私は、心理学の医療応用である『神経心理学』と『健康心理学』を研究のテーマとしています。心理学は生活の改善や健康の増進ということにも深く関わっています。認知機能が低下する例で説明するなら、加齢や悪しき生活習慣の影響で血流が悪くなって神経脱落が起こるなど、神経の変化に着目して認知機能がどうなっているのかを調べるのが『神経心理学』。生活習慣を改善するのが健康に良いとわかっていても行動に移せない人に、どうやって健康志向を持たせて行動を変えていくかを考えるのが『健康心理学』です。どうすれば認知機能の低下を防ぐことができるのか、心理学的な知見から認知症予防を考えることで、多くの方々の健康増進をサポートしたいと考え、研究を続けています。
岩原ゼミの研究テーマのひとつは「人々の健康増進やウェルビーイング(よりよい状態)を保つために心理学に何ができるか」を考えること。もうひとつは「認知の個人差は何に起因し、よりよい認知機能維持のためにできる心理学的な支援」を探ること。学生たちは、授業で学んだ測定法や統計、研究法を実践。科学的な実験・調査研究のスタイルを習得しながら、月経前症候群による不快感と生活習慣・心理的特性との関係、ストレスマネージメントなど、個々に関心のあるテーマについて研究・考察を行っています。
ゼミでは、研究計画もデータを取る方法も、まずは自分で考えるよう指導しています。こうした一連の思考プロセスを学び取れば、将来どんな道に進んでも役立つ大きな力に!研究を通じて大いに成長してください。
研究分野:神経心理学、健康心理学 高次脳機能、認知症予防、健康増進行動、ポジティブ心理学、well-beingなど
略歴/2002年名古屋大学大学院人間情報学研究科 社会情報学専攻 博士後期課程単位取得満期退学 博士(心理学/名古屋大学)。樟蔭東女子短期大学専任講師、助教授を経て、2009年に和歌山県立医科大学保健看護学部准教授に就任。その後、現職に至る。