心理系の2つの資格「公認心理師」と「臨床心理士」どっちを取る?
2018年に試験が始まる予定の公認心理師
最近では、学校にスクールカウンセラーが置かれることが一般的になり、高校生にとっても、「心の問題の専門家」として活躍するカウンセラーは身近な存在になってきた。
また、映画やテレビドラマを通してカウンセラーという仕事に興味をもった人もいるのでは?
そこで、「どうやったらなれるのだろう?」と少し調べてみると、これらの専門家の多くが「臨床心理士」という資格を取得していることがわかるはず。
資格名くらいは聞いたことがあるという高校生もきっと多いだろう。
ただし、少しややこしいのがここから。実は、最近、同じように心の問題を扱う専門家を認定する「公認心理師」という国家資格が登場したのだ。
最初の試験が行われるのが2018年の予定。
そうなると、「どっちを目指したらいいの?」と迷ってしまいそう…。
臨床心理士は民間資格、公認心理師は国家資格
そんなときは専門家に話を聞いてみよう。東京成徳大学 応用心理学部 臨床心理学科の根津克己准教授はこの2つの資格の共通点と違いについて次のように説明する。
一般論として、国の法律に基づいている国家資格のほうが権威があるように思える。
ただし、臨床心理士もすでに3万人以上が取得しているこの分野のメジャー資格。むむむ…、ますます判断が難しくなってきた。
公認心理師は大学で指定科目を学ぶことが必須
次に「なり方」についてもチェックしておこう。
実はここが大きなポイントなのだ。
では、公認心理師はどうだろうか。
もう一つ、大学卒業後、医療機関などに設けられるプログラムで実務経験を積んで受験資格を得る方法もあるが、こちらは、プログラムを実施する機関がそれほど多くはないと見られている。
つまり、大学4年間と大学院の2年間の計6年間、心理学について学ぶことが、公認心理師を目指すための王道のステップとなるわけだ。
心理学部・学科などに進学すれば両方を目指せる
ところで、大学院に関しては、新たに公認心理師養成のための大学院が作られるのだろうか?
まとめると、公認心理師養成に対応している4年制大学の心理学部・学科などに進学すれば、最初からどちらかの資格に決めることもないし、頑張って両方の取得をねらうこともできる。
しかし、それ以外の学部・学科に進学した場合、公認心理師の受験資格は得られないということだ。
心理学部で学びながら最新動向をしっかりチェック
さて、ここでもう一つ気になるのが、公認心理師と臨床心理士の将来的な位置づけ。専門家はどう予測しているのだろう?
例えば、国家資格ができたことによって、臨床心理士の志望者が減っていくということもありうる。今後数年の間は、両資格をめぐるさまざまな動きをしっかりチェックすることが必要だ。その意味でも、大学の心理系学部・学科で学ぶ4年間は、単に国家資格の受験資格を得るためだけでなく、情報収集のための期間としても重要になりそう。
最後に、大学での学びに関して根津准教授からこんなアドバイスが。
カウンセラーになるかどうかを大学進学時に決めるのは不安がある人もいるかもしれないが、学んだ知識を生かした路線変更も十分可能というわけだ。
その点も頭に入れて、学部・学科のチェックを始めてみよう!