私の主な研究テーマは、国際関係における紛争の変容と平和構築です。第二次世界大戦後、グローバル社会における紛争の形態は変容し、紛争後の平和構築のあり方も大きく変わっています。平和な世界を築き上げる過程において、国家や非国家主体(企業やメディア、財界、宗教団体、援助機関など)の意思決定にどんな要因や条件が影響を与えているかを分析し、説明することに力を入れています。また、最近では、EU(ヨーロッパ共同体)やASEAN(東南アジア諸国連合)といった「安全保障共同体(大規模な武力の行使が起こりにくいか、ほとんど考えられない地域空間)」がどのように変化し、将来はどうなるのか、また、ウクライナ紛争をはじめ、ユーラシア大陸における紛争変容の問題を研究するために、いくつかのプロジェクトを主導しています。
ゼミではテキストだけでなく映画などの資料も使って平和について考え、英語で討論します。ロシア・ウクライナ戦争の影響もあり、志望者が増えているそうです。「アクティブ・ラーニングにより学生主体で議論やコラボレーションを行うのが特徴です。批判的思考(クリティカルシンキング)や抽象概念の形成方法を身につけ、ビジネスや政治、社会の問題に適用する力を養うのが目標。世界に貢献できる人になってほしい」というのが先生の願いです。ゼミ生は国内外のフィールドワークにも積極的に参加します。今後はヨーロッパで行う予定です。
平和は幸福になるための前提条件ですが、戦争や紛争がないことが平和ではありません。貧困や差別、ジェンダーギャップなどがある社会も平和と言えません。未来のためにどんな平和を築きたいか、一緒に学びましょう。
カザフスタン出身。アルマトゥイ州立大学(カザフスタン)修士学位(法律と歴史)、プネ大学(インド)M. Phil. 学位(政治史)、カザフ国立大学(カザフスタン)博士号(国際関係)、名古屋大学(日本)博士研究員(法と政治)。カザフアメリカン大学法学部学部長のほか、ロシア、日本、デンマークの大学で客員・准教授を務め、2007年より多摩大学グローバルスタディーズ学部教授。20年近く日本に住んで働いている。