私は温度差で発電できる熱電材料の研究をしています。熱電材料はタービンなどが必要なく、場所や大きさを問わず発電できます。例えば火力発電所やゴミ処理場、自動車のエンジンなどの熱を利用でき、エネルギーの有効利用が可能です。また、災害時の大規模停電のリスク対策にもつながります。近年はホウ素系材料に注目し、研究を進めています。ホウ素系材料は軽量で高温でも熱電特性が良いのですが、粉体から焼き固めるのが難しく、2000度を超える超高温でしか整形できないのが難点でした。そこで微量の金属を混合したところ、これまでより300度も低い温度で粉末を焼き固めることに成功し、同時に発電性能も向上するという成果を上げました。「優れたエネルギー材料を自分の手で作りたい!」という夢に向かって、さらに研究を続けています。
研究室では学生自ら粉末を混ぜて熱処理をし熱電材料作って発電能力などを評価しています。「料理のレシピづくりと似ていますね。混ぜる材料や固める方法を自分で考えています」。基本的にはまだ誰も作ったことのない材料の作製を目指しているそうです。丸山先生が心がけているのは学生の意思を尊重すること。「押しつけはしません。機械いじりやモノづくりが好きな学生が多く、自分でどんどん工夫して取り組んでいます」。大学院生には成果を学会で発表することを勧めています。「外部の研究者と議論することがとても勉強になります」。
建築物や自動車、家電製品などすべては材料からできており、材料開発は幅広い分野に影響を与えます。特に優れたエネルギー材料を作れば社会を大きく変えられます。10年後20年後の未来を目指し一緒に研究しませんか。
東北大学工学部電気・情報物理工学科卒。東北大学大学院応用物理学専攻修了。博士(工学)。国立研究開発法人物質・材料研究機構、ポスドク研究員を経て、2016年東京都市大学工学部機械工学科に着任。現在に至る。高校時代は物理と数学が大好きで、問題を解けたときの達成感は格別だった。一方で地理の資料集めや地図を眺めて考えることも楽しかったという。体を動かすことも好きで、高校・大学ともに部活に全力で取り組んだ。