
私の専門は、図書館情報学と社会教育学です。現在は、近代日本の図書館を対象に、主に2つのテーマを研究しています。ひとつは、図書館に関する統計・調査がどのように実施され、まとめられ、活用されてきたのかという点です。調査や統計の歴史をたどることで、図書館運営の課題や、歴史的な文脈における職員の意識の変化も見えてきます。もうひとつは、地域住民と図書館の関係です。利用者としてだけでなく、運営への参画やボランティアなど、住民がどのように図書館を支えてきたのかを明らかにしています。図書館情報学は、「図書館を研究する」ことに加えて、情報の保存・流通・活用など、人と情報の関わりを広く扱う学問です。多角的な視点で図書館の役割を捉え、文化を支える仕組みとして、その価値を探究していきたいと考えています。

図書館に関する古い統計や調査資料から、図書館運営の背景にある課題を読み解いています
仲村先生は、司書<国>・司書教諭<国>・学校司書の資格などに関する科目を多数担当。図書館の制度やサービス、メディア、歴史などに加え、洋装本の製本実習や巻末索引の編集といった多様な実習を組み込んでいます。図書館情報学研究室のゼミでは専門的な資料の読解を行うとともに、県内外の図書館訪問やイベント参加を通して、図書館を体験的に理解する機会も豊富に用意。山口市立中央図書館のイベントでは、地域住民が図書館に関する理解を深められるような企画として、クイズラリーやデジタルゲームの開発なども行っています。

製本実習などを通して、資料への理解を深めるとともに、県内外の図書館を訪問し、実際の活動を学びます
身のまわりにある様々なメディアが、何を伝え、何を残してきたのか、これから何を残すべきか、一緒に考えていきましょう!図書館は情報を伝える大切な社会装置。文化を守り、未来へつなげる役割があります。

図書館に関する資料や制度をもとに、「なぜ今も図書館が残るのか」という問いに向き合い続ける仲村先生
専門分野/図書館情報学、社会教育学
略歴/博士(教育学)。青山学院大学 コミュニティ人間科学部助手を経て2022年より現職。図書館に関する統計や運営体制、地域との関わりなど、図書館を取り巻く仕組みを歴史的・制度的・文化的に研究している。全国で開催されている司書<国>や司書教諭<国>の資格を取得するための講習や、図書館職員への研修会の講師も務める。
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