
何人か人が集ると、話に花が咲いて場が盛り上がったり、反対に、何となく居心地の悪い雰囲気になったりするでしょう。私は、こうした「場の空気感」を、データを使って定量的に測れないかという研究をしています。複雑系科学やコミュニケーション科学と呼ばれる分野で、ひとつ例を挙げれば、人が集団の中で話している時の意識しない体の動きを時系列データとして計測・分析することで、コミュニケーションが活発か、メンバー間の役割分担はどうかといった状態を、数値化して捉えられるのではないかと考えています。まだ基礎研究の段階ですが、将来的には例えば企業向けに、どのような集団のあり方が望ましいかを具体的に提示して、チームワークをより高め、それぞれが楽しく、充実して働ける職場づくりに役立てるといった応用を視野に入れています。

集団行動では「人が動き回ったり、向きを変えたり、体の動きが多様なほうが良さそうだ」と分かってきました
天野ゼミでは3年次前半、データ分析に適したR言語を使って、たくさん変数のあるデータを解析するスキルを習得しつつ統計学の基礎を学ぶ。後半は、興味のあるテーマを設定してグループワークに取り組み、4年次にはそれを発展させて卒業論文にまとめる。これまでの事例では、「ヒット曲の歌詞を年代別に分析して、異性に呼びかける言葉がどう変化したか」「SNSのアイコンが顔写真かキャラか無しかで、レスポンスが違うか」を調べるといったユニークなテーマばかり。学生たちは複雑な事象を読み解くデータサイエンスの面白さにハマっている。

学生が自作したVRゲームを来場者に体験してもらうなど、文化祭やオープンキャンパスも発表の場として活用
人や社会を理解するには、分野を越えた視点が大事です。数学、情報、心理学などを横断して考える必要があるのが複雑系の魅力。文系理系の枠にとらわれず、日常生活で感じている疑問や違和感を探究してみませんか。

「人の集まりを科学的に理解することで、社会の見え方が少し変わる、そんな研究を続けていきたいですね」
専門/複雑系科学、コミュニケーション科学、時系列解析
略歴/2015年3月、群馬工業高等専門学校専攻科生産システム工学専攻修了。2017年3月、東京工業大学総合理工学研究科知能システム科学専攻修士課程修了後、同学情報理工学院情報工学系知能情報コース博士課程を単位取得満期退学。流通経済大学流通情報学部助教を経て、現在に至る。
機械式ウォッチやフィルム式カメラなどのコレクションが趣味で、東洋哲学への造詣も深い。
※この画面の情報は、すべて取材した時点でのものになります。



