私がめざす教師像に、英語を教えるうえで“オリジナリティ”のある授業を行うことがあります。たとえば、日本人が苦手とする「L」と「R」の発音の違いや、音の同化が起こって「did you」が「ディジュー」のように発音されることなど、教科書に載っていない知識を伝えることもその一つです。生徒が目を見開いて聞いてくれると嬉しくて、自分もまた、「英語を教える」ということを学び続ける学習者なのだと実感します。大学院で言語学を専門に研究したので、言葉そのものの面白さや奥深さを伝えることができるのが私の強みではないかと思うのですが、それを生かして、生徒の興味を刺激するような授業をしようと試行錯誤を重ねる毎日です。
「英語教師になる」という目標に向かって走り続けた大学時代でした。異文化コミュニケーション学部は、英語教育に関する科目に加えて言語学の科目も充実しています。英語という言語やその教授法をさまざまな角度から学ぶ中、知識をさらに深めたい、教育現場での経験を増やしたいという思いが強くなり、「5年一貫プログラム」への挑戦を決めました。これは5年間で大学院の博士課程前期課程を修了できる制度で、4年次から大学院の授業が始まります。そこでは最新の知見にふれながら、私立の中学校・高校で非常勤講師を務める機会を得ることもでき、こうした経験を通して、「どんな教師になりたいか」というキャリア像が明確になっていきました。
同じ授業をしてもクラスによって反応がまったく違ったり、昨日まで幼い表情をしていた生徒が今日は下級生を優しくサポートしていたり、教師という仕事には驚きや発見がつまっています。時々、「なぜ英語を勉強しなければいけないんですか」と生徒から聞かれることがあるのですが、それに対して私が伝えているのは、英語を学ぶという経験を入口に、異なる価値観や文化に出会って、自らの視野を広げてほしいということ。そのためには私自身が知識のアップデートを怠らず、よりよい授業を追求していかなくてはなりません。最終的には、生徒が自律的な英語話者として、国内外で活躍するための土台を築けるような英語教育を実現したいと考えています。
学習院中等科 勤務/異文化コミュニケーション学部 異文化コミュニケーション学科/2021年3月卒/高校時代から「将来は英語教師として働く」という明確な目標を持ち、立教大学に進学。2年次には交換留学(学部間派遣)でオーストラリアのマッコーリー大学で学ぶ。その後、学部で培った知識や取り組んだ研究テーマをさらに深めたいという思いから、3年次では「5年一貫プログラム」に挑戦。立教大学大学院 異文化コミュニケーション研究科 異文化コミュニケーション専攻 博士課程前期課程を2022年に修了。「“自由の学府”である立教大学には、やりたいことに夢中になって取り組める環境が整っています。ぜひ自らの可能性を広げてください」。