美しさに数学が関係? ダヴィンチも知る黄金比とは
パルテノン神殿やピラミッド、ミロのヴィーナスには、現代でも多くの人が認める美しさがある。こうした普遍的な美に、実は数学が潜んでいることをご存知だろうか。キーワードは「黄金比」だ。
黄金比とは1:1+√5/2のことで、近似値は1:1.618。古代ギリシャの時代から最も均整のとれた美しい比率といわれている。
下図のように長方形の縦横の辺の比が黄金比になっていると、とても均整のとれた形となる。この黄金比の長方形には興味深い点がもう1つ。ここから正方形を切り取ると、残った図形はやはり同じ黄金比をもつ長方形になるという特徴をもつのだ。
この黄金比は、多くの歴史的建造物や芸術品にみつけることができる。
例えば、冒頭で触れたパルテノン神殿は、正面から見ると縦・横の比がほぼ黄金比だ。エジプトのピラミッドでは、側面からみた三角形の高さと底辺の半分の長さの比が黄金比。
また、ミロのヴィーナスは頭の先からおへそまでの長さと、おへそからつま先までの長さの比が黄金比になっている。ダヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」も同様だ。映画にもなった長編推理小説『ダヴィンチコード』のなかでも、この「ウィトルウィウス的人体図」を用い黄金比にふれるシーンがある。
「これらは黄金比に基づいて制作したというより、デザインや絵画、建物の設計などを考えていく際、美しさを追求していったら、自然とその比が発見されてきて、やがて数学的な謎解きがされたのかもしれませんね」と、千葉県立東葛飾高校教諭の福島毅先生。
また、「興味深いのは、黄金比が自然の造形にも含まれていたり、身近にあるものにたくさん採用されていること」と、さまざまな例をあげてくれた。
「まず自然界では、オウムガイのらせん形や銀河の渦などがそうですね。らせん形の直径と、それより90度内側の直径の長さが黄金比に近いといわれています」(福島先生)
自然にできたものなのに、でたらめな形ではなく、秩序をもっているとはなんとも神秘的ではないだろうか。
「また、身近な例では、新書や名刺、タバコの箱の縦と横が黄金比に近いです。また、1:√2(近似値1:1.4142)は白銀比と呼ばています。その代表例はA判、B判などの用紙サイズ。例えば、A4判の縦横は210mm×297mmで、ほぼ1:1.4142です。五重塔や法隆寺にも白銀比はみられるなど、日本人には黄金比よりもなじみ深いようです」(同)
ほかにも、WEBデザインやロゴにはこうした比率が数多く使われている。デザインやアートに美しさを感じたら、そこに潜む黄金比や白銀比を探してみるとおもしろそうだ。
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