在学中にマンガ家デビューし、卒業直前の2020年2月から11月まで「マーガレット」で、『やっと君とめぐり逢えたんだ』を初連載させていただきました。隔週発行なので大変な面もありましたが、TDGの後輩がアシスタントをしてくれて本当に助かりました。読んでくれた方からファンレターが届いたり、SNSに感想が上がっていたりすると嬉しくて、すごく励みになります。絵はデジタルではなく、丸ペン・ミリペン・Gペンなどを使い分けて、アナログで描いています。デジタルだと「仕事をしている」という気持ちになってしまって、絵を描くことを私自身が楽しめないんです。ペンを握って描いている時間が何より楽しく、今が充実しています。
進学先を決める時にいくつか見学しましたが、すぐ近くを流れている神田川がすごくキレイで、落ち着いた環境で勉強できそうだなと思い入学を決めました。大手の出版社が学校の近くにあり、作品の持ち込みをしやすいのもTDGのいいところだと思います。授業では、ストーリーの作り方を学べたのが、今でも役に立っていますね。それまではキャラクターの外見にこだわり、ストーリーを作るのが苦手だったんです。ずっと「話は流れを作るもの」と思い込んでいましたが、「キャラクターの内面をしっかり作り込むことで、ストーリーは自然と流れ出す」と学べたことが、自分にとって作品を作る上で大きなターニングポイントになりました。
1年次の夏休み後に、いろいろな出版社の漫画編集部の担当者の方々が来校して、直接作品を見てもらえる「出張編集部」というイベントがありました。私は、その際に担当の編集者さんが決まったんです。いわゆる「担当さん」が決まるのはプロデビューへの第一歩なので、すごく嬉しかったですね。もちろん出張編集部で見てもらう作品は、何度も先生に読んでもらいました。アドバイスをいただいて、修正して、また読んでもらって…と何回も繰り返して、編集部に出す作品を作り上げました。先生には本当に感謝しています。休みの日に原画展へ一緒に行き、どうやったらこんなふうに描けるのか、教えていただいたのも楽しい思い出です。
マンガ作者/マンガ学科/2020年3月卒/在学中に4本の読み切りが雑誌に掲載され、初連載も経験した雨花深衣さん。絵が好きでよく描いていたが、マンガを描くためのペンの使い方やスクリーントーンの貼り方などはTDGに入学してから学んだという。「せっかく勉強できるのだから、どんどん先生に作品を見てもらったほうがいいですよ」とアドバイスをしてくれた。