ストレス解消法20選!簡単にできるテクを専門家が解説
思うように成績が上がらなかったり、友達関係に悩まされたり、家族とうまくいかなかったり、何かとストレスを感じることってない?高校生のみんなにストレス解消法を聞いてみると、「寝る」「音楽を聴く」「動画を見る」「好きなものを食べる」という答えが多かった。
そこで、簡単にできてスッキリする、効果的なストレス解消法について、明治大学教授・堀田秀吾先生が解説!
※記事内のコメントは2024年1月に全国の高校生309人が回答したアンケートによるものです。
堀田秀吾先生
明治大学教授。言語学者(法言語学、心理言語学)。
司法分野におけるコミュニケーションに関して、社会言語学、心理言語学、脳科学などのさまざまな学術分野の知見を融合した多角的な研究を国内外で展開している。
また、研究以外の活動も積極的に行っており、企業の顧問や芸能事務所の監修、ワイドショーのレギュラー・コメンテーターなども務める。
著書に『図解ストレス解消大全 科学的に不安・イライラを消すテクニック100個集めました』(SB Creative)、『絶対忘れない勉強法』(アスコム)、『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)ほか多数。
目次
- みんなはどんなときにストレスを感じるの?
- どうしてストレスを感じるの?
- 専門家が解説!ストレス解消法20選
- 01:お風呂に入る、お風呂の中で歌を歌う
- 02:ストレッチ、ヨガ、瞑想をする
- 03:スマホで自撮りをする
- 04:かわいい写真や動画を見る
- 05:ヘンテコな動きをする
- 06:日記に不安やイライラを書き出す
- 07:緑のあるところで過ごす
- 08:服や持ち物などに青色をとり入れる
- 09:怒りを覚えたら左拳を握る
- 10:腹式呼吸をする
- 11:早く寝る、昼寝をする
- 12:音楽を聴く
- 13:YouTubeなどの動画を見る
- 14:好きなものを好きなだけ食べる
- 15:趣味に没頭する
- 16:歌を歌う、大声で歌う、カラオケに行く
- 17:友達と会って話す、SNSで会話をする
- 18:ゲームをする
- 19:ペットに癒やされる
- 20:ジョギングや筋トレなどの運動をする
- みんなはどうやってストレスを解消している?
- ストレスを解消する方法は「不安」とうまく付き合っていくこと
- ちょっとした行動と気楽な気持ちがストレス解消につながる!
みんなはどんなときにストレスを感じるの?
どんなときにストレスを感じるのか、高校生309人に聞いてみると、「定期テスト」「受験に向けた勉強」といった勉強にかんすることでストレスを感じる人が圧倒的に多かった。さらに「進路の選択や決定」という将来への不安、友達や親との関係がうまくいかなくてストレスを感じているようだ。
【Real Voice】
「受験勉強の1年間が本当に長くて、友達と遊びに行くこともほとんどできず、趣味に時間を費やすこともできずに、朝起きて学校へ行って塾で勉強したら一日が終わってしまうというくり返しはストレスがたまる」(17歳・東京都)
「進路など考えないといけないのに明確に決まらず、どんどん時間がなくなっていくのがストレスに感じる。勉強も平行してやっていかないといけないのに手につかないのがストレス」(16歳・埼玉県)
「勉強をしても成績が上がらず、苦手な科目などが増えて勉強へのモチベーションが下がっているのにやらなくてはいけないからストレスになる」(18歳・栃木県)
「親自身の意見を押しつけてきて、自分の歩みたい道を歩けなくてすごくストレスだった」(18歳・茨城県)
「協調性のないクラスメイトと学校行事に取り組むとき、ストレスになる」(18歳・神奈川県)
「価値観の合わない子がいて、一緒にいると疲れることがある」(17歳・長野県)
「クラスメイトに嫌われてないか常に不安で、ストレスを感じる」(16歳・東京都)
「部活動のチームメイトとの部活動に対する熱量の違いにストレスを感じた」(17歳・東京都)
どうしてストレスを感じるの?
ストレスになるのは「不安」や「イライラ」を感じるから。心の不安や怒りがストレスを引き起こしていくという。
ストレスを解消するために、まずはストレスのしくみについて知ることから始めよう。
さらにストレスを解消するポイントを堀田秀吾先生に聞いてみた。
ストレス解消のポイントは脳に楽しいと思わせること
「ストレスを感じる基本は『不安』と『イライラ』です。テストの成績、受験、人間関係、日常生活、学校行事、将来のことなど、うまくいかないこと、先が見えていないことへの不安感や怒りがストレスにつながります。
特に高校生は、価値観の違う友達や家族との『コミュニケーション不足』、勉強や部活動で忙しくてゆとりの時間がなく『オンオフの切り替えがない』、これらの要因が心の不安やイライラを引き起こしていくと言われています。
趣味や価値観のあう人と会って話をすると、幸せホルモンとも呼ばれるオキシトシン、感情や精神の安定に深くかかわるセロトニンという神経伝達物質が脳内で分泌されると言われています。
しかし、人とうまくコミュニケーションができないと、これらの物資が分泌されにくいため、感情のコントロールが難しくなり、ストレスを感じてしまうのでしょう。
ストレスがたまると、鬱、不安感、睡眠障害、肩こり、眼精疲労、腹痛や下痢などの腹部症状、倦怠感、気力の減退など、さまざまな悪影響を及ぼしかねません。
脳は、身体の状態や働きから自分のことを判断します。
身体から『楽しい』という信号が脳に送られてくると、脳は『自分は楽しい。元気なんだ』と判断するわけです。 そのため、元気になる行動をすれば、不安やイライラがなくなり、心が元気になると言われています。
ストレスを解消するには、脳にどんな情報を送るかがポイント。
ある意味、脳をだまして、『楽しい』と思わせることをするのがストレス解消になるのです」(堀田先生)
専門家が解説!ストレス解消法20選
ストレスを解消するには、「楽しい」と感じられることをやって、不安やイライラをなくすことが大事。では実際に、どんなことをやればいいのか。
科学的に不安やイライラを消すテクニックを研究している堀田先生に、簡単にできる具体的なストレス解消法について解説してもらった。
01:お風呂に入る、お風呂の中で歌を歌う
「お風呂に入ると、リラックスしているときに働く副交感神経が優位になって、ストレスを感じているときに働く交感神経を抑えてくれると言われています。歌を歌うことで相乗効果になるので、ストレス解消におすすめです。
シャワーを浴びると、頭はスキッとしますが、リラックス効果が得られないので、ゆっくりとバスタブにつかって、好きな歌を歌いましょう」(堀田先生)
02:ストレッチ、ヨガ、瞑想をする
「人間の脳は、自分が動く速度と連動していると言われています。手足を速く動かすとイライラしやすく、所作をゆっくりすると気持ちが落ちつくのです。身体を動かすときは、ゆっくりと円を描くような動作がおすすめ。
ストレッチ、ヨガ、瞑想法などは、『リラクゼーション・レスポンス』と言って、心拍数や血圧を低下させたり、呼吸数を減らすことで、ストレス解消に効果があるという研究結果もでています」(堀田先生)
03:スマホで自撮りをする
「自撮りをし続けるとポジティブなマインドになると言われています。笑っている表情の写真を自分のスマホで撮ると気分が上がる、ということが研究でわかっています。
対人関係のストレスを減らしたいなら、ほかの人を幸せな気持ちにするような風景や動物などの写真を撮ると、イライラがなくなるでしょう。
ただし、写真をSNSにアップすることは承認欲求を満たすための行動になり、逆にさまざまなトラブルやストレスの原因になる危険性もあるので、SNSの利用は控えたほうが無難です」(堀田先生)
04:かわいい写真や動画を見る
「かわいい赤ちゃんの写真を見ると、やる気や集中力や喜びに関係する脳の部位が頻繁に活性化されることが大学の研究で確認されています。科学的に『かわいいは正義』が証明されているのです。
ただし、ダラダラと長時間見るのは逆効果。
1分~1分半、スマホなどで赤ちゃんや子猫、子犬、子パンダなどの写真や動画を見るのが効果的ですよ」(堀田先生)
05:ヘンテコな動きをする
※ヘンテコな動きはどこでもできて簡単!ただ人にみられないように
「僕からのおすすめのストレス解消法のひとつが、ヘンテコな動きをしたり、ダンスをすること。人間の脳はだまされやすいので、『変な動きをするほど私は楽しいのだ』と脳が勘違いをして、実際に楽しい気持ちになるという研究結果が報告されています。
5分間ダンスをするとポジティブな気持ちが高まる、という実証もあります」(堀田先生)
06:日記に不安やイライラを書き出す
「毎日、日記を書いて、ストレスの要因になっている不安なこと、嫌なことを書き出してみるといいですね。不安や嫌なことを考えないようにするのではなく、あえて書き出すことで、精神が安定すると言われています。
紙に書くのがおすすめですが、スマートフォンなどにメモしても構いません。
何年か経って読み返してみると、おもしろいですよ」(堀田先生)
07:緑のあるところで過ごす
※自然にふれるのはストレス解消に効果大!
「家に閉じこもっていないで外へ出ましょう。
お散歩をするなら緑のあるところ。
近所の小さな公園でも、緑を感じられる場所なら大丈夫です。
1週間に合計2時間以上、自然環境にふれた人は、健康状態や幸福感が良好になるという研究結果があります。
家でも観葉植物などを置いて、ストレスを感じたときにボーッと見るといいですね」(堀田先生)
08:服や持ち物などに青色をとり入れる
「青色は、イライラを抑える、心を落ちつかせる、リラックスさせるなど、ストレスを下げる効果があると、大学の研究で立証されています。また、暖色系の色は、元気がでる、モチベーションが上がる、気分を高揚させることができるといわれています。
ストレスを解消するためには、目的に応じて、着ている服や身につけているもの、目に入りやすい持ち物などに、青色や暖色系の色をとり入れてみてはいかがでしょうか」(堀田先生)
09:怒りを覚えたら左拳を握る
「人間の脳は、怒りを感じると左前頭部が右前頭部よりも活性化されるといわれています。イラっとした瞬間、すぐに左拳を力いっぱい握ると、右前頭部が活性化されて、怒りが収まるということが研究で報告されています。
イライラを長引かせないために、怒りを感じたら、左拳を握ってみると落ちつくかもしれませんよ」(堀田先生)
10:腹式呼吸をする
「深呼吸をするだけでも、心拍数や血圧を低下させたり、呼吸数を減らしたりすることによって、不安感や緊張感が低減して、安ど感が増すといわれています。ストレスを感じたら、腹式呼吸で、鼻からゆっくり息を吸いながらお腹をふくらませ、口からゆっくり息を吐きながらお腹を凹ませてみましょう。
大学の研究によると、腹式呼吸で副交感神経が優位になってリラックス効果が得られた、という実証もありますよ」(堀田先生)
11:早く寝る、昼寝をする
「睡眠は心の傷を癒やすために必要不可欠だと言われています。よく夜10時~深夜2時までの4時間は成長ホルモンがでるので、この時間帯に眠ると良いと言います。
実際、成長ホルモンがでている時間帯に眠っていると精神を安定させる効果が期待できるので、心の元気を保つためにも早く寝るのは良いことですね。
睡眠には、浅い眠りの『レム睡眠』と、深い眠りの『ノンレム睡眠』があります。
ノンレム睡眠で情報を整理し、レム睡眠で情報を統合していると言われていますが、さらにレム睡眠は脳の調律を行い、感情を読み取る能力を育む役割があると言われています。
十分なレム睡眠を確保するために、8時間以上の十分な睡眠をとることをおすすめします。
昼寝をするなら30分弱。それ以上眠ると生産性が落ちてしまうと言われているので要注意。
昼寝をする前にコーヒーなどのカフェインをとると良いですね。
カフェインは身体に入って30分後くらいで効果がで始めるので、30分弱の仮眠でもスッキリ目が覚めると思います。
人間の脳は、目を閉じるだけでリラックス効果のあるα波がでると言われているため、ストレスを感じたら、5分くらい目を閉じるだけでも良いでしょう」(堀田先生)
12:音楽を聴く
「好きな音楽を聴くと、楽しくなったり、うれしくなったり、幸せホルモンのオキシトシンがでてきます。音楽のジャンルは何でもOK。
クラシックでも、ハードロックでも、ストレスを解消するには、自分が好きな音楽を聴くことが大事なのです」(堀田先生)
13:YouTubeなどの動画を見る
「YouTubeなどで自分の好きなものの動画を見ると、幸せホルモンのオキシトシンがでて、ストレス解消につながります。ただし、見過ぎるとよくないので要注意。
人間は、夜寝る前に嫌な思いをすると、寝ている間にその記憶が強く定着してしまうと言われているため、動画を見るタイミングとその内容には気をつけてください。
夜寝る前に、好きな動画をチラッと見ると、翌朝は気持ちよく目覚めることができると思いますよ」(堀田先生)
14:好きなものを好きなだけ食べる
「お腹がすくと、心の安定に深くかかわるセロトニンが減少するため、イライラしてストレスを感じやすくなります。空腹をガマンしすぎないのはストレス解消のひとつの方法。
ただし、好きなものを好きなだけ食べれば気分転換にはなりますが、食べ過ぎると『太っちゃうかも?』という罪悪感がストレスにつながることもあるので気をつけましょう」(堀田先生)
15:趣味に没頭する
「好きなことをすると、幸せホルモンのオキシトシンがでてきます。趣味に没頭する=好きなことをしているので、もちろんストレス解消に効果的だと言えます。
さらに、人間の脳はマルチタスクではないので、何かに集中すると、他のことを感じている余裕がなくなると言われています。
趣味に没頭すれば、ストレスを感じるような嫌なことを考えるヒマがなくなると思いますよ」(堀田先生)
16:歌を歌う、大声で歌う、カラオケに行く
「誰も見ていないところでひとりで歌を歌うと、ストレスホルモンのコルチゾールなどの値が減少するという研究結果があります。たしかに、ひとりカラオケでおもいきり大声を出して歌えばスカッとしますよね。
みんなで一緒に歌うとさらに効果は上がりますが、ひとりでも、歌を歌うことはストレス解消に効果的な方法であると言えます」(堀田先生)
17:友達と会って話す、SNSで会話をする
「人とつながりをもつのは人間の基本です。ストレスを感じたら、仲の良い友達と直接会って話をしましょう。
会話をするとき、相手の表情を読みながら、相手がどんなことを感じているのだろう、と考えながら話しますよね。
それが心を安定させるセロトニンの分泌にかかわってくると言われています。
友達と電話で話をするときは、ぬいぐるみなどを抱きしめるといいですよ。
人間の脳はだまされやすいので、ぬいぐるみを抱きしめることで、直接、誰かと触れあっている錯覚をして、幸せホルモンのオキシトシンがでやすくなると言われています。
直接会えないときはSNSでもいいから、人とコミュニケーションをすることが大事です」(堀田先生)
18:ゲームをする
「ゲームも、音楽を聴くことと同様、気分転換になります。ただし、同じことをやり続けると、脳が疲れてしまうので、ゲームをするならほどほどに。
簡単なパズルゲームを3分間やると、作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する『ワーキングメモリー』が働き、睡眠欲や食欲などの欲求を減少させる効果があるという研究発表があります。
『遊びに行きたい』『甘いものが食べたい』などの欲求がつのってストレスを感じてしまったときは、テトリスなどのパズルゲームを3分間だけやってみましょう」(堀田先生)
19:ペットに癒やされる
「家で犬や猫などを飼っている人は、できるだけペットとふれあいましょう。実は、猫と見つめ合ってもオキシトシンはでないけれど、犬と見つめ合うとオキシトシンがでると言われています。
幸せホルモンのオキシトシンの分泌だけを考えれば、犬のほうがおすすめ。
とはいえ、猫でも犬でも、ウサギやハムスターなどでも、癒やされるのは間違いないと思います。ただし、ロボットはあまり効果的ではありません。」(堀田先生)
20:ジョギングや筋トレなどの運動をする
「ストレス解消には、中強度の運動が良いと言われています。ジョギングをするなら、ゆっくりダラダラと走るよりも、少し心拍数が上がるくらいのスピードが効果的。
走るときに一歩一歩、頭部に衝撃がかかることで、脳から分泌される物質が活性化されるという実験結果も示されています。
つまり、ストレスがたまったときにジョギングをすると、気持ちが向上するというのです。
筋トレをするなら、スクワットがおすすめ。
下半身を鍛えると、マイオカインという物質がでて、身体の健康と心の健康の両方に効くと言われています。
スポーツをすると、血液の流れが良くなり、脳に酸素がいって働きが良くなるため、身体を動かすことはストレス解消に効果的だと思います」(堀田先生)
みんなはどうやってストレスを解消している?
続いて、みんなはどうやってストレスを解消しているのかを調べてみた。高校生のおすすめで多かったのは、「寝る」「音楽を聴く」「動画を見る」といった方法。
さらに「好きなものを食べる」「歌を歌う、カラオケに行く」「友達と話す」といった「楽しい」という気持ちになったり、元気になったりする行動も、ストレス解消になると感じているようだ。