大衆芸能における伴奏音楽や、日本と欧米の音楽感覚の違いについて研究しています。現在はこうしたテーマを発展させ、アニメやマンガなどのメディア表現についても調べています。このような研究領域では、見過ごされがちな「当たり前」に目を向けることが大切です。例えば、アニメキャラクターの瞳に映るハイライト。アニメには、絵の動きを簡略化しカメラワークで表現する「リミテッドアニメ」と、滑らかなキャラクターの動きを重視する「フルアニメ」という、大きな2つの考え方があります。瞳のハイライトは、フルアニメにおいても当たり前に使われますが、元々はリミテッドアニメで多用される表現でした。当たり前に鑑賞しているアニメも、細部に注目して調べることで、別々のルーツを持つ表現が混ざり合って発展してきたことが分かるのです。
現代文化ゼミでは、メディア論についての学びをもとに学生それぞれが研究テーマを決め、論文制作に向けて調査・研究を行います。現代文化領域ではユニークな講義も多く、一例として「現代文化研究基礎」というものがあります。この講義ではアニメ作品を取り上げ、作品をつくるために参照した作品や扱われている社会問題について考察。さらに、画面構成のテクニック、漫画との手法の違いなど、あらゆる角度から作品を検討します。豊富な資料から着眼点を見つけて分析し、発表まで行うため、自ら疑問を発見し調査する力が身につきます。
現代文化を研究するためには、慣れ親しんだ「当たり前」に疑問を持ち言語化する必要があります。自分の興味あるテーマについて深掘りし、分かりやすく伝えたいと思っている人は、ぜひ本学科に探究しに来てください。
専門:音楽学、メディア研究
大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得後退学。日本学術振興会特別研究員などを経て、2012年より四天王寺大学に着任。伝統芸能や映像メディアに組み合わされた音楽から日本と西洋での音楽観の違いまで幅広く研究。主な論文に「歌舞伎の陰囃子と無声映画の和洋合奏を比較する」(『近代日本における音楽・芸能の再検討』)などがある。