AI(人工知能)に関わる仕事とは?IT、ゲーム、医療、教育etc.分野別に紹介

人が獲得しているさまざまな知覚・知性を人工的に再現することを目指した「AI(人工知能)」は、今、世界中で大注目の技術領域だ。

すでにIT、金融、ゲーム、医療、教育、広告、自動車をはじめ、さまざまな分野で活用されており、スマホやスマートスピーカーに搭載された音声アシスタント機能やチャットボットアプリなど、普段からAIに触れている高校生も多いだろう。

“未来を創る”ホットなAIの世界で、どのような研究・開発が行われているのかをわかりやすく解説!

AI(人工知能)とは?

AI(人工知能)に関わる仕事とは?IT、ゲーム、医療、教育etc.分野別に紹介

 

日常生活・ビジネスに欠かせないツールとして進化を続けるAI

人工知能(AI,Artificial Intelligenceの略)とは、言葉を理解したり、学習したり、判断したりするコンピュータプログラムのこと。

最近では、人間の助けを借りず自身で学習するディープランニングの研究が進んできたことで、AIにできることの範囲も急速に広がっている。

大学(情報工学系など)、研究機関、企業の研究所などが取り組んでいるAIの研究テーマは多岐にわたる。

下で紹介している以外には、AIでロボット・家電などを制御する技術を専門とする研究者も。

また、認知心理学、哲学、言語学など、文系寄りの分野からAIにアプローチする研究者もいる。

機械学習

大量のデータを分析して法則や特徴を見つけ出す技術。

あらかじめ識別する特徴の指示を与えるなど、ある程度人間の助けが必要。

囲碁・将棋AIや天気予報など幅広い分野で活用されている。

ディープラーニング

脳の神経回路網の構造を真似た「ニューラル・ネットワーク」という仕組みを使った機械学習の進化形。

人間の助けを借りずに高度な学習ができるため、AIの飛躍的な進化が可能に。

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※近年開発が進む自動運転でも、AIのディープラーニングが実用化のカギを握っている

画像認識

画像や映像に何が映っているかを人間のように理解する技術。

ディープラーニングを使って人物や車などの特徴を把握する研究が進んでいる。

ロボットや車の自動運転など応用範囲は広い。

音声認識

スマホやスマートスピーカーにも活用されている、会話の音声を文書として認識したり、声で話している人を識別したりする技術。

聞き取りづらい音声を前後の文脈から判断する研究などが進めば、人と話すようにAIと話すことが可能になる。

自然言語処理

人が日常的に使う言葉を理解したり、質問に答えたりする技術。

AIと言語学の両方の専門性が求められる分野だ。

文脈や微妙なニュアンスを正しく読み取る研究などが進められている。

 

AI(人工知能)開発者の活躍分野例

AI(人工知能)に関わる仕事とは?IT、ゲーム、医療、教育etc.分野別に紹介
まだ誰もやっていないことを技術とアイデアで実現するAIに関わる仕事。

応用範囲は非常に幅広い業界に拡大しているため、AI開発者の活躍分野もさまざまだ。

下で紹介している以外にも、天気予報、商品の需要予測、犯罪・事故予測、建物内の空調・照明管理、住宅ローン審査など挙げればキリがない。

AI開発者の就職先も、IT企業、AIベンチャー企業、アプリ開発会社、ゲーム会社、金融機関、自動車メーカーや電機メーカー、大学や研究機関など多岐にわたり、AI技術のニーズの上昇とともに活躍の場はますます広がっている。

検索エンジン

Googleなどの検索エンジンもAIによって進化し続けている。

ユーザーの検索履歴から検索の意図を理解し、その人に最適な結果を表示する機能のほか、テキスト+画像を組み合わせたより直感的な手段で情報を検索できる新機能も登場している。

AI(人工知能)に関わる仕事とは?IT、ゲーム、医療、教育etc.分野別に紹介

※AIの登場によって、日常生活やビジネスにおけるツールはますます進化を遂げている

ゲームAI

例えば、戦闘シーンで実際に人と対戦しているようなリアリティを感じられるよう、敵キャラクターに人間に近い柔軟性のある行動をさせることなどにもAIが活用されている。

自動翻訳・自動通訳

機械学習や自然言語処理などの技術を生かしたスマホの自動翻訳アプリやビジネス分野における自動翻訳サービスが実用化されている。

翻訳・通訳の精度が課題だが、ディープラーニングの採用によって格段に進化を遂げている。

診断支援システム

内視鏡やMRIの検査画像をAIが分析し、がんなどの病気を見つける診断支援システムが開発されている。

画像認識や機械学習の技術を応用することで、より正確な診断が可能になる。

人工知能教材

解答の内容や解答のスピードなど、学習している人のさまざまな情報から理解度や苦手分野を探り出し、最適な問題を出し続けるタブレット教材がすでに登場している。

会話AI

人の生活を支援するロボットやスマホアプリで活用されている、チャットボットとも呼ばれる会話ができるAI。

キャラクターと会話を楽しめるアプリや英語学習アプリ、企業の問合せページにも活用されており、人と同じレベルでの会話ができるようになる未来が期待されている。

AI(人工知能)に関わる仕事とは?IT、ゲーム、医療、教育etc.分野別に紹介

※店舗や公共施設での案内業務・窓口業務でも「コミュニケーションロボット」が活躍

ロボアドバイザー

さまざまな金融情報を機械学習やディープラーニングで分析し、投資家の希望に沿った株や投資信託への投資プランをアドバイスしたり、買い付け・運用まで行ったりするサービス。

すでに多くの金融機関が導入している。

自動運転

日本でも、あらかじめ決められたルート・走行環境での無人走行をかなえる自動運転がまもなく実用化される予定。

決して簡単な道のりではないものの、AIが最適なルートを選び、危険を回避する技術の開発・実験がさらに進めば、完全自動運転も夢ではない。

スマートファクトリー

AIのデータ収集&分析力を使ってあらゆる業務を見える化し、製造現場に共有することで、生産性の向上・品質改善・コスト削減などを実現する取り組みのこと。

人材不足の解消にもつながると期待され、国内でも数年前から導入する企業が出てきている。

AI(人工知能)に関わる仕事の最新の業界事情

さらなるAI活用のカギを握る「説明できるAI(XAI)」

AI(人工知能)に関わる仕事とは?IT、ゲーム、医療、教育etc.分野別に紹介

※2045年にはAIの「知の総体」が人類のそれを追い越すという予測もなされている

車の自動運転やロボット、スマホやスマートスピーカーのほか、有名棋士が将棋研究においてAIを活用していることが話題になるなど、私たちの日常生活においても急速に普及・浸透しているAI。

人口減少や少子高齢化によって社会の構造が大きく変わりつつある日本で、AIは新たな労働力や人間のパートナーとしての役割も期待されている。

2025年には人間の脳と人工知能の能力が逆転するという予測もあるが、ディープラーニングにおけるAIの思考や判断の過程が見えないという背景から、人命や財産に関わる重要な意思決定には「AI適用がためらわれる」という声も少なくない。

そこで今、世界的に研究が進められているのが、AIが導き出した結論の根拠を人に説明することを可能とする「説明できるAI(XAI)」。

AIへの信頼感が高まることによってこれまで以上に多様な分野での導入が進み、社会課題の解決や経済成長へつながると期待が寄せられている。




コンテンツ提供/ リクルート進学総研『キャリアガイダンス』
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取材・文/伊藤敬太郎(原文)、ミューズ・コミュニティー(2022年5月、一部更新) イラスト/桔川 伸

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