勤務先の芸能衣裳デザイン室は、映画やドラマ、舞台、CMとジャンルを問わず、デザインから製作まで幅広く扱っています。私が所属するチームは舞台を担当。デザイナーとの打合せから衣裳合わせ、動きにくい部分を修正して本番を迎えるまで、毎日が製作に追われています。この仕事をしていて嬉しい瞬間は、やはり舞台の初日ですね。私が関わった衣裳を着た演者さんが生き生きとパフォーマンスしている様子をみると、大きな仕事をやり終えたという達成感を味わえます。今は製作補佐として先輩についていますが、そろそろ独り立ちするタイミング。「この舞台は小山石さんにお任せしたい」とデザイナーに指名されるような衣裳製作を目指しています。
青カレでは、デザイン・パターン・ソーイングといった服づくりに必要な知識と技術を習得しました。ここで学んだことのすべてが、今の仕事に活かされています。学生時代の一番の思い出は、毎年2月にスパイラルホールで行われる卒業・修了制作展に出展したことです。作品テーマは“Twins in a Daydream”。カラーを白で統一しながら、デザインのディテールはすべて違うものにするのが制作上のコンセプトで、青カレで学んだ技法を全部盛り込んだ、これまでの私の集大成といえる作品に仕上がりました。デザインした服が最優秀賞に選ばれ、モデルさんたちと一緒にランウェイを歩いたときは、とても誇らしく感じたのを覚えています。
舞台衣裳に興味を持ったのは、小学生の頃からです。その頃好きだったアイドルたちが、キラキラした衣裳を着てパフォーマンスする姿をテレビでみて、「自分もこういう服を作ってみたい!」と思うように。高校生の頃は、自分でデザインした衣裳をぬいぐるみに着せるのを楽しんでいました。でも独学なので、ミシンをかけるのも見様見真似。本格的な縫製の技術を学んだのは、青カレに入学してからでした。青カレは少人数制なので、プロの先生方が一人ひとりの進度に合わせて教えてくれます。私のように「独学でスキルに自信が無い」という初心者にオススメです。先生方とは卒業しても連絡を取りあって、仕事で悩んだ時にはアドバイスを頂いています。
松竹衣裳株式会社 芸能衣裳デザイン室 勤務/ファッションクリエーター科 卒/2019年卒/趣味が高じて本格的な服づくりを学ぶために青カレに入学した小山石さん。入学時は「縫い代」の存在もわからなかったというが、プロの先生方からの丁寧な指導によりめきめきと実力をつけていく。卒業後は松竹衣裳に入社し、現在は舞台を担当するチームに所属して毎年数本の舞台製作に関わっている。「最初の頃は先輩たちの動きをよく観察して、自ら積極的に動くように心がけました。この仕事は、思った以上に人と人とのつながりが大切。周りの人からなんでも吸収しよう!という気持ちで取り組んでください」と、後輩たちにエールを贈ってくれた。