歴史的、伝統的なまち「京都」は、環境モデル都市として世界から注目を集めています。その京都の家・住まいに何が大事かを考えるとき、大切なヒントは「伝統・自然」にあります。これからの社会は自然環境全体への配慮がなくては成り立ちません。環境を前線で維持しているのは、その地域社会において営みを行う農家、林業家、職人さんたち。彼らの仕事が相互に連携している仕組みを学ぶことで、「伝統・自然」を真に理解することができます。伝統との向き合い方は、必ずしも最高級である必要はありません。土や木に直接触れる、自然に寄り添うシンプル・ローテクの家づくりやていねいな暮らしこそ、これからの家や住まいの基本であると考えます。ぜひ、みなさんも体験を通して京都の暮らしを一緒に考えましょう。
先生の監修のもと、技術指導の棟梁とともに京町家の改修に取り組んでいます。今も実際に人が住んでいる、島原の元お茶屋の建物の2階アトリエ部分を学生たちと改修しています。元々あった天井を取り払い、梁が見える形で天井を高くし、断熱材を仕込んで天井板を張る。天井板を梁に沿わせて張るのはプロでも難しい仕事ですが、学生たちと時間をかけて仕上げを進めています。その後、壁を塗り、床を貼れば完成です。最後に照明器具が空間に彩りを添えます。つくることの楽しみ、喜びを身をもって学ぶことの大切さを重視しています。
まずは、建築が好きかどうかを自分に問うてみること。建築は好きな気持ちがなければ続かない職です。好きかどうかは、自分が感動できるかどうかが大事。そんな建築と出会って欲しいです。
専門/意匠設計 建築論
1954年生まれ、京都大学建築学科卒業、同大学院修了。その後ドイツのシュトゥットガルト大学へ留学。帰国後に一級建築士事務所 Boden-Bau 建築研究所を開設する。京都大学非常勤講師(図学)を経て、現在は京都建築専門学校校長を務める。
設計製図、伝統構法、建築概論、建築研究などの授業や演習のほか、木工基礎、椅子ゼミ、木匠塾や町家改修の指導を行っている。