「生徒が主役」の授業って? 今話題の「反転授業」に潜入した!
インターネット上で誰でも無料で大学の先生の講義を受講できる、MOOC(ムーク)の日本版『gacco(ガッコ)』って知ってる?
東京・八王子にある工学院大学附属高校では、昨年この『gacco』を使った反転授業に取り組んだ。反転授業とは、「講義動画で事前に学習し、それをもとに先生から直接授業を受ける授業スタイル」のこと。
受けた講義は、2014年10月~11月に公開されていた首都大学東京の渡邉英徳(わたなべひでのり)准教授による「デジタルアーカイブのつくり方」。デジタル地球儀「Google Earth」を使って過去の記録を未来に伝える方法や意義を学ぶという内容だ。
1年生4人、2年生3人の有志7人が、事前に講義動画を見て予習した後、2014年11月12日に、これをふまえて首都大学東京で行われた反転授業に参加した。
●自分で考えて発言することは新鮮でおもしろい
当日はGoogle Earthの使い方についてレクチャーを受けた後、『「東京五輪アーカイブス」(※)を2020年に向けていかに育てるか』、をテーマにグループディスカッション。最後にディスカッションの結果を各グループの代表が発表した。
「高校では先生の話を聞いてノートに書く授業がほとんどだけど、ディスカッションは自分で考えて発言しなければならないので、とても新鮮でした」と1年生の臼井周(あまね)くん。
では、事前に講義動画を見てから授業を受けるという「反転授業」についてはどう思ったのだろうか?
「数学では、『なぜその公式が成り立つのか?』などを話し合い、解法を教え合う授業なので、とてもおもしろいんです。反転という形にこだわらなくても、自分で考えられる授業が増えればいいなと思います」と答えてくれたのは菅野友彦さん。
確かに! それなら予習の時間を心配しなくてすみそうだ。「反転授業」はディスカッションやプレゼンテーションなどの「生徒が主役」の授業がやりやすいといわれているけど、予習なしでもそれができる授業が増えれば、そのほうが高校生にはうれしいのかもしれない。
●意見の違いを恐れず、自分の意見を伝える意欲が湧いてきた
最後に、今回の取り組みで一番成長できたのはどんなところか聞いてみた。
「話し合いの時、互いの意見が違ってもいいことに気づきました。相手の意見を受け止め、自分の意見も伝え、さまざまな意見をもとに何か一つの結論を導き出すプロセスを学べたと思います」と1年生の本田渚さん。
みんな、すごく大切なことに気づけたようだ。これだけの成長が実感できるなんて、本当にすごい!
『「gacco』では、講義動画を見るだけでなく、リアルな講義(反転授業)を受けられる講座もある。キミも興味のある講義を受講して、学ぶことに対するモチベーションをあげたり、大学での勉強に興味をもつきっかけにしてみては?
※今回の反転授業の参加者は、首都大学東京の渡邉英徳先生が朝日新聞と共同で立ち上げた『東京五輪アーカイブス1964-2020』というプロジェクトの制作スタッフ。1964年に開催された東京オリンピックの関係者にインタビューして記事を書き、インターネット上に順次公開している。こちらもぜひチェックしてみて。