東京・下北沢の「フロクシノーシナイヒリピリフィケーション」という古着店でショップスタッフとして働いています。フロクシは、1990~2000年代のデザイナーズを中心に厳選した古着を揃えていて、この世界観が好きな若者に加えて、モードに詳しいベテランの大人もいらっしゃいます。お客さまからいろいろなことを教えていただき、すごく刺激を受けます。僕自身が日々勉強で、取り扱うブランドの知識は少しずつ増えてきました。興味があることがお客さまと共通しているから、会話してても楽しい。自分が本当にいいと思うアイテムを薦めて購入していただいたときの喜びも大きいです。売れたこと以上に、好きなことを共有できたからです。
フロクシを知ったのは文化の友人からの情報で、客として行きはじめました。卒業間近の2年生の終わりごろに、スタッフ募集を知り応募。DJ活動や、学内ショーでモデルをやった経験などの自己アピールをオーナーに送りました。タイミングがよく働かせていただけることになりました。買付けを行うオーナーが選んだ品を店に並べるのですが、包まれた服を開けて取り出しハンガーに掛けるとき、「おっ、すごい!」と感動します。それが楽しくて、アイロンを掛けることも倉庫から運ぶこともぜんぜん苦ではなく、つらいと思うことがありません。仕事でハプニングがあっても対応できるのは、好きな店、好きなことを仕事にしているからなのでしょう。
仕事につながりやすいと考えて、ファッション流通科を選びました。仕事に就くことを意識しはじめた大きなきっかけは、アパレル運営をシュミレートする授業です。クラスのメンバーでチームをつくり、ブランドを企画して店のコンセプトから店内レイアウト、販売方法まで細かく練っていくものです。人前でプレゼンすることもはじめての経験。この授業でもっとも学んだことは、アパレルが役割分担で成り立つ仕事だということ。PR(広報)も含めひとりではとても無理な作業ばかりでした。どんな職種でもひとりひとりが役割をこなしてこそファッションの世界が成立するのだと、それまで気楽に眺めていたアパレルのたいへんさにようやく気づけました。
フロクシノーシナイヒリピリフィケーション 古着店スタッフ/ファッション流通科 リテールプランニングコース 卒/※文化服装学院公式サイト 卒業生取材『LINKS』より一部転載 https://sumirekai.bunka-fc.ac.jp/interview/links/026/