
「代謝」とは、すべての生き物の細胞内で起こる一連の化学反応のことで、細胞が働くために欠かせない仕組みです。微生物による「発酵」も、その一つです。私は、この発酵の力を活用し、人の役に立つものを生み出す研究にも取り組んでいます。近年、気候変動や病害などの影響で、コーヒーの栽培に適した土地が半減する「2050年問題」が懸念されています。そこで注目しているのが「発酵コーヒー」です。コーヒー豆をインドネシアの大豆発酵食品づくりに用いられるクモノスカビ「テンペ菌」で発酵させ、発酵したコーヒー豆を使って作製したコーヒーのことで、発酵によって品質や機能性を改良できる可能性があります。もし発酵の力でコーヒーの味や価値を高めることができれば、低品質の豆を有効活用でき、「2050年問題」の解決にもつながるかもしれません。

「発酵という微生物の機能を使い、食品の品質や機能性を変えることができないかについて研究しています」
代謝には、まだ解明されていない未知の機能が数多くあるとされ、新しい発見がヒトの健康や社会に役立つ可能性があります。たとえば、がん細胞と正常細胞では代謝が異なるため、代謝物を測定することで、従来の腫瘍マーカーでは難しいがんの早期発見が可能になるかもしれません。西海先生の授業では、こうした事例も取り上げながら、食や医療、健康、環境など幅広いテーマを通して代謝や発酵について学びます。さらに、自らの研究テーマから代謝や発酵が持つ可能性を探究し、社会に貢献する研究の面白さを体感します。

「微生物の新しい機能の発見が、人や社会の役に立つかもしれない。そんな研究の面白さを感じてほしいです」
たくさん悩み、自分なりに納得できるやりたいことを探ってほしいです。研究ではオリジナリティが大切ですが、結果や効率を重視すると同じルートを歩みがちです。だからこそ自分で考える習慣を大切にしてほしいです。

「将来のためになるような学問や研究に興味があれば、ぜひ一緒に学びましょう!」
学士(農学), 修士(自然科学), 博士(農学)
「高校時代に生物や生命科学に興味がありましたが、発酵について学んだのは大学に入ってから、代謝の研究に触れたのは研究者になって間もない頃でした。みなさんも、今後まだ知らない研究や学問に出会えるはずなので、積極的にさまざまな経験をして将来につながる研究や学問を見つけてください」。
※この画面の情報は、すべて取材した時点でのものになります。



