・教育コンサルタント。
大学卒業後、大学受験予備校において小論文講師として活動する一方、通信教育会社や教科書会社にて小論文・志望理由書・自己アピール文の模擬試験作成および評価基準策定を担当。
のべ6万人以上の受験生と向き合うなかで得た経験や知見をもとに、小論文・志望理由・自己アピール・面接の指導法「カンザキメソッド」を開発する。
現在までに刊行した参考書は26冊(改訂版含む)、販売部数は延べ25万冊、指導した学生は10万人以上にのぼる。
先輩が感じたメリット①受験料の割引がある
メリットとして多く挙げられたのが「受験料の割引がある」という意見。
「複数出願すると2学部めから受験料の割引があった。3学部出願したけど想定より受験料が安くてよかった」(たくま先輩/大学1年男子/法学部・経済学部・商学部に出願/埼玉県)
受験にかかるお金問題って保護者とも会話しづらいし、悩みどころなんだよね。
そんな中で割引制度があるのはだいぶうれしい!
神﨑先生、実際のところどうなんでしょうか?
受験料の割引制度は同一校複数出願の大きな利点!
同一校の複数出願で受験料が安くなる制度を導入している学校はあります。
通常の一般受験では1学部を1回受験するのに約3万円~3万5,000円前後かかることが多いので、割引制度は複数出願の大きなメリットと言えるでしょう。
例:中央大学「6学部共通選抜」の場合(2022年度入試)
「6学部共通選抜」で複数の学部を受験する場合は、1出願目が3万5,000円。2出願目以降の受験料は1万5,000円(2万円の値引)となる。
※過去の事例のため、今後金額や制度が変更になる可能性があります。
すべての学校でこの制度が導入されているわけではありませんが、同一校複数出願を検討しているなら受験料についてはよく調べてみましょう。
あこがれの大学をお得に受験できるかもしれません。
先輩が感じたメリット②試験問題が共通で対策が楽
続いて挙げられたのが「同じ学校だから試験対策も楽」という意見。
「志望校は統一試験形式を導入していて、試験問題は基本的にどの学部も共通。学部ごとに個別対策をする必要がなく、効率良く勉強できた」(たむ先輩/大学2年女子/法学部・商学部・政治経済学部・経営学部に出願/東京都)
たしかに試験問題が同じだったら、個別の対策なしにまとめて勉強できるから気も楽かも?
神﨑先生、実際のところどうなんでしょうか?
なにか注意ポイントはありますか?
別学部でも同じテスト形式であればメリットに!
学部をまたがって同じテストがある場合や問題が似ている場合はメリットととらえてOKでしょう。
例えば大学側が作成した独自の共通試験を受け、その結果を複数の学部の出願に使える形式を取る学校もあります。
「大学入学共通テスト利用入試」と同じようなイメージです。
- 全学部(法学部・商学部・政治経済学部・文学部・理工学部・農学部・経営学部・情報コミュニケーション学部・国際日本学部・総合数理学部)を対象に実施
- 全学部統一入学試験教科の中から、必要な科目を選択して受験
- 試験教科・科目の選択によっては、併願ができない学部がある
※過去の事例のため、今後金額や制度が変更になる可能性があります。
- 6学部(法、経済、商、文、総合政策、国際経営学部)を対象に実施
- 試験問題は6学部で共通
- 学部や教科型によって必要な試験科目や配点が異なる
※過去の事例のため、今後金額や制度が変更になる可能性があります。
ほかにも、関西圏では立命館大学で「試験日程が異なれば学部・学科・専攻・コースを問わず、複数回受験可」の「全学統一方式」という入試形式があります。
この試験は試験日・試験地・学部が異なっても出題形式・問題傾向は統一されている(2022年度入試の場合)ので、まとめて対策が可能です。
このように学部をまたがっての試験や学校全体で試験を作っている場合は、それぞれの個別対策が必要なくなる分、勉強の効率UPが期待できるでしょう。
ただしテストが共通型でも学部によって必要な試験科目が異なる場合は、各科目の対策が必要になるので要注意です。
先輩が感じたメリット③憧れ校=勉強モチベが保ちやすい
メンタル面でのメリットとして挙げられたのが「勉強のモチベーションが保ちやすい」という意見。
「先生に『学校名やブランド力で選んでない?』と言われたこともあるけど、昔から絶対行きたいと思っていた憧れ校だから勉強のモチベーションを落とさずに頑張れた」(omiso先輩/大学1年女子/経済学部・経営学部・観光学部に出願/東京都)
「絶対この学校に入るんだ!」っていう強い気持ちは勉強のモチベーションになるよね。
同一校の複数学部出願する人はよりその憧れパワーが強そうなイメージもある!
神﨑先生、この気持ちでそのまま突き進んでOKですか?
「憧れる気持ち」を大事にしてOK
「憧れの学校に絶対入りたい」という気持ちをもつことは、勉強のモチベーションUPにつながりますし、悪いことではありません。
同一校の複数学部を出願すると「ブランドに引きずられちゃだめ」と周囲から言われるかもしれません。
まじめな人ほど「こんな選び方でいいのかな」と思うこともあるでしょう。
でもいいんです。
「なぜその学校に入りたいのか」はきちんと熟考したうえでその学校に受かりたいという気持ちを大事にする。
そして各学部学科の問題傾向をていねいに対策すれば大丈夫です。
「その学校に行きたい理由」はしっかりもちつつ、志望校への熱い気持ちは大切にですね!
以上、先輩たちが考えるメリット3点を神﨑先生の解説付きで紹介したよ。
「いいじゃん、同一校の複数学部出願~」と思って安心するのはちょっと待った!
同一校だからこそのデメリットや注意点も卒業生サポーターの先輩&神﨑先生に聞いてきたのでチェックしてみて。
先輩が感じた落とし穴①同じ学校なのに学部で入試問題が全然違った…!
落とし穴として挙げられたのが「同じ大学だから、と油断していたら試験傾向が全然違った」という意見。
「学部によって試験問題がだいぶ異なっていたし、入試科目ごとの癖もあった。同一校だけど学部が違えばほぼ別の学校ぐらいの気持ちで対策が必要だった」(あっつ先輩/大学2年男子/政治経済学部・社会科学部・国際教養学部に出願/東京都)
これは怖い…さっき出てきたメリット「試験問題が似ている」とは逆のパターンだ!
学部ごとに出題傾向や過去問をしっかりと見ておかないと大変なことになりそうですね。
神﨑先生、こういう学校も多いんでしょうか?
学部別に傾向が異なるパターンもあるので要注意
同一校複数学部に出願するうえで、「試験問題が似ているかは学校による」ということはぜひ覚えておいてほしいポイントです。
同じ学校でも「学部単位で個別の試験が作られている」場合、問題傾向が大きく異なることも多いので個別の対策が必要になります。
過去の入試で言うと、例えば早稲田大学や慶應義塾大学は各学部が独自に試験問題を作っているようで、傾向がそれぞれ異なります。
さらに「政治経済の試験だけど、日本史の知識がないと解けない」など、科目を超えて一ひねりある場合も。
学部によって試験問題が大きく異なる場合は、ほぼ「別の学校の試験」と思ったほうがよいでしょう。
同じ学校だから問題も似ているだろうと安心せずに、必ず各学部の試験形式と過去問を確認すること。
過去問は3~5年分ぐらいをやると出題傾向がつかめてくるのでぜひチェックを。
第一志望の場合は10年分を解いてみると安心です。
先輩が感じた落とし穴②入学がゴールになってしまう・学部に興味がもてない
続いてデメリットとして挙げられたのが「入学がゴールになってしまった」という意見。
進学後の学部独自の授業内容に興味がもてなかった、あるいは苦手な科目が必修科目でつらいという声もあったよ。
「複数学部を受けて1学部のみ合格。入ってみたら必修科目に興味が持てなくて勉強のやる気が出ない…」(島先輩/大学1年男子/先進理工学部・創域理工学部・工学部に出願/千葉県)
「その学校に入ること」そのものがゴールになっちゃうのはどの受験形式でもありそうな落とし穴。
特に同一校複数学部受験では、手当たり次第に出願→興味がない分野の学部に合格、ってシチュエーションに陥る可能性も高そうです。
神﨑先生、どういう対策をしたらいいですか?
興味があること×学部ごとの切り口を意識して
こちらもメリット3の「モチベーションが保ちやすい」と表裏一体ですが、「とにかくこの学校に入りたい!」と入学することそのものがゴールになってしまう人もいるでしょう。
複数学部に出願して、進学後に分野に興味がもてないなど、望んでいた学びが得られないこともあります。
その対処法として、学びたいことがすでに明確な場合は、出願先の学部ではどう学んでいけるかを調べてみましょう。
例えば「貧困問題に興味がある」という人が「経済学部」をメインに、「文学部」「法学部」「商学部」「教育学部」の5学部に出願するとします。
「貧困問題=経済学部でしか勉強できない」(ほかの学部では無理)と決めつけてしまってはもったいない。
「貧困問題×文学部→文学作品などの研究」
「貧困問題×商学部→途上国の貧困問題などの研究」
「貧困問題×教育学部→教育格差などの研究」
特にセレンディピティ(思いもよらなかった偶然がもたらす幸福)を楽しめるタイプの人は「この学部だとこういう切り口で自分の気になっていた問題が解決(研究)できるかも!」と前向きに考えられるはず。
学部をまたがった複数出願でも、新たな学びが得られるといえるでしょう。
なるほど、いろんな見方で楽しめる、どこでも自分の好きにつなげられる人は複数学部に出願してもハッピーになれそうですね。
例えば理系でも「貧困問題×農学部=食糧生産向上」「貧困問題×理学部=気候変動が貧困層にもたらす影響」など、色々なパターンが考えられそうです!
ほかに、注意するべき点や意識すること、調べておいたほうがいいことはありますか?
学部(入り口)は別でも学ぶ内容は同じパターンもある
同一校の複数学部出願の場合、気になるのが「どの学部を選ぶか」ですよね。
でも大学によっては学部は別でも進学後の学びが同じだったり、共通の授業を受けたりすることがあるので、「学部名が違うから」と思いすぎないほうがいいパターンもあります。
- 「総合政策学部」と「環境情報学部」があるが、入試科目はいずれも「数学または情報」あるいは「外国語」 あるいは「数学および外国語」から一つを選択+小論文
- 入学後のカリキュラムはどちらの学部所属でも、ほぼ学部間の差異なく授業が受けられる
- 例:総合政策学部所属だがゲノム生物学(先端生命科学)のような理系寄りの授業を受ける、あるいは環境情報学部所属だが現代中国政治外交と日本の地域研究・比較政治学といった文系寄りの授業を受けることも可能。
※過去の事例のため、今後金額や制度が変更になる可能性があります。
SFCの事例は少し極端かもしれませんが、こういった大学も今後増えていく可能性は十分に考えられます。
複数学部にまたがって出願する場合は、進学後の授業内容などについても調べておくとギャップが少なくなりそうです。
「同一校の複数学部出願」のメリット&落とし穴まとめ
最後に改めて、同一校の複数学部出願のメリット&落とし穴をおさらいしておくよ!
・複数出願による受験料の割引がある
・試験問題が共通の場合、勉強効率が良い
・「憧れ校」に向けて勉強のモチベーションが保ちやすい
・入試問題が学部ごとに違う場合もある→過去問はしっかり確認を!
・入学後に燃え尽きor学びたいことのギャップが生じる→自分の好き×学部のつながりを探そう!
・学部は違っていても中身は同じパターンも →進学後の授業内容をリサーチ!
以上、同一校複数学部出願のリアルな裏側をお届けしました。
自分の求めているもの、やりたいこと、何を一番優先したいかなどを掛け合わせて決めてみてね!
※記事内の情報は2023年8月時点の情報です。過去の事例のため、今後金額や制度が変更になる可能性があります。
スタサプ編集部&スタッフにも経験者がちらほらいた同一校の複数学部出願。
絶対ここに入りたい!っていうパッションは、勉強のモチベーションに直結するはず。
だからこそ、「同一校の複数学部出願」戦略では、メリットデメリットをしっかり確認しておくことが重要になりそうだな、と思ったスタサプ編集部でした。
今後も併願や出願についてのお悩みがあったらスタサプ編集部に送ってねー!お待ちしてます☆
From こんなお得な制度があるなら複数学部出願もしてみればよかった…とちょっと思ったスタサプ編集部SENより