
化学は、まだ世の中にない機能を「分子」という形でゼロから作れる学問です。私はこの力を使って、病気の発見(診断)と治療をつなぐ技術開発に取り組んでいます。具体的には、病気の場所を可視化したり、治療効果を発揮したりする「機能性原子(放射性核種など)」を、薬の分子へ効率よく組み込む独自技術を開発しました。これにより、例えばがん細胞だけを光らせて発見し、そこを攻撃して治すことが可能になります。さらに、メーカーと協力してその薬を自動でつくる装置も開発。現在、実際の患者さんに届けるための臨床研究を医師たちと進めています。この研究は、欧米の大学や研究機関からも高い関心を集めています。「遠くに行きたければ、みんなで行け」を合言葉に、医師や研究者ら多くの仲間と「順天堂発の新しい医療」の実現に挑戦しています。

研究室で光を使った化学反応の開発に取り組み中。化学物質を安全に扱うための研究設備も整っています
田中先生が指導にあたる医薬品化学研究室では、医学部や附属病院を持つ順天堂大学の強みを活かし、医師、薬剤師、臨床検査技師といった医療スタッフと連携した研究を行っています。研究活動は、実際の医療現場で起きている「困りごと」が出発点になります。例えば、順天堂大学浦安病院などと連携し、学生自身が現場の声を直接聞き、「化学の力でどう解決できるか」を議論し、「臨床で活きる研究」を目指します。こうした実践的な学びを通じて、化学や薬学の専門知識はもちろん、チーム医療の一翼を担うための「現場感覚」を養います。

医薬連携を軸とした研究を通じて、薬剤師ならではの化学的視点を臨床現場で活かせる人材を育成します
薬剤師は「化学というレンズ」で患者や治療法を見る専門家。医師とは異なる視点で病気や薬を捉え、医療に貢献できます。順天堂大学で独自の化学的視点を磨き、未来の医療を支える人材になってほしいと願っています。

臨床現場で働く薬剤師だけではなく、薬学研究や創薬研究に挑む学生を育てていきたいと語る田中教授
専門分野:有機合成化学、放射性標識化学、糖質科学
東京工業大学工学部化学工学科応用化学コース卒、同大学大学院理工学研究科化学工学専攻博士課程修了、博士(工学)。住友製薬株式会社、東京工業大学大学院理工学研究科助手、同研究科准教授を経て、2024年より現職。
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