高校生も震災復興支援の力になれる!夏のボランティアツアー
東日本大震災の被災地の一日も早い復興を願う。自分も何か力になりたい。でも、遠く離れた地域の高校生にできることは何もない。――そうあきらめている高校生は全国にたくさんいるのではないだろうか。
神奈川県に住む桐蔭学園中等教育学校6年(高3)の大久保斉さんも、数カ月前まではそんな1人だった。
「3.11の事実を忘れないよう、週1回ぐらいはインターネットで震災時の映像をみて心に刻んでいました。衝撃的な映像をみるのは辛いのですが、同じ日本という国にいるのに目をそむけてはいけないと自分に言いきかせて。でも、それ以上のことは何もしていませんでした」(大久保さん、以下同)
大久保さんはある日、友人経由で10代の復興支援団体「Teen for 3.11」が企画する東北旅行を知ったことが、行動に移すきっかけとなった。これは今年の春休みに催行された、被災地の現状を知るために同団体が定期的に開催している高校生対象の東北旅行の第3回企画。
2泊3日(1泊は車中泊)で旅費は1万4000円。保護者も「被災地の状況を一度みておいたほうがいい」と背中を押してくれ、参加したという。気仙沼では津波被害のあった地域の見学や漁師の話を聞き、石巻の高校生との交流などが行われた。
「津波で流されて陸にあがった船、家の土台だけが残っているさまなど、未だに生々しく残る震災の傷跡が視界いっぱいに広がっていました。毎週インターネットで確認する必要がないぐらい、目に焼き付きました」
さらに大久保さんは5月に同団体企画の「ふくしまと歩もうツアー」(日帰り/費用4000円)にも参加。原発事故の風評被害を受けたいわき市の農家での田植え体験や、現地の高校生を交えて会議を行った。
「現地の方と話し、原発を身近なこととして考えるようになりました。宮城は目にみえる被害、福島は放射能という目にみえない被害ですが、どちらにも実際に現地に行ってよかった。震災復興には何十年もかかるといわれますが、それを支えていくのはぼくらの世代。今のうちから現状を知っておくことは大切だと思います」
時間のある夏休みは行動を起こす絶好のチャンスだ。各都道府県社会福祉協議会やNGO ・NPO、ボランティア団体等などが企画するボランティアツアーやボランティアバスは数多い。
「Youth for 3.11」、「助けあいジャパン」などのwebサイトでは、高校生でも参加が可能なツアーも紹介されている。ボランティア内容は漁業や農作業などの力仕事のほか、子どもの遊びやその見守り、夏祭りなどのイベントの手伝いなど幅広い。ただし、未成年者の参加には保護者の同伴や誓約書が必要な場合もある。興味のある人は保護者とともに詳細を確認しよう。
ボランティア活動まではできなくても、観光や特産物購入などで被災地を支援する方法もある。まずは「自分にできることは何か」を考えることから始めてみてはどうだろうか。