声優という仕事のやりがいを言い出したらキリがないのですが、やはり「自分以外のものになれる」というところですね。役に入り込めた瞬間が本当に楽しいんです。台本を読んでいてもキャラクターの心情が理解できずに悩むこともありますが、たくさん悩んだ末にようやく理解できたときは、本当に気持ちがいいです。その演技に「OK!」をもらったときにはうれしいですし、やりがいを感じます。他の声優さんとの掛け合いがうまくいったときも面白いですよ。収録の時には、できるだけ早めに現場入りして体を慣らしたり、一緒に出演する方々と話したりして、リラックスした状態で臨めるように心がけています。
この仕事を目指そうと思ったのは、高校3年生の冬休み直前でした。進路についていろいろと考えていた時期に「スレイヤーズ」というアニメを見て、魔法や剣などが出てくる話がとてもおもしろかった。こういう世界に関わることができたらきっと楽しいだろうなと思い「よし!目指そう」と決めました。声優になるにはどこで勉強すればいいのか調べていたときに、本屋で専門学校が掲載されている本を見つけたんです。パッと開いたページに載っていたのがアニカレでした、運命ですね。その後学校のホームページを確認したら設備もきれいで整っていたので、ここで学びたいと思いました。すぐに担任の先生に連絡、必要書類を用意して出願しました。
在学中の授業で一番印象に残っているのは「舞台演技」です。声優だからマイクの前で演技する授業を想像していたので、舞台と聞いてビックリしたのを覚えています。それまで演技の経験はまったくなく、恥ずかしかったですね。でも授業を受けていくうちに、だんだんと全身で学ぶことが楽しく感じられるようになりました。本当に舞台の勉強をしておいてよかったと思っています。おかげで収録の際、どんな演技をすれば良いのかイメージしやくすなりましたし、今でも自然と体を動かしながら演技をすることがあります。そのほうが気持ちが乗った演技ができるんです。声だけでなく、実際に体を使った演技も大切だと実感しています。
株式会社アトミックモンキー所属/声優学科/2010年3月卒/「声優は『声がカッコいい』というだけではなれない」と高橋さん。「でも逆を言えば、カッコいい声じゃなくてもなれる」とも語る。高橋さん自身も元々はきんきんした高い声しか出せなかったが、在学中に演技や発声の基本をしっかり学んだことで今の声を出せるようになったそう。声優を目指すなら、演技や発声といった基礎を大切にしてほしいと後輩にエールを送った。