高校生が、ふんどし姿で「現代の飛脚」に挑戦!!
この夏、ふんどしを締めて荷物を運ぶ高校生が、都内に出没した。
このスタイル、歴史の教科書で見たような…?
そう、これは平成に登場した、まさに「現代の飛脚」なのだ。
■ふんどしが好きで、おもしろそうだからやってみた!
この「現代の飛脚」に挑戦したのは、茨城県在住の塙佳憲くん(高1)。業務内容は、企業から依頼を受けて書類や小さな荷物を運ぶことだ。8月は3日間、東京23区内で実施し、その後は月に1回のペースで行っている。
料金は運ぶ距離によって異なり、500~1000円。基本的に走って運ぶが、疲れたら電車やタクシーも使う。目的は、「儲けること」ではなく、「希薄になっている現代の人と人とのコミュニケーションを取り持つこと」という。
それにしても、なぜ飛脚姿? その理由を聞くと、「単純にふんどしが好きで、おもしろそうだったから」と屈託なく答えた。
「下着を買おうとインターネットを検索していたら、たまたまふんどしの通販サイトをみつけたんです。買いたかったのですが、高かったので、布を買って自分でミシンで縫って作ったのが始まり。そこから飛脚という発想が出てきたのですが、大人の方に話すと皆さんおもしろがって、アドバイスもいただきました」(塙くん、以下同)
真夏とはいえ、露出の多い飛脚姿は街中で注目の的だ。背後で「パシャ」というカメラ音が聞こえることはしょっちゅう。不審顔のビル警備員に引き止められたことも…。
しかし、「毎回、朝は恥ずかしいですが、だんだん感覚がマヒしてきて午後には平気になる」と塙くん。依頼先や届け先ではたいてい歓待され、ねぎらいの言葉だけでなくアイスをもらうこともあった。これからの季節は「腹巻をして頑張る」という。
■名刺デザイン、高校で講義…などの活動も
塙くんの活動は、この現代の飛脚だけではない。
中2の時、怪我で体操部を辞めて時間ができてから、母親が参加する講演会や地域活性イベントについていくようになった。時には大人に交じって飲み会を兼ねた会合(もちろんお酒抜きで)にも参加する中で、多様なプロフィールをもつ大人たちと交わるようになる。
一方で、たまたま自宅にあったソフトを使ってロゴマークを作っておもしろさを感じ、独学でグラフィックデザインを勉強。大人たちが名刺交換する場面を見て「自分の名刺も欲しいな」と自分でデザインした名刺を作成した。その名刺を見た人から、「他人の名刺もデザインしてみたら?」と言われたことから、名刺デザインの仕事を請け負うようになった。
名刺デザインの依頼主のひとりが埼玉県の高校の先生で、「うちの『総合的な学習の時間』の授業で生徒に名刺デザインを教えてくれないか」と依頼された塙くん。今春は10回程度、高校生を相手に講師を務めた。
「これからは名刺のデザインだけでなく、グラフや地図などを視覚的に表現するインフォグラフィックにも挑戦したいですね。また、起業にも興味あります。『大きな仕事ができるように会社を作っておくといいよ』というアドバイスをもらったので、デザイン関係の会社を興したいですね」
また、11月には、子どもたちに伝えておくべき日本の価値あるアイデアを共有するイベント、「TED×Kids@Chiyoda」に挑戦。オーディションで選ばれた6人のうちの1人として、飛脚活動などについてプレゼンテーションを行った。
「デザインもプレゼンテーションも、『人に何かを伝える』手段。どうしたら楽しみながらわかりやすく人に伝えられるかが、ぼくのテーマだと思います」
現代の飛脚、名刺作成ビジネス、高校で講師…など、塙くんの動きに驚いた高校生も多いだろう。しかしながら、これらの活動の背景には、大人たちのアドバイスや応援がある。もしかして、実社会ではこんな一見トンデモナイ発想や行動が求められるのかも?!