調味料をはじめとする幅広い商品の製造・販売を行う日本食研で、業務用の焼肉のたれや唐揚げ粉などの開発を担当しています。商品ごとのターゲット層に合わせて、味の濃淡や風味を考えるのはもちろん、家庭とは異なる調理の工程を理解したうえで、最終的に香ばしさや味わい、食感などがベストな状態になるよう、食材や調味料の種類、配合する順序やタイミングなどを変えながら試作を繰り返します。ただ自分が美味しいと思うものをつくるのではなく、消費者の口に届くまでの過程やニーズを調査し、安全性やコスト、技術的な制約をクリアしながら、商品ごとのテーマに合う美味しさを見極め、つくり上げていくのがこの仕事の醍醐味です。
大学では食と人のかかわりについて深く学びました。例えば「食品学」では、タンパク質の構造や、食塩、砂糖が食品に与える影響などを学び、食材をより美味しく食べるための方法を科学的に理解するとともに、味をつくる楽しさに出会いました。教員はとても親切で、学生との距離が近く、授業外でも勉強や生活面など何かと相談に乗ってもらった思い出があります。ゼミナールではアレルギーについて研究を深め、課外活動としては近隣大学の運動部員の栄養管理を行うサークル「NSTA」に所属し、毎日朝晩の食事の献立を作成・調理し、提供しました。食を通じて多くの人とつながりながら、学んだ知識を社会で役立てる楽しさを実感できた大学生活でした。
大学入学時はまだ将来の進路を具体的には考えていませんでしたが、食について深く学ぶなかで、調理方法や味のつくり方だけでなく、そもそも味とは何か?という根本的な部分に興味を抱くようになりました。また、サークル活動で自分がつくった食事を喜んで食べてくれるアスリートを見るうちに、もっと多くの人の役に立ちたいとも思い始めました。それが、「献立」のさらに先にある「味そのもの」をつくる研究開発の仕事をめざした理由です。「食品学」や「生化学」、アレルギーの知識、大量調理にも対応できるスキルは管理栄養学科出身者ならではの強みであり、「人」を軸に商品を開発するうえで欠かせない要素となっています。
日本食研ホールディングス株式会社 勤務/管理栄養学部 管理栄養学科/2018年3月卒/仕事には、管理栄養学科でのすべての学びが役立っているという鈴木さん。「研究開発というと、研究室にこもって黙々と仕事をするイメージがあるかもしれませんが、営業や商品企画など、他部署のスタッフとの連携が欠かせませんし、取引先の方に商品の特長を説明したり、展示会でプレゼンテーションしたりする機会も少なくありません。管理栄養学科の授業は専門知識やスキルを学ぶだけでなく、グループワークやディスカッション、発表する機会も多いので、協調性や伝える力が自然に備わり、研究開発の多岐にわたる職務に対応できています」と語る。