珍しすぎる! 日比谷高校「雑草研究部」とは?

東京都立日比谷高等学校には「雑草研究部」という聞き慣れない部活がある。
 
いったいどんなことをしているんだろう? さっそく、訪問してみることに!

 
 

■学校内&近くの神社の雑草を採取して標本に!

 
まずは詳しい活動内容を、2年生で部長の内田大賀くんに聞いた。

 
 

「雑草研究部では、学校内や近くの神社に生えている雑草を採取してきて研究しています。雑草というと、花が咲かない“草”を想像する人も多いと思いますが、人が育てているものではない、“野生の植物”はすべて雑草に分類されるので、かなりの種類があるんですよ。学校内だけでも、日陰やひなた、テニスコート周辺など、場所によって生息している雑草が違うので、170種類以上はありますね。それを根っこからていねいに採取して部室に持ち帰り、図鑑と見比べながら種類を特定して標本にしています」

 

170種類も…!? それを一つひとつ採取するなんてかなり大変そう…。

 

珍しすぎる! 日比谷高校「雑草研究部」とは?

 

でも、そもそも雑草を研究することで、一体何がわかるの? その目的って…?

 

「雑草には、『水分量が多い土地を好むもの』『日の光がよく当たる場所を好むもの』など、さまざまな特徴があります。そのため、そこに生えている雑草が特定できれば『どんな土壌なのか』『どんな気候なのか』などの“環境”がわかるんです」(内田くん)

 

詳しい環境がわかると、そこに生息する生物の種類まで推測できちゃうというからすごい! ただ、雑草は季節によって形が変化するものもあり、種類を特定するにはかなりの根気がいるとか。

 

「一見、同じように見える雑草でも、葉のつき方や茎の形、根の生え方が微妙に違うんです。それを手がかりに種類を特定していく作業を“同定”というのですが、雑草によっては、なかなか決め手が見つからないものもあって…。シダ類の雑草を採取してきたときは、種を見分けるのに2週間もかかってしまいましたね」(2年・中村仁美さん)

 

珍しすぎる! 日比谷高校「雑草研究部」とは?

 
 

■みんなをトリコにさせる雑草の魅力とは?

そんな地道な作業を、日々続けられるのはなぜなんだろう? 雑草にはどんな魅力が…!?

 
 

「雑草は“迷惑な存在”として扱われることが多いのですが、特徴をうまく生かせばいろんな活用法があるんですよ。例えば、ぼくは今『ドクダミ』の研究をしているのですが、ドクダミが生えている場所をよく観察してみると、周りにほかの植物が生息していないことに気がついたんです。何でだろうと思って特徴を調べてみたら、ドクダミにはほかの植物の発芽を阻害する成分があるみたいで…。それを知ったとき『ドクダミを使えば、化学薬品を含まない除草剤が作れるんじゃないか』って思いついたんです! そんなふうに、いろんな可能性を秘めているところが、雑草の魅力なんですね」(内田くん)

 
 

「雑草はどこにでも生えているので、『四角い茎はシソ科だ』というように、覚えた知識をすぐにいかせるのも魅力ですね。いつか、道端に生えている雑草の名前がすべてわかるようになったら楽しいだろうな、と想像しながら部活を頑張っています!」(中村さん)

 
 

珍しすぎる! 日比谷高校「雑草研究部」とは?
 
 
雑草への深い愛情と情熱を秘めた雑草研究部。彼らの研究がきっかけで、邪魔モノ扱いされがちな雑草が脚光を浴びる日が来るかも…!?