横浜清陵総合高校の授業「コミュニケーション」がアツい!

■自分が会いたい人にインタビュー

神奈川県立横浜清陵総合高校に独自の特色科目として「コミュニケーション」という授業がある。この授業が、なかなかアツいと県内では有名で、これがあるから横浜清陵総合高校に入学したという生徒もいるそうだ。

 

「コミュニケーション」の授業を受けるのは2年生全員。春から仲間づくりのための勉強や、日本語トレーニングを行ったあとは、授業のメインである社会人インタビュー(11月)に向けての準備が始まる。

 

社会人インタビューをするに当たっては、いろいろな決まりがある。
例えば、インタビュー相手には自分でアポをとること。その相手は自分が本当に会って話を聞きたい人であること。ひとりの人に複数の生徒がインタビューしてはいけない。仕事の内容だけでなく生き方を聞くこと。など。

 

これまでに、神奈川県知事やプロ野球選手、有名店のオーナーシェフなど、誰もが知っているような著名人にインタビューした生徒も。ほかにも、プロの演奏家、潜水士、デザイナー、カウンセラーなど、ありとあらゆる職業人にインタビューを行っている。

 

取材相手に関して、先生からの事前の根回しは一切ないので、最初に電話をかけるというのが、まず高いハードル。「知らない大人に電話をするのは初めて」という生徒や、「緊張しすぎて、1週間どうしても電話がかけられなかった」という生徒も。

 

やっとの思いで電話をしても、すぐにOKをもらえることは少ない。うまく説明できずに、あっさり断られ、2回、3回、4回とチャレンジする生徒もいる。それどころか、運が悪いと10回目でやっと決まったなどということもあるそうだ。

 

アポをとるのは夏ごろなので、生徒も先生も夏休み返上。とにかく、11月のインタビューは絶対成功させなくてはならない。これまで誰もが勇気をふりしぼりやり遂げてきた。

 

アポどりだけではなく、仲間同士でインタビューを練習したり、正式な依頼文を手書きしたり、インタビューの台本を作ったり、リハーサルを行ったりと、本番までとにかく大変。

 

だからこそ、インタビューを終えたときの達成感はすごい。忘れられない体験となり、自分が成長したと思えるのだという。もちろん、そのあとも礼状を書いたり、報告書を書いたり、発表したりと、忙しい。「コミュニケーション」の授業は1年間を通して、自ら体験したことから気づき学んでいく機会がとにかく多い。

 

一人ひとりがインタビュー実習を通じて実感した体験を原稿を持たず自分の言葉で語る年度末の発表会は、毎年、保護者や他の学校に転勤した先生たちなどいろいろな人が訪れにぎわうだそうだ。

 

■『挑戦しよう』と思う気持ちが大きくなった!

最後に、1年間、「コミュニケーション」を学んだ生徒たちの感想から抜粋を紹介しよう。

 

「みんなのインタビュー実習の報告の発表を聞いて、すごく感動しました。一人ひとりが確実にコミュニケーション能力を高めていることが伝わってきました」

 

「積極性が強くなりました。今までは人見知りの“コミュ障がい”人間でしたが、もっといろんな人とかかわりたいと思えるようになりました」

 

「『挑戦しよう』と思う気持ちが大きくなりました」

 

「コミュという授業がない学校の生徒は損をしていると思う」

 

「私は今まで自分がなぜコミュニケーションが苦手なのかを考えていませんでした。私は人の話を聞くのはできるけど、聞いて終わりという感じでした。人の話を聞いたうえで、自分がどう思うのか、そこから私の意思をどう伝えたらいいのかが大切なんだ、ということに気づくことができました」

 

近年、コミュニケーション能力の向上が必要と叫ばれ、高校や大学でもさまざまなプログラムが取り入れられ始めた。キミの通う高校や、これから進学する学校、または企業などでも、ユニークなプログラムが導入されるかもしれないのでチェックしてみよう。