猛禽類医学研究所では主にオオワシやシマフクロウなど絶滅危惧種である猛禽類の救護から野生復帰までを仕事として環境省から請け負っています。私は研究員として獣医師が行う治療の補助をするとともに、リハビリテータ―として治療した個体の世話、飛翔や採餌の訓練を行っています。また、フィールドにて人間と野生動物が共存できるよう、環境調査や対策の立案をする業務もあります。事故や病気で収容された鳥たちが野生復帰できた時、そして野生に帰った後、個体に装着したGPS送信機のデータなどから、きちんと生きていることを確認できた時が喜びです。野外調査の結果がミティゲーションや事故対策に生かされている時もやりがいを感じます。
高校生の時、自分は将来どんな仕事がしたいのだろうと具体的な職業が出てきませんでした。いろいろ考えた結果、昔から動物が好きだったことから野生動物に関わっていけたらいいなという思いが残り、分野をしぼっていきました。高校の部活の先生から「人は知らず知らずのうちに、最善の選択をしている」という名言を聞き、自分の選択は正しいんだと背中を押されて、進路を決めたのを覚えています。東京環境工科に入学してから、仕事内容などを含めて将来をイメージしていくなかで、猛禽類医学研究所には卒業生が何名か入っていることを知り、自分も入社を決めました。
スキルや知識を学んだのはもちろんですが、東京環境工科は実習が多く、1週間超、山の中で調査などフィールドワークを経験してみると、不安だったことも”やってみると、何でもなんとかなるし、実際にやってみると何でもおもしろい”と気づけたことがいちばんの学びだったように思います。高校生のころまでは、何をするにしても優柔不断で悩んでいたのですが、環境工科に在学中そして現在は何でも思い立ったら行動できるようになり、思い切りが良くなった気がします。先生も学生同士も距離が近く、わからないことがあれば先生にすぐ聞ける環境でしたし、学生もそれぞれ個性的で、良い出会いがありました。
猛禽類医学研究所 勤務/自然環境保全学科 卒/2019年卒/野生動物保護管理コースを卒業。もともと大きな鳥が好きなので、いろいろな鳥を間近で見られるのはすごくうれしいと仕事の魅力を語る佐藤さんだが、大変なのは、環境調査で野外に出た時だそう。鳥の生活に合わせるので、朝早い鳥の調査は日の出前くらいから始まる時もあれば、夜行性のフクロウを調査する時は朝と昼が逆転するので、生活リズムがバラバラになる苦労があるという。北海道の地で、鳥の鳴き声調査をマイナス20度という極寒のなか行うこともあるが、本来の鳥の姿を見られるので、楽しみも大きいと語ってくれた。