新しい車を作るには、まずはカーデザイナーが車のイメージをスケッチに起こします。それを元にインダストリアルクレイ(工業用粘土)を使って立体に造形し、モックアップ(試作品・模型)を作るのがカーモデラーの仕事です。そしてモックアップを見ながら、デザイナーと形を検討して、最終的には1/1の実物大のサイズに作り、詳細を煮詰めていきます。平面から立体にするのに、コミュニケーションを図りながら制作をしますが、デザイナーが望んでいるカタチをうまく引き出せ、お互いが納得できたときは大きなやりがいを感じます。たくさんの人たちと関わり作り上げた車が世に出て道路を走っている姿を見ると、とても嬉しい気持ちになりますね。
自分の手を動かしてモノづくりをすることがいちばん好きでした。最初は車に興味があったわけではないのですが、企業の説明会で話を聞いて、初めて「モデラー」という職種があることを知り、視野が広がりました。自分が好きなモノづくりを活かせる仕事だと思い興味を持ち、企業のインターンシップに参加しました。合宿というかたちでグループで発表したり、与えられたテーマで造形をおこなっていったのですが、毎日毎日、その会社の色々な人が様子を見に来ていました。そこでの社員さん同士がフランクに接しているのをみて、この職場ならデザインについての意見を自由に言い合えると感じて、働くなら「ココかも!」と思い入社しました。
学生時代は、授業以外で情報を得るために色々な体験をしたり、様々な展示を積極的に観に行って、課題に取り組んでいました。自分のコースの授業では、ただ好きなモノを作るのではなく、それを使うことがどんなコトに繋がるのか、使う人の立場を考えることを常に意識させられました。何かをデザインすれば、それは世に出て自分の手を離れてしまいます。ですので、自分のデザインについて、先生や友人達からの意見を取り入れて、検証を重ねて制作を進めていけるようになりました。それが今の仕事にも活かせていると思います。
いすゞ自動車株式会社 勤務/デザイン学科 リビングプロダクトデザインコース/2019年卒/プロダクトや空間をデザインすることで、人々の生活を豊かにできることに魅力を感じて、リビングプロダクトデザインコースを選択。コースではデザインを通じてモノとコトの関係性を学ぶ。現在、いすゞ自動車株式会社に勤務し、クレイモデラーとして海外向けのピックアップトラックなどの造形に携わっている。また、JCMA(日本カーモデラー協会)や、会社の社会貢献活動で子ども向けワークショップなど、インダストリアルクレイやトラックを知ってもらうための体験会の活動などに参加している。取材協力:ISUZU PLAZA(いすゞプラザ)