保険に関わる仕事とは？保険業界の仕組みは？企画、販売、調査、職種別に仕事内容を解説！

保険とは病気になったり、事故や災害に遭ったりするリスクを前提にした “お守り”のようなもの。

芸能人を起用した保険会社のCMを目にする機会も多く、なんとなく身近ではあるけれど、仕事となると何をするのかよくわからない。そんな高校生も多いのでは？

保険業界には、保険を売る営業職だけでなく、実はさまざまな専門知識・スキルを持ったスペシャリストたちが働いている。

また、多くの女性が活躍する業界の一つであり、男女のジェンダーギャップ解消にも積極的に取り組んでいるのだ。

今回は、保険に関わる仕事の種類と内容について勉強していこう。

保険って何？どんなものか詳しく解説！

保険とは、生命保険、医療保険、自動車保険、火災保険、地震保険など、いざというときに備える「安心」を提供する商品のこと。

最近では、女性だけを対象とした保険やペットのための保険も登場するなど、多様化が進んでいる。

このような、将来起こりうるさまざまな危険や不安に備える保険を商品として企画、販売するのが保険の仕事だ。

保険業界とは？保険業界の仕組みは？

保険業界とは、各種保険商品を扱う業界のこと。

保険加入者から保険料を集め、本人や家族が病気になったり、事故や災害に遭ったりした際、所定の保険金を支払うサービスを提供している。

保険商品を企画・販売する「生命保険会社」「損害保険会社」は直接または販売代理店を通して、顧客となる企業や個人に保険商品を販売する。

販売スタイルは、営業担当が直接顧客を訪問する他、街角にある保険ショップなどの店舗窓口やインターネットでの取り扱いがある。

保険商品を企画し、販売する会社

生命保険会社

生命保険会社とは、人が病気やケガをしたり、亡くなったりすることによって生じる経済的負担・損失を保障する「生命保険」を企画・開発・販売する会社。

死亡保険、医療保険、がん保険、介護保険などが代表的な商品となる。

貯蓄の役割をもつ生命保険もある。

※生命保険には死亡保険、医療保険。がん保険、介護保険などがある

損害保険会社

損害保険会社とは、事故や災害によって生じる損害などを保障する「損害保険」を企画・開発・販売する会社。

個人向けの自動車保険、火災保険、地震保険、旅行保険の他、企業向けの火災保険、船舶保険、貨物保険、賠償責任保険などが代表的な商品となる。

保険商品を販売する会社

銀行

銀行の窓口は、資産運用を目的とした預金や投資信託など、他の金融商品と組み合わせてライフプランに合ったオーダーメイドの提案ができるのがメリット。

保険代理店

保険会社から委託される形で保険商品を販売する会社。

例えば、自動車保険を販売するディーラーは、損害保険会社の代理店としての機能を持つ。

保険ショップ

複数の保険会社の商品を幅広く取りそろえた店舗型の保険代理店。

ショッピングセンターの中などにあり、買い物などのついでに手軽に保険の相談ができる。

保険商品を購入する人

一般企業

業務中の事故、自社製品が原因の事故、店舗の火災、突然のイベント中止、個人情報漏洩など、企業経営で起こりうるリスク（賠償責任）に備えるために保険は必須となるアイテムの一つ。

個人

自分や家族を守るため、死亡保険、医療保険、介護保険、自動車保険、火災保険、地震保険など、ライフスタイルに合わせてさまざまな保険に加入できる。

最近は、愛犬や愛猫が病気になった際の治療費を補償するペット保険も人気だ。

保険に関わる仕事とは？保険に関わる仕事の種類を紹介

保険に関わる仕事は、「企画・開発」「資金運用」「販売」「調査」の大きく4つのカテゴリーに分けることができる。

それぞれに専門分野のスペシャリストが存在し、社内で分業して仕事を進めるのが一般的なスタイル。

営業担当の中には、ファイナンシャル・プランニング技能士やAFPなど、金融系の資格を取得して働く人も。

また、営業をサポートする事務スタッフも数多く働いている。

保険商品を企画・開発する仕事

１. 商品企画

保険業界における商品企画とは、社会が変化するなかでどのようなリスクが増えているか、一般の人々や経営者が何を不安に感じているのかを調べ、時代のニーズに対応した新しい保険商品を企画・開発する仕事。

既存の商品の保障内容の改定なども行う。

２. アクチュアリー

アクチュアリーとは、統計学などを用いて事故や病気が起こる確率を計算し、適正な保険料や、保険金の支払いに必要な責任準備金（社内で積み立てておく必要があるお金）の算定などを行う専門家。

アクチュアリーの資格は合格率が低く、弁護士や公認会計士などと並んで日本最難関の資格と呼ばれることもある。

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顧客から集めたお金を運用する仕事

３. ファンドマネージャー

ファンドマネージャーとは、顧客から預かった保険料を国債・地方債・社債・株式などに投資して増やしていく資産運用部門の指揮官。

市場の動向を分析しながら最適な資金運用を行って利益を得ることは、保険ビジネスを成り立たせるために重要なミッションとなっている。

４. クオンツアナリスト

クオンツアナリストとは、債権・株式の価格変動や企業の業績などに関するデータを金融工学に基づく手法で分析し、ファンドマネージャーの資金運用をサポートする仕事。

高度な数学や統計の知識、さらにはITスキルも求められる理系のスペシャリストだ。

保険商品の販売やアドバイスをする仕事

５. ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーとは、保険・税金・住宅ローン・不動産などについて幅広い知識をもち、顧客の将来設計（ライフプラン）に合わせた資金計画を立てる仕事。

保険業界で働くファイナンシャルプランナーは保険商品のアドバイスを専門に行う場合もあれば、生命保険の営業・販売担当として活躍するケースもある。

●ファイナンシャルプランナーについて詳しく知る
ファイナンシャルプランナーを目指せる学校を探す

 

６. コールセンター業務

コールセンター業務とは、電話で問い合わせてきた顧客に対して、最適な保険商品の提案や保障内容の説明、申し込み手続きの説明などを行う仕事。

保険商品のネット販売が拡大するなかで役割が大きくなっている職種の一つだ。

コールセンター業務に従事する場合も、営業・販売担当と同じく「保険募集人」の資格が必要となる。

７. 個人営業

個人営業とは、個人の顧客に保険商品を販売する営業職の仕事。

営業スタイルは会社によって違いが大きく、外資系生命保険会社では保険の販売成績が報酬と比例する“完全歩合制”を導入していることも。

最近は、顧客の将来設計についてじっくり話を聞き、最適な保険プランを提案するコンサルティング型営業も増えている。

※保険の個人営業は顧客一人一人のニーズにしたがい、保険商品を提案していく仕事

８. 法人営業

法人営業とは、企業や経営者を相手に保険商品を販売する営業職の仕事。

事業内容や経営上場を把握したうえで、将来どのような経営リスクがあるかを分析し、ビジネスにおける備えとして必要な生命保険や損害保険を提案・販売する。

９. 代理店営業

代理店営業とは、保険会社に所属し、自社の商品を扱う保険代理店をサポートする仕事。

担当エリアの市場調査を行って販売戦略を考え、研修などで営業手法をスタッフに指導しながら、代理店と二人三脚で売上アップを目指す。

また、新しく代理店となってくれる会社の開拓も担当する。

保険金を支払う際の調査などに関わる仕事

10.保険調査員

保険調査員とは、保険金を支払うにあたり、事故などの事実関係を調査する仕事。

自動車保険の場合は、事故現場の状況、破損やケガの状況の調査、関係者への聞き込みなどを行い、事故原因や過失割合を判断する。

保険会社の他、調査会社で活躍する保険調査員もいる。

11.支払査定

支払査定とは、保険会社に所属し、加入者から保険金・給付金の支払請求があった際に、支払の可否や支払い額を査定する仕事。

例えば、医療保険の場合は提出された診断書などに基づいて査定をするため、病気や医療についての知識も求められる。

保険に関わる仕事の最新の業界事情

※保険業界では女性管理職の数や育児休業取得者の数は年々増加している

結婚・出産・育児・介護で、キャリアを諦めなくていい社会へ

女性も多く働く保険業界では、結婚・出産・育児・介護などによってキャリアを断たれることなく、誰もが自分らしく活躍し続けられる多様な働き方を実現するための取り組みが推進されている。

その軸となっているのが、社員一人ひとりが主体的にキャリアを構築していくための応援制度。

勤務時間やテレワークの自由選択、復職支援制度や退職再雇用制度で育児や介護との両立をサポートする他、エリア限定職で入社した社員についても、結婚や家族の転勤に伴って勤務エリアを変更できる人事制度を導入する保険会社も。

その結果、女性管理職の数や育児休業取得者の数は年々増加し、仕事におけるジェンダーギャップの解消にもつながっている。

取材・文／伊藤敬太郎（原文）、ミューズ・コミュニティー　イラスト／桔川 伸

コンテンツ提供／ リクルート進学総研『キャリアガイダンス』
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