炊き出し、避難所運営…被災地における中高生の活躍が一冊に

東日本大震災で混乱する被災地において、中高生が果たした役割は大きい。

 

――その事実を広く社会に伝え共有することを目的に、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンと一般財団法人地域創造基金みやぎが協働事業である「こども☆はぐくみファンド」の一環として「震災後に中高生が果たした役割の記録プロジェクト」を実施。このたび報告書を発行した。

 

報告書には、震災直後、被災地において中高生が誰かのために行動した205件のエピソードが紹介されている。

 

宮城県のある中学生は、「家にいてもやることがなかったし、誰かのためになるならやろうと思った」と、地域の大人や大学生とともに炊き出しの配膳や一人暮らしの人へお弁当の配達を実施。遠く兵庫県からも、高校生が「テレビで震災の状況をみて、何か東北の力になりたいと思い、ボランティアに参加」し、水田の草取りや海岸清掃などを行った。

 

自ら避難所を開き運営した高校生たちもいる。震災時高校2年生だった吉田祥さんらは、部活中に校庭で被災。その高校は避難所に指定されていないため大人たちが対応しにくい状況下、続々と避難してくる地域住民をみて「自分たちがやるしかない」と吉田さんらが避難所の設営に動いたという。

 

体育館や柔道場などに人が入れるように用意をし、ストーブや教室のカーテンを集めて配布。プールからバケツリレーでトイレの水を運んだり、夜間は暗闇で危険になるトイレの前に2人1組が交代で手回しライトをもって待機したり、睡眠時間を削って対応した。

 

こうした記録から、中高生が「助けられる」だけでなく「助ける」側として、確かに人の役に立っていたことがわかる。

 

前述の吉田さんは、報告書の中で「(中高生に)今自分たちにある悲しい感情をまた繰り返してほしくない。そのために記録を読むことで経験を追体験して、同じ経験をしないようにより良くしてほしい」と語っている。

 

本プロジェクトの事務局を担当する一般財団法人地域創造基金みやぎの志賀恭子さんも、中高生にこう呼びかける。

 

「今度大きな震災が起きたときに何ができるか考える場を設けたり、今すぐ備えておくと良いものを話し合うなど、この報告書を活用してほしいですね」

 

今後の災害発生のために報告書を活用したいという人は、依頼フォームから請求してみよう。