大学卒業後の就職者は約6割。大学院進学やニートも
“大学入学”を目標に猛勉強中の高校生にとって、“大学卒業後”なんて遠い話かもしれない。しかし、「大学卒業後は就職するもの」と単純に考えている人は、ちょっとこのデータを見てほしい。
2012年3月大学卒業者の状況をみると、就職した者は約6割。残りの約4割は就職以外の道へ進んでいる。就職以外の主な進路の1つは進学だ。大学院への進学者が1割強で、専門学校に進学する者もいる。もう1つ目立つのが、「それ以外の者」が15.5%にのぼること。これは就職も進学もしていない人たちのことで、いわゆるニートがあてはまる。2年連続で減少しているものの、依然として就職が難しい現実を反映した結果といえるだろう。
こうした状況が、学部系統によって大きく異なる点にも注目しよう。文系学部では全体的に就職者が多く、6~7割。一方の理系学部では、より専門的な知識を身につけたり研究を深めるために大学院等へ進学する割合が大きく、「理学」は43.5%、「工学」は36.5%となっている。これらの分野を志望している高校生は、大学院進学の可能性も視野に入れておきたいところだろう。
また、「家政」や「教育」は就職者が7割を超え、就職も進学もしない「それ以外の者」は他の文系学部に比べて少なめだ。それと対照的なのが「芸術」で、就職者が4割と少なく「それ以外の者」が3割近い。実際の状況を東京藝術大学に聞いてみると、ニートになる人が続出するというわけではなさそうだ。
「進学も就職もしない卒業生は少なくありませんが、組織に入らず個人レッスンの講師やフリーランスとして活動する例が多いようです。就職する場合は、美術系であればアートディレクターやデザインの仕事に就いたり、音楽系であれば交響楽団や音楽事務所などへの入社がみられます」(東京藝術大学就職担当者)
大学を卒業した先輩たちは様々な進路へ進んでいる。景気状況に左右される面もあるが、進路を切り拓いていくのはやはり自分自身。高校生には、将来について少し長いスパンで考えてみてほしい。
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出典:文部科学省「学校基本調査」(平成24年度速報)
※「進学者」とは、大学院研究科、大学学部、短期大学本科、大学・短期大学の専攻科、別科へ入学した者
※「それ以外の者」とは、家事の手伝いなど就職でも「大学等への進学者」や「専修学校・外国の学校等入学者」でもないことが明らかな者