憲法は改正すべき?高校生の63%は9条改正に反対

●いよいよ現実味を帯びてきた憲法改正

7月の参院選では自民党が圧勝。これにより、同党が公約に掲げている憲法改正がいよいよ現実味を帯びてきた。

 

改正のポイントはいくつもあるが、やはり最も世の中の注目度が高いのは9条の改正。日本の未来にかかわる重大な問題だけに関心をもっている高校生も少なくないのでは?

 

現行の9条では戦争の放棄とともに武力をもたないことなどが定められている。「武力をもたない」ので、軍隊に関しては触れられていない。これに対して、自民党の草案では、戦争は放棄するとする一方で、「国防軍」について明記されるなどその内容は大きく変わっている。

 

この9条を中心に、憲法改正に関しては、戦後長い間議論が重ねられてきた。今でも、変えるべきかどうかに関しては国民全体で意見が分かれるところ。では、これからの社会を支える高校生はこのテーマについてどう考えているのだろうか?

 

●高校生の6割は9条改正には反対

この春に発表された調査があるのでみてみよう。日本高等学校教職員組合が実施した「2012年度高校生1万人憲法意識調査」(2013年4月発表)によると、憲法9条を「変えないほうがよい」と回答した高校生は63.0%。一方、「変えた方がよい」との回答は14.4%だった。

 

「変えないほうがよい」派は2008年の前回調査と比較すると、2.1ポイントの増加。興味深いのは、「変えたほうがよい」も前回から2.9ポイント増えていること。「わからない」が6.4ポイントも減っているので、9条改正に賛成であれ、反対であれ、高校生の関心そのものは高まっているようだ。

 

次に、それぞれの理由を紹介しよう。

 

■「変えないほうがよい」理由
「憲法9条を変えると、戦争への道を開くおそれがあるから」75.9%
「憲法9条は、世界に誇るものだから」14.8%
「憲法9条を変えると、海外で武力行使をするおそれがあるから」5.9%

 

■「変えたほうがよい」理由
「今の憲法9条では対応できない新たな国際的問題が生じているため」32.2%
「中国・北朝鮮などの脅威に対抗するため」30.9%
「国の自衛権を明記し、自衛隊の存在を明文化するため」28.3%

 

上位の理由を挙げると上のとおり。いずれの理由にも納得感があり、この議論の難しさが改めてよくわかる。

 

しかし、日本人全体が決断を迫られていることは確か。憲法改正は最終的に国民投票によって決められるが、その実施時期や成人年齢引き下げなどの動き次第で、今の高校生が投票に参加する可能性も十分ある。どちらの選択がベターなのか、同世代の仲間や周囲の大人たちとじっくり話し合い、とことん考えてみよう。