過去問暗記から早押し練習まで!浦和高校「クイズ研究会」とは?
毎年夏に開催され、テレビ放送もされている「全国高等学校クイズ選手権」(以下、「高校生クイズ」)のエントリーが今年もスタート!
この大会は、全国各地の高校生が二人1組でクイズに挑戦して、その頂点を決めるというもの。
昨年、この大会で3回めの優勝を手にしたのが、埼玉県の浦和高校「クイズ研究会」だ。
全35回の大会史上、3回の優勝歴をもつ高校はこの浦和高校と、東京の開成高校だけ!
浦和高校クイズ研究会には、現在17名が在籍しており、毎日放課後に自主的に集まって活動しているという。
でも、クイズ研究会って一体どんなことをするんだろう…? さっそく、浦和高校へ行ってみることに!
早押し練習から過去問の暗記まで!
まずは、活動内容を顧問の武藤和孝先生に聞いた。
「クイズ研究会は、『高校生クイズ』に出場するため、23年前に生徒によって作られた愛好会です。
当初は『高校生クイズ』への出場が目的でしたが、現在は、中学生から大学生までが出場できる『abc』という大会や、近隣の高校のクイズ研究会が集まって開催している『例会』など、さまざまなクイズ大会に出場しています。
各大会で好成績を残すため、日々練習を積んでいるんですよ」
教室では、生徒たちが「ピポン!」と鳴る本格的なボタンを使って早押しクイズの練習中! 日本一というだけあって、みんなものすごいスピードで問題に答えている!
「ぼくたちの活動の大半は、早押しクイズの実践練習です。
クイズ研究会には、過去にいろんなクイズ大会で出題された問題集がたくさんあるんですよ。その中から1日につき400問程度を出題して、ひたすら解答しています。
『高校生クイズ』や『abc』などの大会では、問題の9割が過去問から出題されるので、毎日解き続けて、問題文と答えを暗記することが大事なんです。
早押しには神経をかなり使うので、練習が終わるころにはヘトヘトになっていることも多いですね」(3年生・吉岡奨悟くん)
クイズで勝つには問題の“予測"が重要!
「ただ、問題と解答の暗記だけでは、クイズ大会で勝つことはできないんです」
と吉岡くん。優勝を争う強豪校の間では、正解がわかっているのは当たり前。早押しボタンをいかに早く押して解答権を得るかが勝敗のカギになるのだとか。
「コンマ何秒でも早く押すためには、問題文が読まれている途中で“何を問われるか"を予測することが大事なんです。
例えば、『世界で最も高い山はエベレストですが…』と問題文が読み上げられた場合、“世界"にアクセントがついていれば、これに続く文章は『“日本"で最も高い山は?』となる可能性が高いんです。もし“高い山"にアクセントがあれば、後半では『世界で最も“低い山"は?』となることが多いんですよ。
ほかにも、出題者の口の動きから、次の言葉を瞬時に読み取って、後半の問題文を予測する方法もあります」(3年生・丹一樹くん)
正しく問題を予測するためには、“勘"ではなく“技術"を身に付けなければいけないんだ…!
「大会に出た時は、ほかの強豪校の出場者が問題文のどこでボタンを押しているかメモして、自分がそこで押すためにはどんな予測をしたらいいのか研究しています」(2年生・小久保光くん)
クイズの世界って、想像以上に奥深い…!
クイズの魅力は「増やした知識を生かせること」
クイズ研究会のメンバーは、授業中もニュースを見ている時も、「これはクイズになりそうだな。出るとしたら、どんな問題だろう」と常に考えているとか。ここまで夢中になれる“クイズの魅力"とは?
「クイズは、努力すればするほど早く答えられるようになるんです。
最初のころは、ほかの人に負けてばかりで解答権を得られなかったのが、問題を暗記したり、予想できるようになることで、確実に正解数が増えていくんです。
自分の努力の結果がすぐに出てくるので、どんどん突き詰めたくなります」(小久保くん)
「クイズを通してたくさんの知識が身につくので、趣味が違う人や大人の方とでもコミュニケーションが取れることが、クイズの魅力だと思います。
実際、クイズ研究会では、スポーツや歴史など、いろんな話題で盛り上がっています」(2年生・勝川竜太朗くん)
最後に、連覇がかかった今年の「高校生クイズ」で、ライバルとなる強豪校について聞いてみると、
「優勝回数が並んでいる開成高校ですね。
彼らは中高一貫校なので、中学生の時からクイズ研究部で活動しているんです。
実力やキャリアに差はありますが、絶対に負けたくないです!」(吉岡くん)
と熱い言葉が!
後日、彼らの想いを開成高校のクイズ研究部に伝えると、
「昨年は浦和に敗れて準優勝だったこともあり、ぼくらも手強いライバルだと思っています。
でも、ぼくらの先輩方は、優勝を逃した翌年から3連覇を成し遂げたという実績があります。
ぼくたちも今年こそは負けません!」(2年生・司馬部長)
と気合十分! もうすでに、熱い戦いは始まっているようだ…!
高校生なら誰でもエントリーできる高校生クイズ。彼らのような優勝争い…とまではいかなくても、夏の思い出にみんなで参加してみるのもいいかも?