作業療法士が扱う作業とは「日々の活動に意味や目的をもつもの」としています。たとえば料理をすると言う活動も、ある人は「自分にとって満足のいく味付けを追求したい」、ある人は「主人のためにとっておきのカレーライスを作ってあげたい」と人それぞれ料理をする目的や価値観は異なります。単に「料理をする動作」ができるように支援するのではなく、「その人らしい料理」を支援するのが作業療法士の仕事だと私は思っています。「その人にとっての大切な作業は何か、どんなやり方で行うのか、どんな価値観なのか」などを対象者の方から丁寧に聞き取り、実践していくこと。医療者に合わせるのではなく、対象者の方に合わせていくことが大切です。対象者の方が主体性を持って行動するために、まずは作業療法士が主体性を持って行動することが必要です。
廣瀬先生が指導している専門科目に「作業療法治療学VII」があります。実際に先生が作業療法士として担当してきた数多くの症例からシナリオを作成し、様々な疾患や障害を抱える対象者や患者役を教員が演じて、学生が評価をすると言う実践形式です。たとえば、認知症の症状が強い方はコミュニケーションを取ることが困難なため、対象者に対してどのように工夫し環境を設定して行えばいいのかなど、学生自身で考えて行動するように配慮されています。そして、評価した内容を考察し発表することで知識や評価技術の定着を図っています。
作業療法士を追い求めていくと様々なことを学ぶ必要性に気づくはずです。身体も心も環境も包括的に支援できる人になりたい方、一緒に深めましょう!作業療法士は病院や施設、地域など多領域で求められていますから!
専門科目:作業療法治療学VII(高齢者)
作業療法士を目指すため、あいち福祉医療専門学校に入学し、2009年卒業。身体領域の病院に入職し、作業療法士の道を歩み始める。2014年から働きながら大学で学び、卒業後、あいち医療福祉専門学校の専任教員となる。