赤本のベストな使い方は“志望校タイプ”によって違う!中の人に聞く理想の赤本活用法
いよいよ11月、そろそろ志望校の赤本に手を付け始めている人も多い時期かな?でも、その赤本での過去問演習、「ただ漠然と解いてるだけ」になってない?
この記事では先輩への調査&“赤本の中の人”への取材をもとに、効果的な赤本の使い方を徹底的に調べてみたよ!
目次
先輩340人に聞きました!赤本、どんなふうに使ってた?
実際に大学受験に挑んだ先輩340人に、赤本の使い方を大調査!第一志望に合格できた先輩・不合格だった先輩それぞれの結果を見ていくと、意外な事実が判明したよ!
国公立大学(共通テスト重視)志望の先輩の場合
合格した先輩は赤本着手が遅め!共通テスト対策を重視が吉?
合格した先輩のほうが着手時期は遅めな結果に。
大学入学共通テスト(以下:共通テスト)の比重が高い志望校の場合は、共通テスト対策に力を入れる時期を長めにとって、短期間に詰めて二次試験対策をするのが良さそう。
国公立大学(二次試験重視)志望の先輩の場合
1.5年分の経験値が勝負の分かれ目?演習量も大切!
合格した先輩のほうが着手時期は遅めかつ、平均1.5年分ほど遡った過去問の年数が多いという結果に(20年分解いたという猛者も!)。二次試験重視の大学は、過去問演習量がよりシビアに結果に繋がっていたよ。
私立大学志望の先輩の場合
赤本着手は国公立大学より1カ月ほど早めの動きに。
6~8月ごろに赤本に着手した人が多い国公立志望の先輩たちに対して、私立志望の先輩たちは1カ月ほど動きが早め。
合格した先輩のほうが遡った過去問の年数が少ないのは、出題傾向を分析しながら1年分を繰り返し解いていたからみたい。
“赤本の中の人”が考える、理想の赤本活用法
大学受験のキーアイテム「赤本」にだって、作っている“中の人”がいるはず!ということで、今回は赤本を制作している「教学社」編集部のみなさんに、受験生へオススメの赤本の活用法についてお話を聞いてみたよ!
まず、赤本を作っているみなさんとして、「赤本はいつごろから使い始めてほしい!」というおすすめの時期はありますか?
最初は実際に解かなくても良いので、例えば英作文や論述問題があるのか、といった、出題傾向の確認のために使ってもらいたいです。
出題傾向の分析といってもどういうところを見たら良いかわからない!という声をよく聞くのですが、分析のコツって何かありますか?
頻出分野や出題形式も載っているので、是非読んでみてください。
大学によって出題傾向は異なるので、併願校についても受験予定の大学の過去問は一通り見ておくのがおすすめです。
例えば「第一志望と併願校の出題傾向が全然違う!」なんてこともあると思うのですが、その場合はどう学習を進めるのが良いでしょうか?
まずは受験校すべての頻出分野を確認したうえで、第一志望校を軸に学習内容の優先順位付けをすると良いと思います。
優先順位を付けた後は、どんなふうに赤本を活用していけば良いでしょうか?
多くの年数の過去問に取り組むのも良いですが、弱点を克服していくことが大切です。
ただ解くだけにならないようにしてほしいですね。
自由英作文の解答例や英語長文の全訳も、高校生の知識で書けるものを目指し、簡潔でわかりやすい解答解説になるよう工夫しています。
最後に、受験生に「赤本のここだけは見てほしい!」というポイントがあれば教えてください。
また、もしよければ「はしがき」もぜひ読んでもらいたいですね。
これは、受験という人生の岐路にたつみなさんに宛てた、編集部からの応援メッセージでもあります!
それはぜひ見てもらいたいですね!!(スタサプ編集部、今日イチの共感)本日はありがとうございました!
合格した先輩たちの知恵を結集!志望校タイプ別 過去問学習計画プランナー
先輩340人のアドバイス&“赤本の中の人”に聞いた理想的な使い方を受けて、2月までの学習プランの目安を志望校タイプ別にまとめてみたよ!
「何から手を付けていいかわからない…!」という人は、ぜひ参考にしてみてね。
●伊藤岳人先生
大手予備校で10年間進路指導を行う。現在は「スタディサプリ進路」進学アドバイザーとして進路指導に従事。
国公立大学(共通テスト重視)の場合
共通テスト重視の国公立大学が第一志望の場合でも、あまり早くから共通テスト対策に絞り込みすぎるのはNG。
二次試験で使う思考力も忘れてしまわないよう、並行して鍛えていこう。国公立推薦型選抜で共通テストが必要な人は、共通テスト対策を入念に。
☑志望校の赤本を入手して、各学校の出題傾向をチェック。
☑センター試験の過去問をチェック。センター試験と共通テストで大きく傾向が変わる教科は類似している大問に絞って解く。
☑共通テスト予想問題・二次試験の過去問を並行して進める。英語・数学など、センター試験から内容が変更になることがわかっている教科は、予想問題集を重視。
☑11月中は早く解くことよりも、きちんと理解して解くことを意識しよう。理解する→早く解くの順番で身に着ける。
<12月>
☑12月半ばまでは共通テスト対策と二次対策を並行して行い、1カ月を切ったら共通テスト対策の比重を上げていく。
☑共通テストを規定時間の8割(80分なら64分)で解く練習を始める。最初の2~3分で全体に目を通し、時間配分を意識できるようにする。二次試験は時間内で解答できるようにする。
<1月>
☑共通テスト(自分の受験予定の日程)の2週間前から、時間割も完全に本番に合わせて過去問・予想問題に取り組む。
☑共通テスト後に突然二次試験に意識を切り替えるのは難しいので、共通テストと二次対策は8:2くらいの比率で継続。ただし、1週間前は共通テスト1本でOKだが、共通テストが終わった瞬間に二次試験に頭を切り替えよう。
☑共通テスト終了日からすぐに二次試験の頭に切り替え、数学は記述対策、英語は長文読解・英作文の対策を進める。
☑徐々に過去問を解く時間を短くし、最終的には試験時間の8割(80分なら64分)で解く練習を始める。最初の2〜3分で全体に目を通し、時間配分を意識できるようにする。
<2月>
☑(国公立推薦型選抜の実技や学科が2月にある場合)今年は推薦での受験者が増えると予想されているため、推薦のボーダーが上がる可能性がある。対策は二次試験:推薦対策:私立併願校対策を、5:2.5:2.5くらいの比率で学習を進める。
☑(一般選抜で受験する場合)二次試験:私立併願校対策を7:3くらいの比率で、過去問演習を行う。
国公立大学(二次試験重視)の場合
国公立大学の二次試験は、とにかく過去問のやり込みがものを言う。
基本的に一つの学校の対策になるので、過去問の年数を遡って傾向と対策の引き出しを増やし、類似問題への対応力を磨いていこう。
直近の過去問の方がより現在の入試傾向に近い場合が多いので、古いものから手を付け、直近のものは後にとっておくこと。
☑志望校の赤本を入手して、各学校の出題傾向をチェック。
☑過去問を解きつつ、類似問題の演習を進める。
☑11月中に一度、1年分の過去問をまとめて解く日を作る。(志望校の判定がA判定・B判定など余裕がある場合は、どんどん過去問演習を進めてOK。)
☑志望校の判定に余裕がない場合は、とにかく共通テストを一点でも多くとることを重視。C判定を超えてから二次対策や過去問を意識する。
<12月>
☑年内いっぱいは共通テスト対策と二次対策を並行して行い、年明けから共通テスト対策の比重を上げていく。
☑共通テスト・二次試験共に過去問を規定時間の8割(80分なら64分)で解く練習を始める。最初の2~3分で全体に目を通し、時間配分を意識できるようにする。
☑12月中に一度、1年分の過去問をまとめて解く日を作る。
<1月(共通テスト前)>
☑共通テスト(自分の受験予定の日程)の2週間前から、時間割も完全に本番に合わせて過去問・予想問題に取り組む。
☑共通テスト後に突然二次試験に意識を切り替えるのは難しいので、共通テストと二次試験対策は8:2くらいの比率で継続。
☑1月中(共通テスト前まで)に一度、1年分の過去問をまとめて解く日を作る。
<1月(共通テスト後)・2月>
☑共通テストが終わり次第残りの過去問をどんどん解く。赤本に載っている分は最低限すべて解き、できればそれ以前の過去問にも触れておく。
私立大学(共通テスト利用以外)の場合
私立大学は受験方式もさまざまになってくるので、志望度に合わせた対策の取捨選択が大事。
志望度に合わせて時間を配分し、学習を進めていこう。
国公立ほどではないが、新入試初年度で予測がつかない点も多いので、過年度の出題傾向や配点などの事前のリサーチは慎重に行おう。
☑志望校の赤本を入手して、各学校の出題傾向をチェック。
☑入試要項を確認し、過年度と全体の時間配分・配点が変更になっていないかを確認。過去数年で特に出ている単元を確認する。
☑私立大の過去問は基礎力がない状況で解いてもあまり効果がないので、C判定以上を取れるようになった志望校から過去問に着手していく。
☑過去問はまず規定時間で解いてみる。合格最低点に届かなかった場合、①時間が足りないのか、②解法途中での間違い(選択問題を絞る際など)なのか、③単純に知識不足なのかを見極める。同単元の見直しを①・②の場合はアウトプット中心に、③の場合はインプット中心に行う。
☑受験校の過去問はすべて最低1年分は解く。志望度が高い学校については、さらに遡って解いておく。
<1月~2月>
☑時間割も完全に本番に合わせて、過去問に取り組む日を作る。
☑過去問でつまずいた部分は、解けるようになるまで繰り返し解きなおす。
☑過去問を解く時間を徐々に短くし、最終的には規定時間の8割(80分なら64分)で解く練習を始める。最初の2~3分で全体に目を通し、時間配分を意識できるようにする。
☑マーク式の試験の場合は特に、時間内に全問回答ができるようにする。
赤本の使い方のポイント
最後に、“赤本の中の人”に聞いた赤本活用法のポイントをまとめるよ。●志望校が決まったらできるだけ早く使い始める
●出題傾向を分析するには「傾向と対策」ページを活用する
●第一志望と併願校の出題傾向が異なる場合は、第一志望校を軸に学習内容の優先順位付けをする
●「出題内容の分析」→「実際に過去問を解く」→「できなかったところの確認・復習」→「再度過去問を解く」のサイクルを重視する
●「はしがき」は受験生への応援メッセージ
※本調査は2020年9月にスタサプ編集部にて、現役大学生・短期大学生・専門学校生340人にアンケートを実施
入試が近づいてきて焦り始める時期だけど、やみくもに過去問をひたすら解くのは時間と労力がもったいない!自分の志望校タイプをしっかり見極めて、成果が出やすい学習方法を選んでいこう。
「今日は頻出単元の理解を進めるため」「今日は時間内で解く練習のため」と一回一回の過去問演習に目的を設定して、計画的に学習を進めてみてね。